【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1639話 だるまさんが転んだ【レインside】

公開日時: 2025年1月26日(日) 12:10
文字数:904

「あなたは……?」


「私は轟砂丘の案内人。あなたに、砂丘を案内して差し上げましょう」


「いえ、結構です。先を急いでいるので」


 レインは即答する。

 轟藩の西部で2か月を過ごしたのは、あくまで様子見のためだ。

 桜花藩方面へ向かうと決めた以上、ダラダラと移動するつもりはなかった。


「遠慮なさらずとも結構です。私は、案内人としての誇りがありますから。『適性者』の可能性のある者には敬意を持って案内することにしています」


「えっと……本当に案内なんて必要ないのですが……」


 レインは困惑していた。

 この女性の意図が分からない。

 話し込むより、さっさとこの場を離れるべきかもしれない。


「それでは、失礼しますね」


「お待ちください」


「待ちません」


 レインは女性の脇を通り抜ける。

 そのまま、さっさとこの場を離れようとしたのだが……。


「【だるまさんが転んだ】」


「……え?」


 レインの体がピタリと止まる。

 まるで金縛りにあったかのように指一本動かせない。


「な、なんですか、これは……」


「ふふふ……。さぁ、私と遊びましょう」


「ふざけないでください!」


 レインは声を荒げる。

 しかし、その体は動かないままだ。


「轟砂丘の案内人たる私は、あなたに『だるまさんが転んだ』で勝負を挑みます」


「意味が分かりません!」


「もちろん、あなたが勝てばそのまま通行してもらって結構です。しかし、私が勝ったら適性調査を受けていただきます」


「適性調査……?」


 レインが怪訝な表情を浮かべる。

 何から何まで、よく分からない。

 ただ、女性が不可思議な能力を持っていることだけは確かだ。

 魔法――あるいは妖術の一種かもしれない。

 相手方の要求を突っぱね続けるのは、あまり得策ではないように思えた。


「分かりました。勝負を受けましょう」


「ふふ……話が分かる方で助かります」


 女が微笑む。

 それと同時に、レインの体は自由を取り戻した。


「それで? 『だるまさんが転んだ』という勝負のルールは?」


「あら、ご存じないのですか? 『だるまさんが転んだ』とはですね……」


 女性がレインにルールを解説する。

 端的に言えば『鬼が”だるまさんが転んだ”と言い終えるまでに他者が鬼へ近づきていき、振り向かれた瞬間には動きを止める遊び』だ。

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