【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1407話 決着

公開日時: 2024年6月7日(金) 12:09
文字数:1,362

「やったか!?」


 俺の問いに答える者はいなかった。

 煙が晴れると、そこには満身創痍の幻影たちが膝をついている姿があった。


「お見事……」


「この力……愛する女性の数だけ強くなれるというわけか」


「我らでは勝てぬわけだ」


「本人格よ。我らの力……参考にされたし」


 幻影の数人がそう言う。

 そして、そのまま砂のように崩れ去った。


「……自分で自分をぶっ殺すってのも、嫌なもんだな」


「それは違う。我らはただの精神体だ」


「あくまで貴方の魂を計測し、可能性を演算し再現しただけの存在ですから……」


「我らは……本人格の糧となり、永遠に生き続けるのだ……」


 幻影たちが次々と口を開く。

 彼らの口調は、どこか安らかだった。

 俺は無言で彼らを見つめる。

 そして――彼らはそのまま砂のように崩れ落ちた。


「……」


 俺は何も言えなかった。

 砂のようになった彼らの亡骸は、サラサラと隙間風に乗って消えていく。

 彼らの言葉が真実なら、言わば人工知能のような存在だったのだろうか?

 だが、あの記憶は鮮明で、生々しかった……。

 俺は最後に残った幻影に視線を向ける。


「本人格よ……。本物のマイハニーを泣かせたら……許さないぞ……」


「任せとけ。俺の愛は、魅力的な女性の分だけ存在する。その中でも……この世界で最初に出会ったミティへの愛は、特別さ」


「……任せたぞ。さらばだ……」


 最後の幻影がそう言うと、彼の姿は完全に消え去った。

 これで一件落着と言っていいだろう。

 術者であった巫女イノリの姿が再び現れているが、意識を失っているようだ。

 とりあえずは放置でいい。


「ふぅ……」


 俺は大きく息を吐いた。

 そして、自分の両手をジッと見つめる。


「そうだ……。ミティ……アイリス……。共鳴水晶が示していた方角は……」


 彼女たちの名前を口にすると、愛おしさが込み上げてくる。

 彼女たちの温もりを、俺は確かに感じたのだから……。

 早く合流しないとな……。


「ぐっ……!?」


 不意に、俺は全身に痛みを感じた。

 何か、身体が重い……。

 体の構造が変化していくような……。


「な、何だ……?」


 俺はステータス欄を開いてみる。

 ステータス自体に異常はなかった。

 だが、いつの間にか新たなミッションが追加されている。



ミッション

霧隠れの里の幻影に打ち勝とう

報酬:ハーレム・スタイルのユニークスキル化

   スキルリセットの削除



「な、何だ……これ……」


 俺は思わずつぶやく。

 ハーレム・スタイルのユニークスキル化?

 よく意味が分からない。

 だが……おおよその想像はできる。

 先ほど出した力を、スキルという枠組みに落とし込んでくれるのだろう。


 それは、まぁいい。

 問題は、『スキルリセットの削除』だ。

 一度も使ったことがない機能とはいえ、勝手に削除されるのは困る。


「おい、権限者! 何を勝手なことをしてるんだ! 俺はミッションが追加されたことすら知らなかったぞ! それに、俺はまだミッションの達成処理をしていなかったじゃないか!!」


 俺は虚空に向かって叫ぶ。

 しかし、俺の声はむなしく木霊するだけだった。


「くそっ……。とにかく、ミティたちと合流しないと……あぐぅっ!?」


 俺は全身に走る激痛に思わずうずくまる。

 そして、そのまま地面に倒れ込んでしまった。


「う……ぐ……」


 俺の身体が変化していくのを感じる。

 ミティやアイリスたちに会いたい。

 だが、動けない……。

 そして、俺はそのまま意識を失ったのだった。

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