【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

511話 二回戦 ミティvsニム

公開日時: 2021年12月16日(木) 12:41
文字数:2,646

 ハイブリッジ家のトーナメントが開催されている。


「さあ! いよいよ二回戦に進みます! 二回戦第一試合は、ミティ様とニム様の激突!! ミリオンズでも屈指のタイマン戦闘能力を誇る方々ですが、果たしてどちらが勝利を収めるのか!?」


 ネリーが興奮気味にそう言う。

 俺も少し気になるところだ。

 ミティとニムがそれぞれステージに上がる。


「では、早速試合開始ぃー!!!!」


 ネリーの合図とともに、両者が同時に動いた。

 二人とも思い切りがいい。


「ビッグ……メテオ!」


「我が敵を砕け! ストーンレイン!」


 ミティの投石と、ニムの土魔法の激突だ。

 両者が放った石が激しくぶつかり合う。


「おおっとぉぉぉぉぉ!! いきなり激しい遠距離戦が展開されましたぁぁぁぁぁ!!」


 実況のネリーが叫ぶ。

 二人とも、次々と石弾を放ち続けている。


「解説のお二方、この展開をどうご覧になりますか?」


「ふふん。そうねえ。パワーならミティに分があるけど……」


「アイテムバッグに入れてある岩には限りがありますからね。一方のニムちゃんは、かなりのMPを誇ります。遠距離の持久戦になると、有利なのはニムちゃんでしょう」


 解説のユナとサリエがそう言う。

 その言葉通り、ミティの手数が減っていく。

 彼女の投擲の方が一発一発の威力は高いのだが、弾数で劣勢だ。


「こ、降参するなら今のうちですよ」


 ニムが油断なく土魔法を連射しながらそう言う。


「なんのこれしき! まだまだ手はあります!」


 ミティが投石をやめる。

 そして今度は、ハンマーを取り出した。

 彼女が冒険者デビューした頃に使っていた、ストーンハンマーである。

 大戦槌ウリエルではない。

 殺傷能力の高すぎる武器は今大会では禁止されているのだ。

 彼女がニムの石弾に耐えながら、ストーンハンマーを振りかぶる。


「ビッグ・ホームラン!!」


 ガキン!

 打った!

 強烈なライナーがニムを襲う。


「くっ!」


 ニムがかろうじてそれを回避する。

 しかし、そのスキにミティが距離を詰め……。


「ビッグ……ボンバー!!」


 闘気を込めたハンマーを勢いよく振り下ろす。

 ドゴォーン!!

 凄まじい轟音が響く。


「おおっとぉ! これは強烈な一撃だ! 決まってしまったか~!?」


 ネリーがそう叫ぶ。


「ふふん。まだよ」


 ユナの言葉通り、まだ勝敗は決していない。


「ふ、ふう。危ないところでした」


「とっさに土魔法で防ぎましたか。なかなかの反応速度ですね」


 ニムは土魔法のロック・デ・ウォールを発動していたようだ。

 彼女とミティの間には土の壁が生成されており、ミティの攻撃は無効化されてしまっている。


「もう一度です! ビッグ……ボンバー!!」


「ロック・デ・ウォール!」


 ミティのハンマーによる攻撃が、ニムの土壁に防がれる。

 同じような攻防が何度か繰り返された頃……。

 ボロッ。

 ストーンハンマーが崩れてしまった。


「むっ!? 武器の限界ですか」


 いくらミティの闘気によって強化されているとはいっても、もとは普通のストーンハンマーだ。

 ニムの闘気と魔力が込められた土壁の方が固い。


「ま、丸腰ではわたしには勝てませんよ? 降参されてはどうでしょうか?」


「まだまだ戦えます! 最後まで抵抗しますよ!」


「どう抵抗するのですか?」


「それは……」


 ミティが駆け出す。


「拳で! です!!」


 ドゴォーン!!

 ミティのパンチが、ニムの土壁にめり込む。


「う……。武器もなしでこれほどの威力を……?」


 ニムが驚く。

 ミティは腕力強化のスキルをレベル5にまで伸ばしている。

 ちなみにこのスキルの効果は、純粋に腕力が向上するだけにとどまらない。

 手指や関節の強度も合わせて向上する。


「私を舐めないことです!」


「な、なるほど……。では、拘束して無力化させていただきましょう。……ロック・デ・ロック!!」


 ニムが土魔法を発動する。

 これは……俺とニムが婚約した後の夜に、彼女が発動していた魔法だな。

 小型のゴーレムを生成し、相手の四肢にまとわりつく魔法だ。


 あの夜俺は拘束され、ニムにもてあそばれてしまった。

 抵抗できない状況で年下の女の子に責められるという、なかなかハイレベルなプレイだったな。

 しかし、あれはあれで悪くなかった。


「むっ!? 私の足にまとわりつくとは……。邪魔なゴーレムですね」


 ミティが自身の足元のゴーレムを払おうとするが、奴らの腕はガッチリとミティの足首を捕えている。


「さあ!  これで動けないはずです! 一気に決めさせてもらいますよ」


 ニムが勝ち誇るように言う。

 ミティの脚力は、腕力に比べるとさほどでもない。

 このような拘束を受けては、まともに動けないだろう。


「この程度で私を拘束した気にならないことです。……ふんっ!!!」


 ミティがステージに手をついたかと思うと、力強く握りしめた。

 ガッ!!!

 岩でできたステージに、ミティの指が食い込んでいる。

 さすがの握力だ。

 そして、指の強度も半端ではない。


「ぬうんっ!!!」


 ミティが力を込め、足にまとわりついたゴーレムごと腕の力で高く跳躍する。

 すげえ。


「な、なんという馬鹿げた力……。でも、空中ではいい的! 今度は腕を封じます! ロック・デ・ロック!」


 小型ゴーレムが、跳躍中のミティの拳あたりに生成される。

 足に加えて腕まで封じられては、今度こそミティに打つ手はなくなってしまう。


「ふふふ。そう来ると思いました。いい武器をありがとうございます」


 ミティがしたり顔で言う。

 確かに見方によっては、腕に生成された小型ゴーレムはいい鈍器になるだろう。

 彼女が先ほどまで使っていたストーンハンマーや素手よりも、ニムが生成したゴーレムの方が固いだろうし。

 まあ普通の人なら、そもそも腕を動かせなくなるだろうが。


「”侵掠すること火の如し”。ビッグ……」


 ミティがニムの方向に跳躍した状態のまま、腕を経由して小型ゴーレムに闘気を込めていく。


「し、しまった……! ロック・デ・ウォール!!!」


 ニムが慌てて土壁を生成する。

 ミティの攻撃が先ほどと同程度の威力であれば、この土壁に阻まれてしまうだろうが……。


「トンカチ!!!」


 ドゴォーーン!!!

 あたりに轟音が鳴り響く。

 ミティのパンチは凄まじい威力だ。

 俺の予想を遥かに超える威力で、土壁をぶち抜いている。


「う……。む、無念です……」


 ニムはそう言い残して倒れた。


「おおっとぉぉ! ミティ様の強力な一撃で勝負が決まったぁぁぁぁ! 勝者はミティ様です!!!」


 ネリーがそう叫ぶ。


「「「わあああぁ!!!」」」


 観客席が歓声に包まれる。

 ミリオンズ同士の対決は、ミティに軍配が上がったか。

 しかし、ニムも十分に健闘した。

 後で二人とも労っておこう。


 さて。

 次の試合はどうなるかな?

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