【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1065話 炎精サラマンダー

公開日時: 2023年6月27日(火) 12:13
文字数:2,003

 龍神ベテルギウスにボコボコにされ、海に沈んだ俺。

 人魚メルティーネのファーストキスを受け取った影響か、水の中でも最低限の呼吸はできる。

 さらには、俺の体内から炎精サラマンダーが話しかけてきた。

 彼女の存在が、ベテルギウス突破の足がかりになり得る。


「それで……どうしてこのタイミングで話しかけてきたんだ?」


『ふんっ! ただの気まぐれよ! べ、別にご主人様がピンチだから慌てて出てきたとか、前のピンチじゃ力が馴染んでなくて出られなくて後悔したとか、そういうんじゃないんだからっ! 勘違いしないでよねっ!!』


「……」


『まっ! どうしてもアタシの力が必要って言うなら、今回は力を貸してあげなくもないけどっ!!』


 俺の体内で、サラがそっぽを向くような仕草をするイメージを感じた。

 これがツンデレ属性……。

 正直、面倒臭い……。

 いや、待て。

 ここは正直に――


「サラ。俺にはお前の力が必要みたいだ。力を貸してくれないか?」


 俺は素直に頼むことにした。

 俺の直感だが、こいつはかなり使える。

 それに、この状況を打開するには、こいつの力が不可欠だと思ったからだ。


『ふ、ふん! しょーがないわねーー!! そこまで頼まれたら断れないじゃない!』


「すまんな。緊急事態なんだ」


『いいわ! 特別に力を貸すことにする! 感謝しなさいよねっ!』


「あぁ、助かる」


 俺は礼を言う。


「それじゃ、早速だが――」


『あ、ちょっと待って。……えいっ!』


 ぽんっ!

 俺の右手から小さな爆発が起こる。


「な、なにを……?」


「一時的に実体化したのよ。どう? アタシぐらいの精霊になれば、実体化もできるんだからねっ! すごいでしょ!!」


 俺の目の前に、可愛らしい妖精のような美少女が現れた。

 年齢は14歳前後といったところか。

 赤い髪に、勝ち気な瞳をしている。

 手足がすらっと長く、胸もそれなりに膨らんでいる。

 全体的にバランスの取れた体つきだ。

 うん、可愛いな。


「……なにジロジロ見てんのよ? スケベ!」


「あっ、悪い……。つい……」


 俺が彼女に視線を奪われた理由。

 それは、彼女が全裸だったからである。

 まぁ、大切なところは炎が揺らめくようにして隠されていて見えないのだが……。


「炎精なのに、海中で実体化しても大丈夫なのか?」


「バカにしないで。これでも参級精霊なんだから! こんなの余裕よ、余裕っ!!」


「そうか……」


 理屈はよくわからんが、大丈夫らしい。

 それよりも話を進めよう。


「なんのために実体化したんだ?」


「こっちの方が話しやすいからよ。アタシの可愛い声を直接聞かせてあげる。ありがたく思いなさいよねっ!」


「そうか……。それはありがとうな」


「ふんっ!」


 彼女は鼻息荒く、腕組みをしてそっぽを向いた。

 どうも俺は嫌われてしまったようだ。

 ……いや、違うな。

 ツンデレの彼女は、これが平常運転なのだろう。

 特に気にすることはない

 それより話を戻そう。


「それで……俺はどうすればいい? 英霊ベテルギウスの力は脅威だ」


「えぇ、そうね。あんな化け物相手に勝てる人間はいないでしょうね」


「……」


「でも、安心して。ご主人様なら大丈夫よ」


「どういうことだ?」


「アタシがご主人様の中に戻って、力を貸してあげるの。炎精サラマンダーの名にかけて、必ず勝利に導いてあげるんだからっ! 光栄に思いなさいよねっ!!」


 自信満々に宣言する彼女。

 俺はその言葉に驚く。


「奴は龍神と名乗っている。仮にも神を相手にして、サラの力でどうにかなるのか?」


「きっとなんとかなるわ。異世界の英霊については、アタシも詳しくないけど……。龍神ベテルギウスは、実際には神じゃないはずだもの」


「え? そうなのか?」


「ええ、おそらくだけど……。異世界の民衆が彼の強さを称えて、彼のことを『龍神』という二つ名で呼ぶようになっただけだと思うわ。実際の神は、あんなものじゃない。それこそ、炎の大精霊プロドナス様以上の格があるわけだし……」


「……そうか」


 俺は考える。

 ……彼女の言う通りかもしれない。

 龍神ベテルギウスは、確かに強い。

 だが、その力は本物の神に比べれば、まだまだ足元にも及ばないはずだ。

 ならば、サラの力を信じるのもありか?

 いや、しかし――


「ご主人様、何を迷っているの?」


「……」


「ご主人様の強さは、アタシも知っているわ。プロドナス様からも認めてもらえた。だからこそ、アタシはご主人様のところに来れた」


「……」


「ご主人様はこの世界の希望になる人よ。だから――」


 サラはそこまで言うと、俺の手を握る。


「信じて、ご主人様」


 真っ直ぐな目で俺を見つめるサラ。


「わかった」


 俺は覚悟を決める。


「俺を信じて、力を貸してほしい。サラ」


「ええ、任せなさい。アタシのご主人様っ!! べ、別に力になれて嬉しいとか思ってないんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!!」


 サラがまたもやツンデレ流の言葉を吐きながら、俺に抱き着いてくる。

 こうなればもう後戻りはできない。

 俺は覚悟を決める。

 彼女の力を借りて、龍神ベテルギウスを撃破してやるぜ。

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