【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1230話 タカシvsジャイアントクラーケン

公開日時: 2023年12月11日(月) 12:03
文字数:2,043

「――よし! こんなところだろう!!」


 俺はミティたちへの『ステータス操作』を終える。

 ジャイアントクラーケンと戦いながらなので、熟考する時間はなかったが……。

 基本的な方針は前回のミリオンズ会議で相談済みだったし、大きな問題はない。

 ヤマト連邦に上陸できればまたスキルポイント20が手に入るので、使い惜しみしている場合ではないだろう。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンは、再び俺を目掛けて攻撃してくる。

 俺はその触手を回避し、重力魔法で奴の周囲を飛び回る。


「さてと……。みんな! スキルを強化しておいたぞ! しばらく会えないかもしれないが……必ず戻る!! 元気でな!!!」


 俺は触手攻撃を回避しつつ、船に向かってそう叫んだ。

 もう相当な距離離れてしまったため、会話できる距離ではない。

 だが、『聴覚強化』スキルを強化している兎獣人のモニカには、俺の声が聞こえているかもしれない。


「最後のはなむけだ。受け取ってくれ。――【エアバースト】!!」


 俺は風魔法を放つ。

 これはジャイアントクラーケンに向けたものではない。

 ミティたちが乗っている隠密小型船の帆に向けたものだ。


 ビュオンッ!!

 突風により、帆が勢いよく膨らむ。

 隠密小型船は急加速した。


「ゴオオオオォ……」


「ふははっ! 標的に逃げられて残念だったな。諦めて巣に帰ったらどうだ?」


 俺は、そうつぶやく。

 時間稼ぎ作戦はほぼ成功したと言っていい。

 俺の風魔法を受け、船はほぼ視認できるギリギリぐらいの距離まで進んでいる。

 もう少し進めば見えなくなるだろう。

 さらに進めば、魔力による追跡すら困難になるはずだ。


 だが、ジャイアントクラーケンはその巨体ゆえ、最高速度も速いはず……。

 こいつをフリーにしたら、あっという間に追いつかれる可能性もある。

 ここで深海に帰ってくれれば、ひと安心できるところだ。

 俺としても、すぐに隠密小型船に合流できるので万々歳なのだが……。


「ゴオオォ……ッ!!」


 ジャイアントクラーケンは怒りの咆哮を上げると、触手で海面を叩いた。

 巨大な水しぶきが上がり、凄まじい量の海水が雨のように降り注ぐ。


「うおおぉっ!?」


 俺は慌てて高度を取る。

 危なかった。

 もう少し海面から距離を取るのが遅れていたら、叩きつけるような海水の直撃を食らっていた。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンは、さらに追撃を加えようとする。

 俺は飛び回りながら、それを何とか回避し続けた。


「諦めて帰ればいいものを……。標的を俺に変更したわけか。妨害された腹いせか……? 悪いが、簡単にやられるつもりはない。少しでもみんなの逃げる時間を稼いでやるさ」


 俺はそうつぶやきながら、魔力を高めていく。

 ジャイアントクラーケンに有効な属性は何だろう?

 さっきは『火魔法+剣術』の『斬魔一刀流・魔皇炎斬』で、触手の1本に深い切り傷を付けたが……。

 ここはいろいろと試してみるか。


「――【ライトニングブラスト】!!」


 俺は雷魔法を放つ。

 電撃が、ジャイアントクラーケンの目を狙うが――。


「ゴオオォッ!!」


 奴は、触手でガードした。

 やはり、急所である目は簡単には狙わせてくれないか。

 触手にダメージが入っているはずだが、ジャイアントクラーケンからすれば大したことのないダメージだ。

 人間に置き換えれば、手や足を静電気が襲ったぐらいのものだろう。


「ゴオオォ……ッ!!」


 クラーケンが、怒りの咆哮を上げる。

 俺という鬱陶しいハエを追い払うため、本気で攻撃してくるつもりらしい。

 触手による攻撃が激しさを増す。

 俺はそれを躱しながら、何か弱点はないものかと観察する。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンの口が大きく開かれる。

 奴は、そこから黒い霧のようなものを吐き出した。


「なんだあれは!?  ……うわっ!?」


 俺はそれを回避したつもりだったが、その攻撃範囲は広かった。

 黒い霧は、俺の頭部を襲う。


「っ!? 目が……見えないっ!?」


 俺は咄嗟に回避行動を取り、重力魔法の出力を上げて上空へ逃げる。

 まさか視力を奪う毒か!?

 ……いや、これは単純に黒いスミのようだ。

 だが、真っ暗で何も見えないぞ!?


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンは咆哮を上げる。

 巨大な触手が振り回されている気配を感じた。


「【ウォーターボール】!!」


 俺は水魔法を発動する。

 魔法の水で、目を覆っているイカスミを洗い流した。

 これで見えるようになったな。


「ゴオオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンの触手が俺に迫ってくる。

 直前まで視界不良だったこともあり、避ける暇はない。

 ここは――


「【ロックアーマー】!!」


 土魔法を発動させる。

 無から岩石を生成し、それを鎧のように身に纏った。

 触手が、俺を襲う。


「……っ!!」


 バシャーン!

 鎧を纏っていても、衝撃自体を無にすることはできない。

 俺は海に叩き落される。

 だが、ダメージは小さい。

 俺は海上へ復帰すると同時に、鎧を解除する。


「……やはり、この形態のままで戦えるほど甘くないらしいな。仕方ない。俺の新技を見せてやる」


 俺はそうつぶやくと、闘気と聖気を開放したのだった。

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