【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1231話 未完成

公開日時: 2023年12月12日(火) 12:43
文字数:2,120

 俺はジャイアントクラーケンと戦っている。

 隠密小型船に乗ったミティたちは無事に視界外へ脱出した。

 クラーケンに関するミッション報酬のスキルポイントでスキルを強化したし、俺が不在でもしばらくは問題ないだろう。


 俺が考えるべきは、ジャイアントクラーケンをより長くこの場に留めることである。

 そのためには、逃げ回ってばかりではいられない。

 新技の出番だ。


「右手に闘気。左手に聖気。それを混ぜ合わせて――はっ!」


 俺は、闘気のオーラを右手に纏わせると同時に、聖気を左手に纏わせた。

 さらに、その2つを混ぜ合わせつつ融合させる。


「【聖闘気・迅雷の型】!!」


 俺はそう叫ぶ。

 俺の身体全体を聖なる気闘気が包み込んだ。

 ま、これ自体は新技ではないが……。

 さらなる大技のための下準備といったところだな。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンの触手が、俺に迫る。

 俺はそれを躱しながら、自身の身体に意識を集中した。


「――偉大なる神霊よ。聖女リッカとの盟約に基づき、我に力の一端を貸し与え給え。【神霊纏装・アーティルドラ・未完成】!!」


 俺は、聖女リッカと親しくなったことにより得た新たな纏装術を発動させる。

 纏装術はそれだけで強力で珍しい武技だが、その中でも聖女リッカの纏装術は別格と言っていい。

 彼女は『神霊』の力の一部を借りることで、戦闘能力を飛躍的に高めることができる。

 俺の『神霊纏装』は、それを模したものだ。


「さて……。神の力を味わうがいい。ジャイアントクラーケンよ」


 俺はそうつぶやく。

 俺の全身を、神聖なオーラが包み込んでいた。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンの触手が迫りくる。

 それを躱し、反撃を叩き込んだ。


「【神の雷槌】!!」


 雷魔法と聖魔法の複合技を発動。

 巨大な稲妻の槌が、ジャイアントクラーケンに直撃した。


「ゴオォッ!?」


 苦痛の声を漏らすジャイアントクラーケン。

 俺は、間髪入れずに次の攻撃を仕掛ける。


「【神の雷槍】!!」


 光り輝く聖なる槍が、ジャイアントクラーケンの巨体を貫いた。


「ゴオオォッ!!」


 苦痛の咆哮を上げるジャイアントクラーケン。

 やはり、この形態なら攻撃力が増すな。

 大ダメージというほどでもないようだが……。

 人間で言えば、やや強めの静電気がパチっと来た程度のものだろうか。

 時間稼ぎを目的とするならばこれで十分かもしれないが、もうひと押ししておきたい。


「――【神罰執行・神の雷鳴】!!」


 俺は魔法を発動させる。

 ピカッ……!

 ゴロゴロゴロ……!!

 周囲の天候が急激に悪化し、上空に積乱雲が発生する。

 これは天候操作系の魔法であり、単体では攻撃力を持たないが……。


「仕上げだっ! 【天より下される裁きの光が世界を滅ぼす】!!!」


 俺は、大魔法を発動させる。

 天空に巨大な光の柱が現れた。

 何本にも枝分かれした、神々しい光の筋。

 そのひとつひとつが、致死性の威力を持つ雷魔法だ。


「ゴオオォッ!?」


 ジャイアントクラーケンは驚愕の声を上げる。

 慌てて海の中へと逃亡するが――もう遅い。


 ドッ――!!

 ドッ……!!

 ドッ……!!

 ドオオォォォン……!!!!


 神罰の光は、無差別に周囲一帯へ降り注いだ。

 ジャイアントクラーケンは、逃げられぬままその光に飲み込まれる。

 これなら、さすがに大ダメージは間違いないだろう。

 光の筋が直撃した部分は、海水が蒸発してしまっている。

 凄まじい威力だ。


 しかし、そんな大魔法もすぐに終わりを告げた。

 俺は大きく息を吐き出す。


「はぁ……っ! ふぅ……っ!!」


 やはり、かなり消耗するな。

 神霊纏装は、通常の武技とは桁違いの闘気・聖気・MPを消費する。

 神霊アーティルドラにちゃんと認められている聖女リッカですら、翌日まで疲労を引きずっていた。

 聖女リッカ経由のお情けで力を借りているだけの俺の場合、さらに燃費が悪い。

 長期戦は無理だ。


「さて……ジャイアントクラーケンの様子はどうだ?」


 俺は海面を覗き込む。

 奴の姿は、海面から完全には確認できない。

 海の底にまで潜ったのか?

 それとも……。


「……ゴオオォッ!!」


 奴が海面に顔を出したのは、それからすぐのことだった。

 まだダメージは残っているようだが……。

 光の筋の直撃を受けてなお、平然と生きていやがった。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンは怒りの咆哮を上げると、触手で俺を攻撃してくる。

 俺はそれを躱しながら、上空へ逃げた。


「チッ! しぶとい奴め……!!」


 俺はそうつぶやく。

 あの大魔法を食らって、まだ動けるとは。

 討伐は無理でも、深海に逃げ帰らせるぐらいのダメージは与えたと思ったのだが……。

 やはり、あの巨体は伊達ではない。

 生命力も桁違いというわけか。


「俺の聖気は既に空っぽだ。MPには少しばかりの余裕があるが、空間魔法や重力魔法のために温存しておきたい……」


 俺はそうつぶやく。

 MPを使い果たすと、『アイテムボックス』や『アイテムルーム』を維持できなくなり、収納している物資が周囲にぶちまけられてしまう。

 また、『レビテーション』が解除され空中に浮けなくなり、海を泳ぐしかなくなる。

 それはマズイ。


「ここは、さらなる新技で相手するしかないようだな。『神霊纏装』以上に不慣れだが、致し方あるまい……」


 俺はそうつぶやく。

 そして、残った闘気を全開放するのだった。

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