【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1424話 村の少女 紅葉

公開日時: 2024年6月24日(月) 12:45
文字数:1,377

「お母さん……今日も頑張ってくるね」


 私は小さな仏壇の前で手を合わせる。

 私のお母さんは三年前、魔物に襲われて死んでしまった。

 お父さんはそれよりもっと前にいなくなっている。

 詳しいことは分からない。


「さて……と」


 身支度を整えた私は家を出る。

 私はまだ12歳。

 子どもの私に、村での仕事はほとんど回ってこない。

 だから、危険な山菜採りや小動物の狩りに出かけることが多い。


「今日も……頑張らないと……」


 私は家を出る。

 そして、村を出ようとしたところで呼び止められた。


「へへっ……。おい、紅葉(もみじ)」


「っ!」


 名前を呼ばれ、私は振り返る。

 そこには、二つ年上の男の子が立っていた。

 彼は村のガキ大将。

 いつも私をいじめてくる嫌な奴だ。

 少し前から大人に混じって仕事をこなすようになり、態度がますます大きくなっている。

 そんな彼が、ニヤニヤしながら話しかけてきた。


「お前、今日も山菜採りに行くんだろ?」


「……だったら何ですか?」


 私はできるだけ冷静に、礼儀正しく返事する。

 心証を悪くしちゃダメだ。

 年は近くても、彼は村長の息子。

 親のいない私なんかが逆らったら、村で生きていけなくなる。


「へへっ……。山菜採りなんかより、もっといい仕事を紹介してやるよ。そろそろ頃合いだからな」


「頃合い? ……どんな仕事ですか?」


「それはな……」


 ガキ大将が私に顔を近づける。

 彼はニヤニヤしながら、私の胸を鷲掴みにした。


「きゃっ!」


 私は思わず、悲鳴を上げてしまう。

 そんな私の反応に、彼は気を良くしたらしい。


「へへっ……。まだまだガキだが、少しは成長してきたんじゃねぇか?」


「な、何するの!」


「へへっ。何をって、イイコトさ」


 彼は私の耳元で囁く。

 その声が、本当に気持ち悪くて鳥肌が立った。


「い、嫌だ! 離して!!」


「いいのか? もう食べ物を分けてやらねぇぜ?」


「っ!」


 私は言葉に詰まる。

 山菜採りや小動物の狩りで、私は食いつないできた。

 でも、十分じゃない。

 ときどき、彼の父である村長さんから食料を分けてもらっていた。


「へへっ。ほら、俺について来いよ」


「い、嫌よ! 離して!! 村長さんに言いつけるから!!」


「親父もこのことは知っているさ。穀潰しのお前を食わせてきたのは、俺の練習相手にするためだ」


「そ……そんな……」


 私は愕然とする。

 食べ物をもらえて、感謝していたのに……。


「ほら、黙ってついて来な。なぁに、俺が飽きたら他の奴に下げ渡すさ」


「ひっ……」


「そいつらも飽きたら、街の遊郭にでも売り飛ばそうか。いい小遣い稼ぎになりそうだ。……ま、それまで俺の相手をしてくれや」


「い、嫌! いやぁっ!!」


 私は抵抗するが、ガキ大将は私を無理やり引きずっていく。

 村の外れまで連れていかれて、私は絶望した。


「へへっ。じゃあ、お楽しみといこうか……」


 ガキ大将が私に手を伸ばす。

 本当に気持ち悪い。


「い、嫌……。あんたなんかに……。嫌ぁっ!!」


 私は力を振り絞る。

 そして、彼の股間を蹴り上げた!


「うぐぉっ!?」


 ガキ大将は股間を押さえてうずくまる。

 よしっ!

 この隙に逃げよう!!

 私は駆け出す。


「て……てめぇっ! こんなことして、どうなるか分かってるのか!!」


「っ!」


「村にお前の戻る場所があると思うなよ! 森で魔物にでも喰われちまえ!!」


 ガキ大将が叫ぶ。

 その脅し文句に、私はゾッとした。

 でも、今は逃げないと……。

 私は無我夢中で、森に向かって駆けていくのだった。

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