【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

930話 ミティの挑戦?

公開日時: 2023年2月12日(日) 12:07
文字数:2,204

 俺は試練を乗り越え、炎精の加護を得ることに成功した。

 続いて、ミティも試練に挑戦したいと言い出した。


「そうだな。得られる力は得ておいて損はないが……。大丈夫か?」


「はい。私ももっと強くなりたいのです。タカシ様ばかりにご負担を掛けるわけにはいきません」


 ミティが力強い視線をこちらに向ける。


「分かった。やってみよう。次はミティだけで紋章のところに立ってみてくれ」


 先ほどは、俺が火の紋章の上に立ち、ミティが風の紋章の上に立っていた。

 そして、『炎を司る者』とやらが現れて『試練その3』を与えられた。

 おそらくだが、ミティの風魔法よりも俺の火魔法のスキルレベルが上だったからそうなったのではないだろうか?

 ミティだけが立てば、同じ結果にはならない気がするのだ。


「はい。行ってきます」


 ミティが風の紋章の上に立つ。

 先ほどはこれで、魔法陣が光り始めていた。

 しかし――


「……何も起きませんね? どうしてでしょうか?」


「うーん、たぶんだけど……」


「なにか分かるのか? アイリス」


 困ったときのアイリスだ。

 彼女は武闘神官として各地を回った経験により、いろいろなことを知っている。

 また、ミリオンズで唯一の中央大陸出身であり、新大陸で生まれ育った者たちとは少しばかり違った知識傾向を持つ。

 俺やミティが分からないことでも、アイリスに聞けば何とかなることは多い。


「さっき『時を待ち』って言ってたでしょ? 再使用まで時間制限のある魔法陣かもしれないよ」


「なるほど……。それはありえるな。ミティ、試しに俺も立ってみてもいいか?」


「はい。お願いします!」


 ミティの位置はそのままに、俺は火の紋章の上に立つ。

 しかし、なにも起きない。

 ミティに風の紋章から離れてもらっても、同様だった。


「アイリスの見立てで間違いなさそうだ。しばらく待つ必要があるだろう」


「それってどれくらいか、お分かりになられますか? できればヤマト連邦に向かうまでに挑戦しておきたいのですけれど……」


 ミティの考えは当然だ。

 ヤマト連邦の件は、俺たちミリオンズにとって重要かつリスクのある任務となる。

 可能な限り戦力を高めておきたいところだが……。


「うーむ。俺が読み解ける範囲では詳しいことは分からないが……。この魔力の雰囲気だと、おそらくは1か月以上かかるんじゃないかと思う」


「そんなにですか!?」


「たぶんだけどな。俺は魔法陣の専門家じゃないし」


 やはり魔法陣に詳しい人を仲間にしたいな。

 そうすれば、この古代遺跡の謎を解明できるかもしれない。


「分かりました。今回は諦めた方が無難そうですね」


「ああ。ヤマト連邦から帰ってきたら、みんなで挑戦しようぜ」


 ミリオンズには、俺以外にも魔法の使い手がたくさんいる。

 この魔法陣の対象属性で言えば……。

 火魔法使いのユナとマリア、水魔法使いのリーゼロッテ、風魔法使いのミティと蓮華、雷魔法使いのモニカ、土魔法使いのニムといったところか。

 ちなみに対象属性以外には、聖魔法使いのアイリス、治療魔法使いのサリエ、空間魔法使いのレインがいる。


「俺だけが先んじて精霊を授かってしまって、なんだか悪いな」


「いえ、タカシ様。最も強いタカシ様が最優先であることは間違いありません」


「確かにね。ボクとしては、聖魔法がそもそも対象外なのが気に入らないけど」


「それは遺跡の製作者に言ってくれ」


 俺は苦笑するしかない。

 アイリスも本気で文句を言っているわけではないだろうが。

 そして、俺は今しがた得たばかりの新たな力を馴染ませることにした。


「精霊よ、これからは俺に力を貸してくれるんだろ?」


 俺がそう問いかけると、肩あたりに浮かんでいた小さな炎の精霊は、俺の肩に乗るような位置に移動してきた。

 そして、俺の顔を見上げるようにしながら、小さく炎を揺らめかせる。


「よろしく頼む」


 精霊の小さな頭を撫でる。

 すると、嬉しそうに目を細めた。

 どうやら俺を気に入ったようだ。

 その瞬間、俺の身体から何かが精霊に流れていく感覚があった。


「MPを……吸っているのか?」


 嫌な感じではない。

 だが、ちょっとした脱力感はある。


「確か、精霊と初契約した直後には術者が寝込むと聞いたことがあるよ。その後はMPの消費量は落ち着くはずだけど」


「なるほど?」


 魔法使いと精霊。

 両者をリンクさせるための初期処置として多めのMPを消費する感じか。

 その後は消費量が少なくなるのであれば、特に問題はない。


「ちょっと疲れたな。あと少しだけ探索して、今日は帰るか」


 俺はそう提案する。

 先ほどの試練は、安全重視で『絶対無敵装甲』を発動して乗り越えた。

 そのため肉体ダメージは少ないが、MPや精神面の消耗はそこそこある。

 さらに、精霊から現在進行系でなかなかの量のMPを吸われているしな。


「承知しました」


「そうだね、もうちょっとしたら帰ろっか」


 ミティとアイリスが同意する。

 そして、俺たちは魔法陣のあるホール部屋を出たのだった。



*****



(こんなところに古代遺跡があるとは……です。聖ミリアリア統一教会も把握していなかったです)


 タカシたちの様子を陰から窺っていた人物がいる。

 謎の幼女リッカである。


(……いえ、遺跡自体は今はいいです。それよりも、タカシ=ハイブリッジ……。このまま大人しく帰るがいいです。そうすれば、僕様ちゃんのレイピアの出番もないです。炎の精霊を得たですから、それで十分なはずです……)


 彼女はそんなことを考えながら、タカシたちをジッと見つめていたのだった。

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