【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1505話 夕食時の噂話

公開日時: 2024年9月13日(金) 12:17
文字数:1,203

 武神流道場での鍛錬を終えた俺は、宿屋に戻って紅葉や流華と合流した。


「高志様、お疲れ様でした!」


「おつー」


 紅葉と流華が出迎えてくれる。

 俺は軽く手を上げて応えた。

 そして、宿屋内の食事処で夕食をとり始める。


「高志様、本日の鍛錬はどうでしたか? 厳しくありませんでしたか?」


「いや、それほどでも」


 俺は首を横に振る。

 実際、武神流道場の修行はそれほど過酷ではなかった。

 闘気や魔力による身体強化を控えめにしているため、余裕というほどでもないが……。

 適度な疲労感だ。


「2人はどうだ?」


「ばっちりですよ! もうちょっとで、植物を操れそうな感覚があるんです!」


「オレの方は、まだ……」


 紅葉とは対照的に、流華は首を横に振る。

 どうやら、彼は苦戦しているようだ。

 紅葉の方が魔法や妖術に適性があるのかもしれない。


「そうか……。まぁ、焦る必要はないさ」


 俺は流華を励ました。

 彼は彼で、良いところもある。

 特筆すべきは、気配察知能力や隠密能力の高さだろう。

 元スリだけあって、そういった能力はかなり高い。

 スリとしては褒めるべきではないが、そういった能力を持つこと自体は褒めるべき事柄だ。


「ありがとう、兄貴」


 流華は微笑む。

 彼は、俺に対してかなり懐いてくれている。

 紅葉も同じだ。

 加護(小)まで、もう一息といったところだな。


「さて、たくさん食べて明日に備え――ん?」


 俺があることに気付く。

 食堂内の少し離れた席で、男たちが食事をしているのだが……


「その話、本当か?」


「ああ。武神流もとうとう終わりだろう」


「師範が復帰して、また勢力を取り戻すのかと思っていたが……」


 男たちの会話が聞こえてくる。

 どうやら、武神流道場について話しているようだ。

 俺は思わず聞き耳を立てた。


「武神流と敵対している道場が黙っていないさ。さっきも言ったが、木刀を持った集団が武神流道場を囲んでいる。武神流は終わりだ」


「そうか……。かつては桜花七侍の筆頭だった爺さんも老いているしな。集団戦に持ち込まれれば、太刀打ちできまい」


「仕方ないさ。あの歳では、全盛期の動きはできない。それに、藩主が代替わりしたせいで政治的な影響力も激減したし……」


「孫娘の才覚もなかなかと聞いていたが、もったいないなぁ……」


 男たちの会話は続く。

 俺は彼らの情報を頭の中で整理した。


(武神流道場が襲われる? 老いた師範、政治的影響力の低下……)


 気になる情報はたくさんある。

 この男たちを締め上げて、詳しい話を聞きたい。

 だが、そんな暇はない。


「紅葉、流華」


「はい? え、えっと……」


「どうした、兄貴? そんな怖い顔して……」


 2人が少し怯えた顔をする。

 俺の顔がそれほど怖いのだろうか?

 自覚はない。

 だが、心の底から負の感情が湧き上がってきている気はする。


「少し急用ができた。すまないが、食べ終わったら先に寝ていてくれ」


 俺は立ち上がり、急いで宿を飛び出した。

 武神流の道場は、町外れにある。

 俺はその方角に向け、全力で走り出すのだった。

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