「ふむ。なるほど……。確かに、君たちの言うことも分かる」
俺はゆっくりとうなずく。
強弁するだけでは、理解は得られない。
歩み寄りも必要だ。
「え……? 分かってくれるの?」
「ああ。ふんどしは確かにただの下着だ。だがしかし! ふんどしは、その機能性の高さから様々な用途に使える! 例えば……。そうだな、君たちが着ているふんどしを貸してくれ」
俺は少女たちに言う。
だが、反応はあまり芳しくなかった。
「え? なんで?」
「嫌に決まってるでしょ。変態侍に貸すなんて……」
「そっか……。ならば、仕方ないな」
俺は残念そうに肩をすくめる。
彼女たちはふんどしを貸してくれそうにない。
だが、ここで簡単に諦めるわけにはいかなかった。
彼女たちの誤解を正して、ふんどし愛を広めなければ……!
「あんたさ……。今なら見なかったことにしてあげるから、さっさとここから出て――」
「【秘技・神風の術】!!」
俺は少女たちの話を遮って叫ぶ。
そして、素早く彼女たちのふんどしを剥ぎ取った。
「えっ……!?」
「ちょ、ちょっと!?」
少女たちが驚きの声を上げる。
だが、今さら返せと言われてももう遅い。
俺は少女たちのふんどしを手に持ち、高々と掲げてみせた。
「これは素晴らしいふんどしだ! 君たちのふんどしは、実に素晴らしいぞぉ!!」
俺は全力で褒め称える。
ここで文句を言わせてはいけない。
ふんどしへの愛で、少女たちを圧倒する。
「え……? あ、ありがとう……?」
「いや……。でも、変態侍に言われても……」
「このふんどしには、君たちの魅力がたっぷり詰まっているな! 素晴らしい!」
俺は少女たちのふんどしを褒め続ける。
そして、彼女たちに一歩近づいた。
「ひっ!?」
「な、なによ! もう十分でしょ!? さっさと出て行ってよ!」
少女たちが後ずさりする。
だが、俺はもう止まらない。
「どうだ? 君たちも、ふんどし仮面にならないか?」
「いやよ! 絶対に嫌!」
「私も! 変態になるつもりはないから!!」
少女たちが全力で拒否する。
やはり、そう簡単にはいかないようだ。
悲しいことだな。
だが、ここで諦める俺ではない。
「信じてくれ! 俺は君たちを辱めるつもりなんかない! この通り、武器も持っていない!」
俺は少女たちを説得するために、無手であることを示すように両手を広げる。
刀は、あらかじめアイテムボックスに入れておいた。
「そ、そんなこと言われても……」
「いや、ちょっと待って。確かに、武器は持ってないみたい」
「ええ。変態とはいえ侍なら腕力も強いだろうけど……。私たち全員をどうにかできるほどでもないかも?」
少女たちが少しだけ警戒を緩める。
人数は武器だ。
よほどの実力差がない限り、多人数を相手にするのは困難である。
まぁ俺の場合、武闘や魔法でどうにでもできるのだが……。
そのあたりの事情をわざわざ明かす必要はないだろう。
さて、このままなんとか穏便に……。
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