1週間後にユナとリーゼロッテを招いて、食事会を開く。
それが終わったら、ガロル村とやらの情報を集めて、この街から旅立つ予定だ。
この街でやれることはやっておかないといけない。
まずは風呂だな。
この機会を逃すと、次に風呂に入れるチャンスはなかなかないだろう。
今日は冒険者活動を休みとしている。
モニカとニムは、それぞれの自宅で過ごす。
アイリスは、ラーグの街をブラブラすると言っていた。
俺とミティはこの家でゆっくりするつもりだ。
いい機会だし、風呂のお湯はりのテストをしておこうかな。
風呂場に向かう。
浴槽の前に立ち、水魔法の詠唱を開始する。
もちろん、浴槽内や洗い場などは掃除済みだ。
「……ウォーターボール」
ドッジボールぐらいの水球が生成され、浴槽中に落ちる。
「……ウォーターボール」
「……ウォーターボール」
「……ウォーターボール」
何度も発動する。
うーん。
少しずつ溜まっているが、なかなか時間ぎかかりそうだ。
「タカシ様。水が必要ですか?」
ミティが様子を見に来てくれた。
「そうだな。水魔法でいけるかと思ったのだが、なかなか骨が折れそうだ」
「では、私も微力ながらお手伝いしましょう。井戸から汲んできますね」
ミティがそう言って、風呂場から出ていった。
井戸へ向かったのだろう。
彼女の力は、微力どころか豪力だ。
非常に助かる。
その後、ミティの水汲みと俺の水魔法により、水を入れ続けた。
「よし。とりあえず水ははれたな。ありがとう、ミティ」
「お安い御用です。お役に立てたのであれば、うれしいです」
ミティがそう言って、うれしそうな顔をする。
「では、次は水を温めてみよう。ミティは自分の部屋かリビングでゆっくりしていてくれ」
「いえ、しばらく見学しようと思います」
「そうか。見ておもしろいものでもないかもしれないが」
まあ本人が見学すると言っているのであれば、断る必要もない。
かわいいミティが見ているとなれば、やる気も出る。
さて。
どうやって水を温めるか。
いきなり高威力のボルカニックフレイムやファイアートルネードなどを試してみて、火事になったりしたらマズい。
まずは火魔法レベル1のファイアーボールから試してみよう。
心の中で詠唱を開始する。
「……ファイアーボール」
火球が生成される。
火球を操り、浴槽の水の中に入れる。
すぐに火球は消えた。
ファイアーボールでは火力が低過ぎるようだ。
何度も繰り返せば温まってくるかもしれないが。
あまり効率は良くない。
火魔法レベル2のファイアーアローも同じような結果になるだろう。
ファイアーボールよりも射程が上がる分、威力が下がった魔法だからな。
次に試すとなると、火魔法レベル3のファイアートルネードか、火魔法レベル4のボルカニックフレイムか。
どちらも、家の中で試すのは少し怖い魔法だ。
普通に薪を燃やして温めるか?
火魔法があるから、火種には困らないし。
しかしその場合、薪を用意する必要があるな。
うーん。
どうしようかな。
……そうだ。
俺には火魔法レベル5の火魔法創造があるじゃないか。
お湯を沸かす魔法を開発しよう。
あまり強すぎるイメージだと、家事になる恐れがある。
地獄の業火とか、万象一切灰塵となせとかの詠唱はそぐわないだろう。
適度なイメージを膨らませる。
合わせて、イメージを補強する詠唱の文言を考える。
………………。
…………。
……。
よし。
これで一度試してみよう。
「湯を沸かせ。ボイル・ザ・ウォーター」
そこそこの炎が生まれる。
炎を浴槽の中の水に投入する。
炎が消える。
悪くなさそうだ。
適度な火力の火魔法だ。
しばらく続ける。
無事に温まってきたようだ。
湯気が出てきている。
湯の中に手を入れてみる。
「よし。適温だな」
「おめでとうございます。タカシ様」
見学をしていたミティがそう祝福する。
「さっそく入ってみようかな。俺が先に入っていいか?」
「もちろんです」
ミティと風呂場を出る。
彼女にはリビングに戻ってもらう。
俺は脱衣所で服を脱ぐ。
「風呂に入るのは久しぶりだなあ」
感慨深い。
この世界に転移してきたのは4月1日。
今日は9月1日。
5か月ぶりだ。
今回、お湯はりに1時間以上かかった。
ミティの水汲みと俺の水魔法による水はり。
そして、俺の火魔法による加熱。
もう少し作業内容を改善して、時間を短縮したいところだ。
そうすれば、ラーグの街にいる間は毎日のように入ることも可能だろう。
湯につかる。
いい湯だ。
ゆっくりとくつろぐ。
「フンフフーン」
それにしてもいい湯だ。
思わず鼻歌を歌ってしまう。
ガラガラガラ……。
入口のほうから扉を開ける音がした。
「だれか帰ってきたのか? 今は俺が入らせてもらっているぞ」
「お、お邪魔します……」
この声はミティだ。
入口に視線を向ける。
ミティがタオルを体に巻いて、風呂場に入ってきていた。
「!? ミティ、どうした?」
「お、お背中を流します」
ミティのうれしい申し出だ。
しかし、さすがに恥ずかしい。
彼女も顔が真っ赤だ。
「い、いや。お気遣いなく」
「ご遠慮なさらず」
「そ、そうか? では、お願いしよう」
俺は浴槽から出て、イスに座る。
もちろん、腰にはタオルを巻いている。
ミティに背中を洗ってもらう。
ドキがムネムネしてくる。
違う、胸がドキドキしてくる。
なかなか力強く、心地の良い洗い方だ。
「はあはあ。タカシ様のお背中……」
「ミティ?」
背後から何やら不穏な空気を感じる。
「もう我慢できません!」
「うおっ!?」
ミティが後ろから抱きついてくる。
そのまま俺を押し倒してくる。
マウントポジションだ。
完全に押さえ込まれた。
ミティの豪腕からはもう逃れられない。
「ミティ! タオルが!」
ミティが体に巻いていたタオルがほどけている。
彼女の体があらわになっている。
彼女は背は低いが、スタイルは悪くない。
これはやばいぞ。
理性が……。
「タカシ様……。1つになりましょう」
「ミティ。こういうことは、もう少し段階を踏んでだな……」
「私は不安なのです。タカシ様の周りには、女性が集まってきます。強いアイリスさん、料理上手のモニカさん、若いニムちゃん。それに、ユナさんやリーゼロッテさんだって」
「それは……」
やはり、ハーレムをつくられて不安にならない女性などいないということか。
ミティのケアを怠ってしまっていたかもしれない。
「私にタカシ様との絆をください。私がタカシ様の1番です!」
「ああ、もちろんだ。ミティを1番大切にすると約束しよう」
「あ、ありがとうございます!」
ミティが抱きついてくる。
まだタオルは巻き直していない。
柔らかいものが直に押し付けられる。
先端の突起が……。
いや、考えるな。
心を無にするのだ。
「さて、ミティ。俺の上からどいてくれないか? 俺はそろそろ上がろうと思うのだが」
「……まだ続きをしていませんよ」
ミティが獲物を見る目でこちらを見てくる。
「つ、続き? ミティ、その目はやめるんだ。せめて寝室で……」
がんばって抵抗しようとするが、ミティの豪腕には逆らえない。
俺の腰のタオルが剥ぎ取られる。
「タカシ様。だいじょうぶです。私も初めてですが、優しくしますので」
「アッー!」
………………。
…………。
……。
この日、俺とミティは1つになった。
雰囲気も何もあったものではないが、まあヨシとしよう。
ミティのことを大切にしていかなければならないと、改めて決意した日になった。
レベル17、タカシ=ハイブリッジ
種族:ヒューマン
役割:リーダー
職業:魔法剣士
ランク:C
HP:127(98+29)
MP:160(64+96)
腕力: 97(53+17+27)
脚力: 90(50+15+25)
体力:133(58+17+58)
器用: 73(56+17)
魔力:120(60+60)
武器:紅剣クリム
防具:アイアンアーマー、アイアンシールド
残りスキルポイント15
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル4
格闘術レベル1
回避術レベル2
気配察知レベル2
気配隠匿レベル1
視力強化レベル1
MP強化レベル3
腕力強化レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
魔力強化レベル2
肉体強化レベル3
闘気術レベル3「開放、感知、集中」
火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “二十本桜” “バーンアウト””ボイル・ザ・ウォーター”」
水魔法レベル1「ウォーターボール」
風魔法レベル1「エアバースト」
聖魔法レベル1「ウィッシュ」
治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」
空間魔法レベル3「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」
高速詠唱レベル1
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1
称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
ジャイアントゴーレム討伐者
オーガ・ハーピィの盟友
ガルハード杯ベスト16
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