【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1545話 桜花七侍、来襲【紅葉side】

公開日時: 2024年10月23日(水) 12:06
文字数:1,596

「ふぁあ……。おはよーさん、ガキども」


 紅葉たちが視線を向けた先には、あくびをしながら歩いてくる男の姿があった。

 その両隣には、ガタイの大きい男と細身の男もいる。

 今の武神流道場は、一般に開放していない。

 雷鳴流とのイザコザを通して全ての門下生が辞めてしまい、その後は桜花七侍とのひと悶着もあったからだ。

 いずれは流派を再興させるときもくるだろうが、それは今ではない。


「桔梗さん、以前の門下生の人たちですか……?」


「違う……。こいつら、誰?」


 紅葉と桔梗が、見知らぬ男に対して警戒感を露にする。

 一方、流華は……


「ふっ!」


 一瞬で間合いを詰め、男の背後に回り込んだ。

 彼女は男の腹部に、躊躇いなく短剣を突き刺す。


「お……おっ!?」


 眠たげな表情の男が驚きの声を上げる。

 抵抗する暇もなく、続けて流華のキックが彼を襲った。

 男は勢いよく弾き飛ばされ、道場の床に倒れる。


「流華くん!?」


「ちょっ……いきなり……?」


 紅葉と桔梗が驚いた様子で流華を見る。

 だが、そんな2人に対して流華は……


「こいつらの顔、オレは知ってる! 姉御と一緒に情報収集していたからな。こいつらは桜花七侍の――ぐっ!?」


「ふぁあ……。いきなり酷いことするじゃねぇか、ガキ。激しい運動は嫌いなんだがなぁ……」


 流華が話そうとしたところで、首筋を掴まれてしまう。

 同時に、眠そうな男の声が彼女の背後から聞こえてきた。


「なっ……!? オレの短剣には麻痺毒を塗ってあったはず……。それに、蹴りの威力だって半端ねぇはずなのに……」


「ああ、痛かったぜ。眠気覚ましにはちょうど良かったがな。この俺『蒼天』に、あんな攻撃は効かねぇ」


「この……バケモンがぁ!」


 流華は掴まれている男の手を振りほどき、距離を取る。

 それと同時に短剣を鞘に納めた。

 理由は不明だが、男――蒼天に麻痺毒は効かないようだ。

 それに、短剣が突き刺さったはずの腹部には出血すら見られない。

 ならば、他の手段を考える必要がある。


「待て待て――。俺たちは戦いに来たわけじゃない――。蒼天への攻撃は水に流すから、まずは話をしよう――」


「……うるさい!!」


 間延びした声で説得しようとする男に対し、桔梗が攻撃を仕掛ける。

 師範や高志による指導により、彼女たちの近接戦闘技術は急速に向上している。

 1対1の搦め手なしでの短時間の近接戦闘なら、無月にも及ぼうかというレベルだ。


「おっと――。何をそんなに怒って――?」


「桜花七侍は、私たちの敵……。高志くんの邪魔になる存在……!!」


「語るに落ちたな――。やはりお前たちは重要参考人だ――。この『夜叉丸』、桜花七侍の職務を全うする――。少しばかり荒っぽくなるが、許してもらうぞ――」


「ちぃ……!!」


 桔梗が夜叉丸に攻撃を仕掛けるも、謎の武具で軽くいなされてしまう。

 どうやら、金属製の扇を戦闘に用いるようだ。


「桔梗さん! 私の植物妖術で援護を……えっ!?」


「おでの存在を忘れてもらっちゃ困るんだな」


 援護しようと構えた紅葉の前に、ガタイの大きい男が立ちふさがる。

 かなりの体格差だ。

 大男が軽く手を動かしただけで、紅葉は大きく弾き飛ばされてしまう。

 稽古場の壁を突き破り、彼女は武神流道場敷地内の中庭まで吹き飛ばされた。


「あぐっ!! う、うぐ……」


「痛いのが嫌なら、大人しくするんだな。お友だちも一緒に、治療してあげるんだな」


「くっ!! 誰が……!」


「戦っても無意味なんだな。おでは馬鹿だけど、力には自信があるんだな。『巨魁』の名をもらった俺が、子どもに負けるわけがないんだな」


「でも……!! それでも……!!!」


 紅葉は地面を這うように、なんとか立ち上がる。

 そして、鋭い視線で巨魁を睨んだ。


「外に移動したのは失敗でしたね……? 高志様に薫陶を受けし私の力、見せてあげます!!」


 紅葉が叫ぶ。

 こうして、『紅葉vs巨魁』『桔梗vs夜叉丸』『流華vs蒼天』の構図で、武神流道場を舞台に戦いが始まろうとしていたのだった。

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