【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1417話 桜花藩への距離

公開日時: 2024年6月17日(月) 12:42
文字数:1,380

「かなり遠いな……」


 俺はつぶやく。

 それを聞いたカゲロウが、大きくうなずいた。


「そうなのだ……。ここから桜花城まで、かなりの距離がある。千里とまでは言わぬが、軽く百里以上は離れているだろうな」


「百里以上か……」


 俺は思わずうなる。

 彼女が言う『里』とは、ヤマト連邦における距離の単位だ。

 先ほど聞いた話によると、一里はおよそ4kmだと思われる。

 百里は、おおよそ400kmだな。

 地球の日本において、佐賀県と大阪府の直線距離はおよそ500kmほどだったはず。

 この世界の大和連邦における佐京藩から桜花藩までの距離感も、同じようなイメージになりそうだ。


「百里なら、徒歩で10日間ぐらいの距離か……?」


 俺はつぶやく。

 江戸時代の人は、一日あたり30~40kmを移動したという話を聞いたことがある。

 時速4kmで8~10時間ほど歩くイメージだな。


 この世界においても、一般人の移動速度は同じくらいか少し速い程度だろう。

 少し速い……というのは、この世界には闘気や魔力という不可思議な力があるからだ。

 同じ一般人同士を比較しても、こちらの世界の住人の方が身体能力がやや高く、それに伴って移動速度も向上すると思われる。

 一日あたり50kmぐらい移動できても不思議ではない。


「いえ、十日間での到着は難しいでしょう」


「どうしてだ? イノリ」


「順路の問題です。ここから桜花藩に向かうためには、まずは海を渡る必要があります」


「ふむ……。その通りだな」


 俺はもう一度、先ほどのメモ書きに視線を向ける。



            北北

           北北北北

           北北北北

           北北


           北北

          北北北

          北北北

         中中北北

        中中中漢漢

現九九 重重近近中中中漢漢

九九九 重重近近近中中漢漢

 九九    桜近中中

 九九 四四 近近

 九九 四四


現……現在地

桜……桜花藩



「確かに、海路には危険もあるだろう。だが、それは陸路も同じ。海路だけを過度に危険視する必要はないのでは?」


「油断は禁物です。異国の海は知りませんが、大和連邦の海は危険でいっぱいですので」


「ふむ……。イノリが言うなら、そうなのだろうな。北回りや南回りで『近麗』に直接向かうのは避けた方がいいか……」


「ええ。荒々しい自然が残る『重郷地方』か、四つの聖なる山がそびえ立つ『四神地方』か。そのどちらかを選択せざるを得ません」


 イノリはそう説明しながら、地図を指し示してくれた。

 現代日本で言えば……。

 九州から中国地方を通って近畿地方に向かうか。

 九州から四国を通って近畿地方に向かうか。

 そのどちらを選ぶかという話だ。


「どっちがオススメだ?」


「どっちもお勧めできんな」


 俺の問いに、カゲロウが即答する。

 彼女は地図を睨みつけていた。


「イノリ殿が言った通り、大自然や聖山が待ち受けている。慣れた侍ですら遭難する危険がある。それに……」


「それに?」


「それぞれの藩主が黙っておらん。高志殿は、異国からの侵入者だからな。顔立ちだけで看破されることはないだろうが、少しばかり雑談でもすれば、すぐに怪しまれてしまう」


「まぁ、そうなるな……」


 俺は素直にうなずく。

 黒髪黒目の俺は、ヤマト連邦の住人と近い顔立ちをしている。

 ヤマト連邦には鎖国以前から住んでいるエルフなどもいるし、顔立ちだけで異国人だとバレることはないだろう。

 しかし、ふとした雑談が命取りになったりする可能性は高そうだ。


「どうすればいいんだ……」


「任せろ。私に策がある」


 頭を抱える俺に対して、カゲロウが胸を張ったのだった。

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