【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1519話 ば、馬鹿な…!

公開日時: 2024年9月27日(金) 12:06
文字数:1,050

「速度がご自慢か?」


「そうだ! 我ら雷鳴流は、雷の如き剣速を目指し鍛錬をしている!!」


「決まった型を持たぬ流浪人風情に、負けるはずがない!!」


 俺の問いに、男たちが叫ぶ。

 彼らにも雷鳴流剣士としてのプライドがあるようだ。

 桔梗の誘拐や監禁に加担しているくせに……。


「ならば、こちらも『雷速』で攻めるのみだ」


 俺は呟く。

 魔力を開放し、雷系統に変質させた。


「む……! 雷妖術との合わせ技か!」


「こいつは珍しい……! 初めて見たぞ……!!」


「臆するに足らん! ただ物珍しいだけだ!!」


「そんな見世物芸で勝てると思うな!!」


 彼らは一斉に斬りかかってくる。

 俺はそれを回避しつつ、刀を振るった。


「【雷光一閃】!!」


 俺は雷魔法を発動する。

 刀に魔力を纏わせ、剣速を上昇させる武技だ。


「うおおおっ!?」


「ぐああああぁっ!!」


「ぎゃああああぁっ!!!」


 俺の一撃を受けた男たちは吹き飛ばされる。

 その一撃で、全ての門下生が気絶した。


「残ったのはお前だけか。準師範というだけあって、ちゃんと最後まで残っているじゃないか。褒めてやろう」


「ば、馬鹿な……! 一瞬で、雷鳴流の未来を担う『十傑』が全滅だと……!! こんなことが……!! あ、あり得ない……!」


 俺は、呆然としている準師範の男に歩み寄る。

 完全に無防備だ。

 俺はそのまま彼の首元に刀を振り下ろした。


「あぐっ!?」


「峰打ちだ。しばらく眠ってろ」


 俺は刀を鞘に納める。

 準師範の男は倒れ伏した。


「さて、残るは雷轟だけだ。さっさと倒してしまおう」


 俺は稽古場の奥を見る。

 そこには、雷轟が待ち受けているだろう。

 もし桔梗の身に何かあれば、俺は……。


「う……ぐ……! ……いや、今は考えるのはよそう。まずは、雷轟を倒すことだけを考えるべきだ……」


 俺は自分に言い聞かせるように呟く。

 気を抜くと、闇の感情に飲み込まれそうになる。

 この力は強大だ。

 単純に戦闘時のパワーなどが増す他、精神的な思い切りが良くなる。

 身を任せた方が、いろいろな事柄がスピーディに進んでいきそうだ。

 しかし同時に、何か大切なものを失ってしまいそうな気もするのだ。


 ただでさえ記憶喪失で自分というものを半ば見失っている今、どす黒い感情に染まってしまったら……。

 いよいよ、俺が俺でなくなってしまう。

 そんな予感がした。


「とにかく、今は桔梗だ……。彼女さえ無事なら、まだ引き返せる……。紅葉や流華とも合流して、楽しく暮らそう……。無月が改心したなら、流華の師匠になってもらうのもいいな……」


 俺は必死に闇の感情を抑え込む。

 そして、道場の奥へと進んでいったのだった。

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