【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1304話 タカシvs海神ポセイドン

公開日時: 2024年2月24日(土) 12:03
文字数:1,365

 俺は海神ポセイドンの試練を受けている。

 召喚された魔物を次々と撃破していった。

 すると、ポセイドンの声と同時に視界が光で埋め尽くされた。


「……ちっ! 眩しいな……。で、次の相手は誰だって?」


『ココニイルゾ……矮小ナル者ヨ……』


 ポセイドンの声が響くと同時に、周囲の海水が蠢いた。

 そして現れたのは――巨大な石像だった。


「こいつぁ……」


 俺は息を呑む。

 巨大な石像は、神々しくて美しかった。


「お前が……いや、あなたがポセイドン様か?」


 この神々しさから判断して、おそらく本物の神様だろう。

 さすがに全知全能レベルではないだろうが……。

 海神ポセイドンの名の通り、海を管轄する超常の存在である可能性は高い。

 ここは敬語を使っておく方が無難だ。


『貴様ノ考エテイル通リデアル……』


 俺の推測は当たっていたらしい。

 ポセイドンの石像が、厳かに語り掛けてくる。


『コノ依代ヲ使用スルノモ久方ブリダ……。楽シマセテモラオウ』


 神様が言う『久方ぶり』ってのは、何年ぐらいの話なのだろう?

 数十年……数百年……。

 あるいは、数千年の可能性もある。

 雄大な話だ。


「いえ……。俺ごときが、海神ポセイドン様を楽しませることができるかどうか……うぐっ!?」


 俺は不意に膝をついた。

 全身に激痛が走る。

 まるで、全身をバラバラに引き裂かれたかのような痛みだった。


『矮小ナル者ヨ……。ツマラヌコトヲ言ウナ」


「え?」


「貴様ハ我ヲ楽シマセル義務ガアル。コノ依代ヲ破壊スル程ノ気概ヲ見セテミヨ……』


「……くっ!」


 俺は歯がみする。

 どうやら、下手に出るだけでやり過ごせるような相手ではないらしい。

 戦って楽しませろとの仰せだ。

 神の名を冠する超常の存在を相手に……。

 くそっ!

 なんて難問なんだ!!


「後悔するなよ、海神野郎が……!!」


 俺は剣を構える。

 直後、ポセイドンの石像が動いた。


『来ルガイイ……!』


「言われなくてもな!」


 俺は水中を蹴った。


「でぇりゃあ!!」


 剣を振り下ろす。

 だが、石像は斬れなかった。

 剣で石を斬れないのは当たり前のようにも思えるが……。

 チートで強化された俺が『紅剣アヴァロン』を使えば、普通の石なら斬れるはずだった。


『温イゾ……矮小ナ者ヨ……!』


 ポセイドンの石像が俺を振り払う。

 俺は吹き飛ばされて、海底を転がった。


「ごはっ!?」


『ソノ程度デハナイダロウ?』


 ポセイドンの石像が言ってくる。

 どうやらまだ足りないらしい。


「しょうがねぇ……やってやるぜ」


 俺は再び剣を構える。

 すると、ポセイドンの石像が口を開いた。


『貴様ノ名ヲ訊イテオコウ……』


「ナイトメア・ナイトだ」


 俺が答えると、ポセイドンの石像が顔をしかめた。


『仮初メノ名デハナイ。真ナル名ヲ言ウガヨイ……!』


 どうやら、偽名は通じないらしい。

 なぜだ?


「……タカシ=ハイブリッジだ」


 俺は本名を告げた。

 どうせ偽名を言ったところで、見抜かれるのは目に見えている。

 だったら、正直に名乗ってしまった方がいいだろう。


『ソレモ仮初メノ名デアロウ。真ノ名ヲ言ウガイイ』


「…………」


 そこまでお見通しらしい。

 俺は日本人だ。

 たかしは本名だが、名字はハイブリッジではなかった。

 まぁタカシ=ハイブリッジという名前にも馴染んできたし、別に偽名として使っている意識はないのだが……。


『サア、真ノ名ヲ告ゲヨ……!』


 海神ポセイドンが迫る。

 俺は覚悟を決めて、本当の名を告げることにしたのだった。

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