チュンチュン……。
朝になり、小鳥のさえずりが聞こえた。
「いや、ここは海底の王宮だから……魚か何かの鳴き声か?」
俺はそんなことをつぶやきながら、ベッドで上体を起こした。
隣にはメルティーネがいる。
彼女はスヤスヤと眠っていた。
「ん……」
メルティーネが寝返りを打つ。
可愛い。
俺は彼女の頭を撫でた。
彼女はくすぐったそうにする。
「んん……」
メルティーネは目を開いた。
そして、俺を見る。
「タカシ様……おはようございますですの」
「ああ、おはよう」
俺は答える。
メルティーネは微笑んだ。
「幸せですの……」
そう言って、俺に抱きついてくる。
俺は彼女を抱きしめ返した。
「メルティーネ……」
俺は彼女の唇を奪う。
昨晩、何度もキスをしたが……それでもまだ足りなかった。
お互いに舌を絡め合い、愛を確かめ合うような濃厚なキスをする。
「ぷはっ……」
やがて、俺たちは唇を離した。
俺はメルティーネの頭を撫でる。
彼女はウットリとした表情で目を細めた。
そんな彼女に、俺は言う。
「朝の身支度を整えていく前に……もう少しだけ、こうしていようか」
「はいですの……」
メルティーネは微笑んで答える。
そして俺たちは、ゆったりとした時を過ごす。
俺は彼女の体温を感じながら、彼女のステータス画面に目を落とした。
レベル?、メルティーネ=ユークリオーシャ
種族:人魚族
身分:人魚の里の王女
役割:王女
職業:ーー
ランク:ーー
HP:高め
MP:??
腕力:??
脚力:??
体力:??
器用:低め
魔力:??
残りスキルポイント:???
スキル:
水魔法レベル4(3+1)
気配察知術レベル3(2+1)
??
ステータスの確認はこのタイミングになったが、実はもう少し前から加護(小)を付与できていた。
昨晩の行為を通じて、さらに仲を深められたのだが……。
通常の加護にはギリギリ届かなかった。
本当にギリギリだ。
あと2~3週間ぐらいあれば確実に付与できると思うが……。
あまり悠長にもしていられない。
ミティたちが待っているからな。
それに、メルティーネに通常の加護を付与できる頃には、リマやリリアンの忠義度ももう一息という水準に達していることだろう。
そうなると、彼女たちにも通常の加護を……という気持ちが芽生えてくるはずだ。
キリがない。
日程に余裕があれば彼女たちとさらに仲を深めるのもやぶさかではないが、今は時間が惜しい。
(なぁに、また会う日は来るさ。それよりも今は、彼女のステータス確認だな……)
メルティーネの身分は、もちろん王族だ。
スキルは……水魔法がなかなかのレベルである。
俺がエリオットやアビス・サーペントと戦っているときにも、水魔法で助けてくれたことがあったな。
アビス・サーペントの水球を、海の精霊で防いでくれたのだ。
(それに加えて、気配察知術まで持っていたとはな……)
このスキルを持つべきなのは、メルティーネじゃなくて護衛の者たちだろう。
彼女の身に危険が迫ったとき、いち早く察知できるからだ。
しかし同時に、彼女自身がこのスキルを持っていても損はない。
(まぁ、1人で里の外を冒険したりしていたらしいからな……。結構なお転婆姫だ)
メルティーネがダダダ団の頭領リオンに見つかったのも、1人で里の外を冒険していたのが原因だったはずだ。
彼女は危険な冒険を楽しむタイプらしい。
逆説的だが、気配察知術くらいは持っていないと命がいくつあっても足りなかったとも言える。
加護(小)では、彼女のスキルの全ては確認することができない。
ひょっとすると、『気配隠匿術』あたりも持っていたりするかもな。
「ふふ……。私の顔に何か付いていますの?」
俺がジッと見ていたのが気になったのだろう。
メルティーネが尋ねてきた。
「いや、可愛い顔が付いていると思ってな」
「も、もうっ……。タカシ様ったら……」
俺の言葉にメルティーネは頬を赤らめる。
俺はそんな彼女をもう一度抱き寄せたのだった。
次は……ミッションの件を確認しておくことにするか。
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