【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1644話 純粋な妖精族は【蓮華side】

公開日時: 2025年1月31日(金) 12:10
文字数:1,037

「はぁ……、はぁ……」


 美少女エルフが肩で息をしている。

 彼女は鋭い目つきで蓮華を睨みつけており、その手には細身の剣が握られていた。

 しかし、蓮華は大きく表情を変えない。

 淡々とした態度を崩さず、静かに相手を見つめている。


「くそっ! どうして反撃してこない!? この紛い物が!!」


 美少女エルフが苛立ちを隠せず、そう叫ぶ。


「紛い物とは、何のことでござる? 拙者もお主と同じ、妖精族でござるが?」


「うるさい! その胸、どう見ても純粋な妖精族のものではないだろうが!!」


 美少女は、ビシッと指を蓮華の胸部に向ける。

 妖精族――通称エルフは、スレンダーで華奢な体型が特徴だ。

 胸のボリュームは少なめである。

 しかし、蓮華は違った。


「胸でござるか……。拙者もさほど大きくはないでござるが、確かにお主に比べると……」


「なんだ、その目は!? 哀れみの視線を向けるな!!」


 美少女は顔を赤らめ、激高する。

 その反応に蓮華は苦笑を浮かべた。


「諦めるのは早いでござるよ。拙者も、つい一年程前まではぺったんこでござった。しかし、今は……」


「黙れ! 紛い物め!!」


 叫ぶや否や、美少女エルフは再び剣を構えて突撃してきた。


「純粋な妖精族は胸部が生後から不気味に変化したりはしない! その無駄な脂肪の塊は、貴様が紛い物である証拠!!」


「む……?」


 美少女の言葉に、蓮華が一瞬眉をひそめる。

 蓮華の種族は間違いなく妖精族だ。

 タカシの『ステータス操作』によるステータス表記にも、そう記載されていた。

 しかし、その記載は万能ではない。

 表記による判別は『ハーフ』が限界だ。

 遠い先祖に異なる種族が混ざっている程度の場合、ステータス表記だけでは見抜けない場合がある。


「ふむ。興味深い話題でござるが、今は……」


 蓮華が言葉を途切れさせたその時だった。


「あ……!!」


 美少女エルフが声をあげる。

 彼女は気がつけば、蓮華との距離を詰めすぎていたのだ。


「隙だらけでござる」


 蓮華の一言とともに、彼女の刃が舞う。

 ――シュッ!

 美少女エルフの剣は空を切り、代わりに蓮華の峰打ちの一撃が彼女の身体を捉えた。


「うぐっ……!!」


「すまぬな。先を急がせてもらうでござる」


 美少女エルフが地面に崩れ落ちる。

 蓮華は刀を鞘に収め、美少女エルフに一瞥をくれると身を翻した。


「なに、最短距離で隠れ里とやらを通過しても、その場所を外部に吹聴したりはしないでござるよ。それでは、さらばでござる」


 そう言い残し、蓮華は森の中へと走り去る。

 ――こうして、彼女は美少女エルフとの一戦を制し、東へと進むのだった。

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