【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1013話 ヌルっとした変な液体

公開日時: 2023年5月6日(土) 12:19
文字数:1,766

 俺はサーニャちゃんに、何か力になれることはないか聞いた。


「え? で、でも……お客様は既に金貨100枚も出してくれて――って、ああっ! そうでしたにゃ! お客様に金貨100枚を返さないといけなかったのですにゃ!!」


 サーニャちゃんが慌て出す。

 俺はダダダ団に対して、彼女の代わりに金貨100枚を返済してあげたのだ。

 本来であれば、それで借金が完済となって一件落着のはずだったのだが……。

 強欲でたちの悪い彼らは、土壇場で借金額を水増ししてきた。

 つまり、俺はあいつらにタダで金貨100枚を上げてしまったようなものである。


「ごめんなさいですにゃ! お客様は命の恩人の上、すっごい額のお金まで出してくれたのに……」


「はは……。いいんですよ。気にしないでください」


 俺は慌てて謝るサーニャちゃんに笑いかける。

 金で恩を売れば、気軽に忠義度を稼ぐことが可能だ。

 しかし、それにも限界がある。

 通常の加護には忠義度50、加護(小)には忠義度40が必要だ。

 金貨100枚を肩代わりした程度でドヤ顔してしまうと、せいぜい忠義度30ぐらいで止まってしまうだろう。


「でも――」


「むしろ、これで貸し借りなしということでいかがでしょうか?」


「にゃにゃっ!? にゃぁは、お客様に貸しなんて作っていないのですにゃ! にゃぁがお客様にお礼をしなければいけないのですにゃ!」


 サーニャちゃんが焦りだす。

 どうやら心当たりがないようだ。


「この部屋のことですよ。きれいに掃除をされたようで、今はすっかりきれいになっていますが……。朝は、なかなかにひどい状態になっていたのではありませんか?」


「にゃ? あ、そういえばそうでしたにゃ! シーツがグチャグチャでシミだらけでしたし、ヌルっとした変な液体とかも床に広がっていましたにゃ!」


「でしょう? ですから、借金の肩代わりはそのお詫びということにしましょう」


 俺はそう言う。

 昨晩は、モニカやニムと共にハッスルしてしまった。

 普段からハイブリッジ邸で夜の運動会を楽しんではいる。

 だが、こうした旅先では解放感もあってか、ついハメを外すことが多い。


 特に今回は、いつも以上に盛り上がってしまった気がする。

 その結果、液体やら何やらが色々と飛び散ってしまったのだ。

 そういう類の宿でもないのに、シーツや床を汚しまくるのは明らかなマナー違反である。

 お詫びと謝罪金が必要だ。


「そ、そういうわけにはいきませんにゃ!」


「どうして?」


「もう十分すぎるほどのお金をもらっていますにゃ! ただの掃除で金貨をもらった時点で、もらいすぎですにゃ! その上、金貨100枚の肩代わりなんてあり得ませんにゃ!!」


 サーニャちゃんは必死に反論してくる。

 俺の提案を受け入れても、彼女にとって特に不都合はないはずなのに……。

 律儀な子だな。

 だが、ここで引き下がるわけにもいかなかった。


「年頃の女の子が、あんな状態のベッドを掃除のは辛かったと思いますよ。どうか、お礼として受け取ってください」


「にゃ? 大変でしたが、辛くはなかったですがにゃぁ……。ヌルっとした変な液体があったぐらいで……」


「まさにそれが問題だと思っていたのですが……」


 元々がそういう類の宿屋であれば、そっち方面の掃除にも慣れているだろう。

 担当者がオッサンやオバチャンであれば、俺もあまり気にしなかったかもしれない。

 しかし、サーニャちゃんは13歳ぐらいだし、そういったことにも疏そうだ。

 この感じだと、あの液体の正体すら理解していないようである。


(言うべきか、言わざるべきか……)


 俺個人の感覚ならば、正直に言うべきだと思う。

 今回の出来事をきっかけに、彼女にちゃんとした知識を付けてもらうのだ。

 サーニャちゃんという発展途上の膨らみかけ美少女……。

 そんな彼女が初めて掃除したのは、アレだったのだ。

 それを思うだけでも、少しばかり興奮してしまう。


(いやいや、そんなゲスな欲望のために伝えるわけにもいくまい。世の中には、知らない方が幸せってこともあるんだし……)


 俺は首を振った。

 そんな俺を見て、サーニャちゃんが不思議そうな表情を浮かべる。


「どうされましたにゃ? ――あっ、これは……」


「え?」


 サーニャちゃんが視線を向けた先を、思わず見る俺。

 床の片隅であるそこには、昨晩の『エクスプロージョン』の跡があった。

 拭き残しだろうか?

 それは、まだ乾ききっていないように見えたのだった。

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