【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1416話 地理

公開日時: 2024年6月16日(日) 12:26
文字数:1,950

「……それで、話を戻させてもらうが」


 俺はカゲロウとイノリに言う。

 彼女たちも気を取り直し、俺の方へ向き直った。


「桜花城の結界は、とりあえず置いておこう。それは後で考えるとして……。他にも一つ、問題がある」


「な、何ですか……?」


 イノリが恐る恐る聞いてくる。

 俺はそんな彼女に視線を向けて言った。


「俺が位置関係を理解していないことだ。桜花城って、どこにあるんだ? さっぱり分からない」


「え……? そこからですか……?」


 俺の質問に対して、イノリが目を見開く。

 カゲロウも驚愕の表情を浮かべていた。

 しかし、すぐに合点がいったのだろう。

 カゲロウが口を開く。


「なるほど……。高志殿は異国からの侵入者。当然、桜花城などという場所など知るはずがないというわけか……」


「そういうことだ。ま、俺は記憶喪失だから、そもそも『侵入者』という自覚もないのだが」


 カゲロウの言葉に俺はうなずく。

 そんな俺に、イノリが説明してくれた。


「桜花城は、桜花藩にあります」


「いや、桜花藩とか言われてもさ……。もっと詳しく説明してくれ」


「桜花藩は、近麗地方にある藩です。天下の台所とも呼ばれている土地ですよ。女王派閥と将軍派閥の中間あたりにあるため、政治的には微妙な立ち位置ですが……。物流の拠点となっているため経済的には潤っています」


「ふむ……」


 俺はイノリの話を聞く。

 近麗地方……。

 これまた、記憶にない単語が出てきたな。

 地理が全く分からない。


「桜花藩の東には那由他藩があって、北には虚空島が浮かんでいて、西には緋水湖が――」


「ちょ、ちょっと待ってくれ! 説明が早すぎる! 俺の頭脳では処理しきれない……」


 俺はイノリの言葉を遮った。

 カゲロウが可哀想なものを見る目を向けてくる。


「た、高橋殿……。記憶喪失に伴って、理解力や記憶力まで低下してしまったのか……」


「そんな目で見ないでくれ……。いや、本当に……」


 俺はカゲロウに言う。

 頭の具合を心配されているようだが、俺の理解力や記憶力は元からこんなものだった気がする。

 脳内だけでたくさんの情報を処理するのは厳しい。


 俺はイノリとカゲロウに、改めてゆっくり説明してもらう。

 そして、伝えられた情報をメモしていった。


 大和連邦は、その名の通り連邦制だ。

 30を超える小国家――『藩』が、それぞれの地域を治めている。

 厳密に言えば『藩』は国家というよりは都道府県に近い存在な気もするが……。

 このあたりの事情は、ヤマト連邦の歴史にも関係しているらしい。

 緩やかに繋がって対外的には『大和連邦』を名乗りつつ、内部では各藩が一定の独立性を保っている。


 鎖国制度の実施にあたっては、いろいろあったようだ。

 ここ最近は、鎖国制度の今後の取り扱いや導入時の禍根を巡り、諸藩の意見が対立。

 東部の藩からなる『将軍派』と西部の藩からなる『女王派』が勢力を増しており、それぞれが天下統一を狙う動きを見せている。



・北烈地方(ほくれつちほう)。

北方に位置し、猛吹雪が吹くこともある寒冷地帯。

強い精神力や忍耐力を持つ者が多く住んでいる。

土地は広大だが、人が住むに適した場所は限られている。


・漢闘地方(かんとうちほう)。

古くから合戦が繰り返されていた土地であり、強い武将が多く存在している。

武術や弓術の大会が盛ん。


・中煌地方(ちゅうこうちほう)。

大和連邦の中でも、新しい技術が集まってくる場所。

将軍派の中心である『愛智藩』が位置している。


・近麗地方(きんれいちほう)。

物流の中心であり、俺が目指している『桜花城』はこの地方の『桜花藩』にある。

また、由緒正しい『神宮寺家』が住まう特殊な浮き島もあるそうだ。


・重郷地方(じゅうごうちほう)。

荒野、山岳、砂丘など、荒々しい自然が残っている。

武者修行を行う者が好む土地だ。


・四神地方(しじんちほう)。

四つの聖なる山が存在し、それぞれの山が四方を守っていると言われている。

古くからの独自の宗教儀式や祭りが残っている。


・九龍地方(くりゅうちほう)。

九つの大きな川が流れる豊かな水源地。

肥沃な土地が広がり、農業が非常に発展している。

女王派の中心である『佐京藩』が位置する。

俺がいる『霧隠れの里』は、佐京藩の外れにあるとのことだ。



            北北

           北北北北

           北北北北

           北北


           北北

          北北北

          北北北

         中中北北

        中中中漢漢

現九九 重重近近中中中漢漢

九九九 重重近近近中中漢漢

 九九    桜近中中

 九九 四四 近近

 九九 四四


現……現在地

桜……桜花藩



 図にするとこんな感じだ。

 どことなく地球の日本列島に近い形をしているのは、偶然だろうか?


「詳しい説明、ありがとう。大体分かったぞ」


 俺はカゲロウとイノリの説明にうなずいた。

 もっと詳細を聞いてメモしておいてもいいが、彼女たちの知識にも限界がある。

 とりあえずはこれぐらいの情報収集でいいだろう。


 それより、改めて問題が一つあることに気付く。

 それは――

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