【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1127話 俺が一度でも

公開日時: 2023年8月28日(月) 12:40
文字数:2,076

 俺は魔導技師ムウの治療に取り組んでいる。

 ここは秘密造船所の医療室。

 この場にいるのは、俺とムウの他、モニカ、ニム、メルルである。


「次は、俺の魔力をムウの心臓に直接注ぎ込むことにする」


「えっ!? そ、それって大丈夫なの?」


 俺の説明を聞いて、モニカは驚きを露わにした。

 メルルはきょとんとしている。

 彼女には馴染みのない方法なのだろう。


「慌てるな。何も、MP量に物を言わせた荒療治をするわけじゃない。見たところ、ムウの心臓付近の魔力回路が異常になっているようだ。そこに微細な魔力を送り込めば、正常化させられる可能性がある」


「な、なるほど……」


「だが、これは繊細な作業となる。そこで、より詳細に魔力回路の様子を把握できるよう、物理的な障害を取り除いておきたい」


「物理的な障害?」


「ああ。具体的には、服を脱いでもらう」


「「「えぇ~~~っ!?」」」


 モニカ、ニム、メルルの3人が同時に叫んだ。

 かなり驚いている様子だ。


「ちょっ! そんなことをしたら、ムウちゃんが恥ずかしい思いをしちゃうじゃん!」


「そ、そうです! ムウさんは女の子なんですよ!?」


「は、破廉恥な行為を強要するのは止めてください!」


「まぁ、待て」


 俺は興奮気味の3人をなだめた。

 そして、説明を続ける。


「勘違いしないでほしいのだが、別にムウの裸が見たくて脱がせると言っているわけではない。完全に脱がせるのではなく、魔力回路に異常がある箇所の衣服だけをずらすだけでいいんだ。まずは、胸部だけだな」


「……本当に、そうなの? やらしい気持ちは……ないの?」


「あぁ。本当だ」


「兄さん、信じていいのですか?」


「もちろん。俺が一度でも、女性に対して鼻の下を伸ばしたことあったか?」


 疑惑の視線を向けてくるモニカとニムに、俺は真顔でそう言った。

 俺と付き合いの長い彼女たちであれば、きっと俺を信じてくれるはずだ。


「ダーリンは、いつも鼻の下を伸ばしていると思うけど……」


「デレデレしっ放しですよね。わたしたちというものがありながら……」


 モニカとニムはジト目で俺を見つめてきた。

 俺の信用度は、想定以上に低かったらしい。

 ならば、最後の砦はメルルだ。


「……確かに、ハイブリッジ様は重度の女好きでいらっしゃるようです。いつも胸やお尻を見ていますし……。初対面のときなんか、私は裸にされて辱められました」


「えっ!? だ、ダーリン、まさか……」


「見損ないましたよ、兄さん」


「ち、違うって! 前に説明しただろう!? ダダダ団の件で、不幸な事故があっただけだ!!」


 メルルの発言により、モニカとニムの疑いは晴れるどころかさらに深まってしまった。

 このままでは、俺の社会的地位が危うい。

 いや、この際それはどうでもいい。

 だが、ムウの治療に差し障りが出るのはマズイ。


「おほん……。まぁ、俺を疑うのは仕方ないとしよう。しかし、今はムウの治療を最優先したいんだ。頼む。ここは俺に任せてくれ」


 俺は真摯に頭を下げる。

 決して、ムウの胸を見たくて言っているわけではない。

 彼女を無事に治療したい。

 その一心なのだ。


「分かったよ……。でも、ダーリンが変なことしようとしたら、すぐに止めるからね」


「はい、兄さん。わたしも協力します」


「ありがとう。助かる」


 モニカとニムが俺のフォローに入ってくれた。

 これで何とかなりそうだ。


「……」


 しかし、肝心のメルルは何も言わなかった。

 無表情で、じっとこちらを見ている。


「ど、どうかしたか?」


「いえ……ハイブリッジ様がそこまで仰るのなら……。でも、ちょっと気になることがあるのですけど……」


「何だ? 言ってみてくれ」


「どうして私たちにここまでしてくれるのかなって……。今回のムウさんへの治療以外にも、普段から疲労回復の治療魔法とか、差し入れとかをたくさんしてくださっているのに……」


 メルルはそんな疑問を口にした。

 彼女の言う通り、俺がメルルたちに親切にしてきたのは事実だ。


「……あまり詳しくは話せないが、あの船はとても重要な作戦の遂行に必要なものでね。君たちがいなかったら、作戦に支障が出る」


「でも……。それだけでしょうか?」


「そうだな……。後は、メルルやムウがとても魅力的な美少女だから……かな?」


「ふぇっ!?」


 メルルは顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。

 褒められると弱いタイプなのかな。


「わ、私なんて、そんな……。薄汚い貧乏人なのに……」


「いやいや、そんなことないぞ。俺は自分の理性を保とうと必死なんだからな」


「ほ、本当ですか?」


「ああ。俺だって男だしな。可愛い女の子が近くにいたら、つい手を出したくなる」


 俺は好意をストレートに伝える。

 こういうのは、正直が一番だろう。

 これでメルルからの好感度が上がること間違いなし!


「じゃ、じゃあ……。やっぱり今からの治療は、ムウさんの胸を見るために……」


「いやいやいや!! それは誤解だ!!!」


「……冗談です」


 メルルはいたずらっぽく笑った。

 なかなかお茶目な性格をしているようだ。


「――さて、おしゃべりはこの辺にしておこう。ムウの治療に取り掛かるとするか」


 俺は改めてムウに向き直る。

 そして、胸元の衣服へと手を伸ばしたのだった。

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