【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1032話 助けてくれ! 死にたくねぇ!

公開日時: 2023年5月25日(木) 12:05
文字数:1,736

 チンピラへの尋問を行っている。

 3人の内、2人は知っている情報を吐いた。

 彼らは用済みなので、気絶してもらっている。


「さて……。残りはお前だけだが?」


「ひっ……!!」


 残ったチンピラに声をかける。

 すると、彼は小さく声を上げて涙目になった。


「ま、待ってください……。話す! 全部話しやす!!」


「よし、話せ。まずは魔道具の効果からだ」


「へ、へい」


「ヨゼフという男は知っている。それなりに強そうではあったが、Cランクの魔法使い3人を相手にして勝てるレベルではなかったはずだ。一体どんな魔道具を使った?」


「……」


「黙っていると殺すぞ? いいか、俺は本気だ」


 本気じゃないけどな。

 圧倒的に格下のザコを殺すのは忍びない。

 俺が殺人を犯すとすれば、そのパターンは2つぐらいかな。


 1つは、強敵との死闘で手加減する余裕がなかった場合だ。

 最近では、聖女リッカとの戦いが激しかったな。

 彼女の戦闘能力に圧倒され、ミティやアイリスをも傷つけられた俺は、渾身の『フィナーレ・フラッシュ』をぶっ放した。

 結果的には通じなかったわけだが……。

 あの攻撃は、リッカを殺してしまう可能性を認識した上で放った。

 ミティやアイリスに危険が迫っている状況で、敵の安否まで気にしていられないからな。


 もう1つは、更生困難なガチクズの強力な殺人犯の扱いに困った場合だ。

 単に更生困難なガチクズというだけでは、殺す必要はない。

 隷属の首輪をはめて、死ぬまでこき使ってやればいい。


 問題は、隷属の首輪にワンチャン抵抗できそうなほど強い犯罪者だ。

 俺がずっと近くで見張っていられればいいのだが、そうもいかない。

 俺が不在の間に隷属契約にレジストされてしまったら、犯罪者が自由の身になってしまう。

 その犯罪者がリンドウやラーグ、あるいは他の街で新たな犠牲者を生み出してしまったら目も当てられない。


 罰というよりは、将来的に犠牲者が発生する可能性を抑えるために、更生困難なガチクズの強力な殺人犯は処刑しておくべきだ。

 逆に言えば、そうではない限り俺は人を殺さないだろう。


「さぁ、話せ。闇がお前を襲わないうちにな」


「ヒッ……。わ、分かりやした。よ、ヨゼフが使ったのは、おそらく古代魔道具の類いです。名前は……確か……『ナントカの芳香』だったと思います」


「芳香? トイレの消臭剤みたいな名前だな」


「へ? ……ああ、はい! そうです!」


「……嘘つけ」


 どう見ても適当に言ってただろ。

 この期に及んで隠し事をしようとするなんて往生際が悪いなぁ……。

 仕方がない……。


「もっと正確な情報はないのか? 例えば、その魔道具の能力や効果範囲などだ」


「ええと……そこまでは知りません……。俺も実際に見たわけではないんで……」


「そうか。ならお前は用済みだ」


「え? あ……あ……」


「闇に呑まれて消えろ。――【影棺】」


 俺は影魔法を発動させる。

 チンピラの足元から黒い影が出現し、彼の身体を拘束する。

 そして、そのままゆっくりと地面の中に引きずり込んでいく。


「や、やめっ……! 助けてくれ! 死にたくねぇ!!」


 チンピラが必死の形相で叫ぶ。

 そんな彼を嘲笑うかのように、影はチンピラの全身を呑み込んでいく。


「安心しろ。死にはしないさ。俺が許可するまでは……な」


「――ッ!!」


 俺は小さく笑みを浮かべる。

 間もなくして、チンピラは3人とも影魔法で拘束された状態で影の中へと姿を消した。


「これで証拠も残らない。……っと、やはり3人もの収容はMP消費が激しいな……」


 俺が発動した『影棺』は、異空間に人や物体を収納できる魔法だ。

 空間魔法の『アイテムボックス』や『アイテムルーム』の亜種であると言ってもいい。

 それらよりも優れている点として、生物を収納できることが挙げられる。

 ただし、よほどの魔力差がないとレジストされてしまう上、収納中のMP消費も激しいのが難点だが。

 生物を収納できる点を除けば、概ね『アイテムボックス』や『アイテムルーム』の方が優れていると言っていいだろう。


「さて。エレナたちが敗北してしまった今、いよいよ我らダークガーデンが動く必要があるな。テルティウムとクァルトゥスにも声を掛けて、動き出すとするか。ふふふ、闇に潜む者たちの宴が幕を開ける――前奏曲といこうじゃないか」


 俺はニヤリと笑って、その場を後にしたのだった。

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