【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

551話 マリアとの結婚の挨拶

公開日時: 2022年1月25日(火) 12:24
文字数:2,115

 1週間ほどが経過した。


「うう……。今日も胃が痛い……」


「だいじょうぶ? タカシお兄ちゃん。明日にする?」


 マリアがそう声を掛けてくる。

 今日はマリアの祖国であるハガ王国を訪れる予定だ。

 彼女の両親であり国王夫妻でもあるバルダインとナスタシアに挨拶することになっている。

 あと、タイミングが合えば彼女の兄であるバルザックもいるだろうな。


「いや……。何とか頑張るさ」


 俺はそう答える。

 バルダイン、ナスタシア、バルザック。

 いずれも俺への忠義度はそこそこ高い。

 バルダインは40台で、ナスタシアとバルザックは30台である。

 少なくとも俺に対して悪印象は持っていないだろう。

 マリアへの求婚を認めてくれる可能性は高いように思う。


 マリアは類稀な再生能力に加え、火魔法や重力魔法、それに飛行能力や偵察能力に長けている。

 ミリオンズになくてはならない存在だ。

 今後もハイブリッジ騎士爵家を発展させるために、そして世界滅亡の危機に立ち向かうために力を貸してほしい。

 そのためには、やはり俺とマリアも結婚して家族になっておくのがいいだろう。


 もちろん、打算だけの関係ではない。

 ハガ王国の一件を解決した頃から、マリアは俺に対して非常に懐いてくれている。

 そんな彼女を見ていると、俺も彼女に対する感情が大きくなってきたのだ。


 マリアは日々精力的に活動してくれており、無邪気でがんばり屋さんなところが好印象だ。

 そして、まだ若干の幼さを残すものの、将来的には美人になること間違いなしの容貌をしている。

 正直なところ、最近ではマリアのことを女性として意識していることも少なくない。

 初めて出会ってから2年ほどが経過しており、彼女は順調に成長しているのだ。


 まあ、それはともかく。

 今日はハガ王国へ行って、バルダインやナスタシアの前でマリアとの婚約を宣言すれば、第一の目標は達成となる。

 その後のことは……またその時に考えようと思う。


「じゃあ、行くぞ」


「うんっ!」


 マリアが元気に返事をして、俺の手を握ってくる。

 温かい。

 それでいて、女性らしさも感じる柔らかい手である。

 やはり、最初に出会った頃からは明確に成長しているな。

 俺はそんなことを考えつつ、空間魔法でマリアとともにハガ王国へ転移したのだった。



●●●



「ほう……。マリアとタカシが結婚か……」


 バルダインが腕を組ながらそう呟く。

 場所はハガ王国の王城。

 俺たちは応接室に通され、そこでバルダインとナスタシアに面会していた。


 それにしても、いつの間にかバルダインの言葉が流暢になっているな。

 俺は異世界言語のチートスキルがあるのでどちらにせよ通じるのだが、俺以外の人族とでももはや違和感なく会話できるレベルのように思われる。


「はい。ぜひご許可いただきたく……」


 俺は頭を下げる。


「ふむ。まあいいだろう」


「え? よろしいのですか?」


 あっさりとした答えが返ってきて、思わず聞き返してしまう。

 もっと反対されると思っていたのだが……。


「ああ。タカシには借りもあるし、娘もまんざらではなさそうだからな」


 バルダインがそう言う。


「そうですね。むしろ、遅すぎたようにも思えます」


 ナスタシアが微笑みを浮かべてそう言う。

 遅い……か。

 確かに、彼女は以前にも『早く結婚しろ』という主旨の発言をしていたような気がする。

 俺はてっきり冗談かと思っていたのだが、今思えば本気だったのかもしれないな。


「ありがとうございます」


 俺はもう一度深々と礼をする。


「ただ、条件がある」


「何でしょうか?」


「娘を幸せにしてやってくれ」


 バルダインが真剣な表情で言う。


「はい。必ず」


 俺は力強く答える。

 ここで変なことを言ってしまえば、せっかく認めてもらった意味がない。


「うふふ。良かったわね、マリア」


「うん! タカシお兄ちゃんと結婚できて嬉しいよっ!」


 ナスタシアがそう言い、マリアが満面の笑みでそう言う。


「我もマリアが嫁に行ってしまうのは寂しくもあるが、それ以上にうれしく思うぞ」


 バルダインがそう述べる。

 どうやら、ハガ王国での最大の難関はクリアできたようだ。

 これで、俺はマリアと結婚することができる。

 そう思ってホッと胸を撫で下ろしたその時。


「タカシお兄ちゃん。あのことをパパにお話ししたらどうかな?」


 マリアがそんな提案をしてきたのだった。


「あのこと……とはなんだ?」


 バルダインがマリアに尋ねる。


「えっとね……。マリアから言ってもいいの?」


 彼女が俺の方を見てそう問う。


「いや、俺の口から説明しよう。……しかし、何から言えばいいのか……」


 俺は少し考えて、口を開く。


「まず……。この部屋の会話は、外には漏れていませんよね?」


「うむ。他ならぬタカシの訪問だ。盗み聞きなどさせてはおらぬよ。部屋の外に警備としてディークとフェイを配置しておるが、会話までは聞こえぬはずだ」


 バルダインがそう言う。

 ディークとフェイは、俺とも顔なじみだ。

 彼らは六武衆と呼ばれるハガ王国の重鎮である。

 ”鑑定”のディークと”牽制”のフェイだ。

 盗み聞きはしていないようだし、万が一聞こえてしまっても彼らなら多少は大丈夫だろう。

 彼らの忠義度も30台だしな。


「では……。お話しましょう。内容は、俺のとある特別な力のことです」


 俺はそう言って、内密の話を切り出したのだった。

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