「……ん?」
俺はふと目を覚ます。
どうやら、眠ってしまっていたようだ。
「しまったな……」
ここは敵地のど真ん中だ。
いや、まだ戦闘などにはなっていないので、敵地という言い方は適切ではないかもしれないが……。
ミッションに従って俺はここを攻め落とすつもりだし、将来的には敵地となる場所だ。
もっと気を引き締めるべきだった。
さっさと撤収する必要がある。
「えっ……?」
俺はふんどしから頭を上げようとした。
だが、頭が動かない。
「なんだ……!?」
俺は必死に身体を動かそうとするが、まるで金縛りにあったように身体が動かない。
これは一体どういうことだ!?
「ま、まさか……。本能が俺をここに押し留めているのか!?」
俺は戦慄する。
生物には、子孫を残そうとする本能がある。
それは人間も例外ではない。
そして、俺の周囲にあるふんどしは美少女たちの衣類だ。
フェロモンたっぷりのふんどしに、俺の本能が引き寄せられて……。
「くっ……! まずい!!」
俺は冷や汗をかく。
このままでは……このかごの中で餓死してしまう!!
これらのふんどしには、それほどの魅力がある!!
「そんな死に方も悪くは……いや、ダメだ!」
俺は必死にふんどしから抜け出そうとする。
だが、やはり身体は動かない。
「くっ……! こうなったら……」
俺は空間魔法の『アイテムボックス』を開く。
そして、周囲にあるふんどしを次々と収納していった。
「ふぅ……。絶体絶命のピンチだった。これでひと安心だな」
ふんどしを全て回収した俺は、ほっと胸を撫で下ろす。
素敵なふんどしがたくさん手に入った。
あとでたっぷりと楽しませてもらおう。
心の余裕ができたおかげで、金縛りからも解放された。
そろそろ桜花城からも撤収する頃合いかもしれない。
「おっと、その前に……」
俺は『インビジブル・インスペクション』を再使用する。
これを使っておかないと、侍や女中に見つかってしまうかもしれないからな。
「これでよし。……ん?」
かごから半分ほど体を出した俺だが、人の気配を感じてもう一度中に入った。
誰かが部屋に入ってくる!
「でさー、その侍がまたうざくてさー」
「わかるー。私もこの前、居残りの仕事を押し付けられちゃって……」
「あ、私もそれやられました! ほんと、下級武士のくせに偉そうで……」
「だよねー。あ、でも……。影春様はお優しいよ?」
「そうそう! 増税で苦しんでいる人もいるらしいけど、私たちには臨時金を与えてくれるし!」
「変な侍と違って、色目も使わないしね!」
かごの外から、数人の女の子の声が聞こえてくる。
声から察するに……おそらく若い女中だろう。
しかも、藩主である影春に接する機会もあるらしい。
(おおっ! みんな美少女だな……!!)
俺はかごの中から少しだけ顔を出す。
すると、部屋の中に数人の少女が立っているのが見えた。
年齢は10代半ばから後半といったところか。
みんな可愛い……!
(会話を聞かせてもらうことにしよう。侍たちとはまた違った方向性の話が聞けるかもしれない)
俺はかごの中で息を潜める。
そして、少女たちの話に耳を傾けるのだった。
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