【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1130話 幸せな夢【ムウ視点】

公開日時: 2023年8月31日(木) 12:06
文字数:1,702

「へへ……。逃げ場はねぇぜ?」


「いやぁああ! こっちに来ないでっ!!」


 私は悲鳴を上げた。

 目の前にいるのは、ダダダ団の怖い人だ。


「くっくっく。魔導技師ムウだか何だか知らねえが、こうなってしまえば終わりだ。おとなしくしな!」


「い、嫌です! 助けて! 誰か!!」


 私はこれでも、魔導技師としてそれなりに有名だった。

 一回あたりの仕事料もたくさんもらえる。

 だけど、経営の才能はなかったみたい。

 設備にお金を使いすぎて、借金まみれになってしまった。

 そして、ダダダ団に捕まってしまったのだ。


「へっへっへっ。観念するんだな」


「いやっ! ……んぐっ!?」


 私の顔に布を押し付けられた。

 いやだ。

 このままだと、奴隷にされてしまう。

 いや、合法的な奴隷ならまだマシだ。

 この国は、ちゃんと奴隷の権利を認めているから。


 問題は非合法の奴隷だ。

 彼らは人権を奪われて、強制労働に従事させられる。

 過酷な労働環境で働かされるのだ。

 しかも、賃金は一切支払われない。

 つまり、一生奴隷のままで終わることになる。


「……んっ!? むぐうぅ!!」


 必死に抵抗するけどダメだ。

 手足を縛られてしまった。

 口にも猿ぐつわがされている。


 私は魔導技師の仕事に夢中で、女としての魅力は皆無だ。

 だから、男に迫られた経験なんてない。

 初めて男の人に触られるのが、こんな風に乱暴な扱いだなんて……。


「んんんーーー!!!」


 私は必死に叫ぶ。

 性的に手を出されるぐらいなら、魔道具関係の仕事を押し付けられた方がはるかにマシだ。

 実際、ダダダ団の頭領や幹部もそんな話をしていたような……。


(あれ? 私って、ダダダ団に捕まったままだっけ……?)


 誰かに助けてもらったような気もする。

 それで、納期が逼迫している造船作業に取り組んでいたような……。

 都合の良い夢でも見ていたのかな……。


「くっくっく……。大人しくなったじゃねえか」


「……」


「それじゃ、早速始めさせてもらおうか」


「ひっ……! いやぁ……!!」


 こっちが現実なのかな……。

 怖い。

 怖すぎるよぉ……。


「――そこまでだ! 悪党め!!」


「えっ……?」


「な、なんだお前は……?」


 突然、部屋の扉が開かれた。

 そこに立っていたのは、黒いローブを纏った謎の人物だ。

 顔も隠していて見えない。

 ただ、声からして男性のように思える。


「貴様らのような悪逆非道の輩は許せない! 成敗してくれる!!」


「ふざけるな!! こいつは借金のカタだぜ! 正義はこっちにある!! やれっ!! やっちまえっ!!」


「「「おおおっ!」」」


 侵入者を迎え撃つダダダ団の男たち。

 でも、黒いローブの人は強かった。


「な、なんなんだコイツは……?」


「ひぃいいいっ! ば、化け物だ……」


「に、逃げるな!! 全員で戦えば――うぎゃあーーーっ!!」


 彼はあっという間にダダダ団の男たち全員を倒してしまった。

 すごい。

 こんなに強い人がいるなんて……。


「ふっ。他愛もない」


「あ、あの……」


「お怪我はありませんか? 囚われのお姫様」


 彼は私の縄を解きながら、優しく声を掛けてくれた。

 まるでおとぎ話の王子様だ。

 私は思わず泣き出してしまう。


「うううっ……。怖かったです~!!」


「もう大丈夫ですよ。俺が守ってあげますからね」


「はいぃ……」


「唐突ですが、俺の正体は貴族でしてね。あなたを助けるためだけにここへ来たのです」


「へ? ……はい?」


 私は首を傾げた。

 いくら何でも急すぎる。

 え?

 貴族様が、ダダダ団のアジトに単身で乗り込んできたの?

 それも、私を助けるために……?


「あなたを俺の妻に迎えたいと思っています。いかがでしょうか?」


「……は、はい! 喜んでっ!!」


「良かった。では、さっそく愛の契りを結びましょう」


「はい……って、ダメです! そんな、いきなり……」


「いいじゃないですか。俺、ずっとあなたのことを好きだったんですよ」


「え……? でも、私たちは初対面で……」


 おかしい。

 私に都合が良すぎる。

 まさか、これも夢……?


「細かいことはいいじゃありませんか。愛の前では、時間など無意味ですよ」


「はわわ……。でも……」


 貴族様が顔を近づけてくる。

 カッコいい……。

 このままだと流されちゃう……。


「俺はもう我慢できません。いきますよ」


「ええっ!?」


 貴族様が私に覆いかぶさってきた。

 そして――

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