【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1493話 剣術の鍛錬

公開日時: 2024年9月1日(日) 12:05
文字数:1,314

 数日後――


「せぇい!」


「……やぁっ!!」


 俺は木刀を振るう。

 相手は……桔梗だ。

 武神流の門下生になった俺は、さっそく指導を受けているのだ。


「防がれたか……。やるな、桔梗!」


「高志くん、その調子……。でも、もっと鋭くできる……」


 桔梗がそう指摘する。

 聞いての通り、彼女は俺のことを『くん』付けで呼ぶ。

 俺の方が年上なので、少々の違和感を覚えるところだが……。

 俺は彼女の門下生でもあるので、『高志さん』と呼ばれるのも微妙なところだ。

 くん付けはいい落とし所だろう。

 ちょっとむず痒い感じもするけどな。


「望むところだ! 俺の剣についてこれるかな?」


 俺はさらに剣速を上げる。

 だが、桔梗は難なくそれを捌いていく。

 この少女、かなり強い。

 俺が闘気や魔力による身体強化をしていないことを差し引いても、だ。

 さすがは武神流の師範代といったところか……。


「はぁーーっ!」


「ん……!」


 俺は剣に力を込める。

 だが、桔梗はそれすらも受け流してしまう。

 まるで俺の攻撃が通用しない……。


「はぁ……はぁ……」


 俺は荒い息を吐く。

 さすがに疲れてきたな。

 治療魔法を自分にかければ、多少の疲労は回復できる。

 だが、この道場ではそのようなことをしないと決めている。

 闘気や魔力を自主的に封印して鍛錬をすることで、武神流の真髄に迫ろうというわけだ。

 俺がこれまで使ってきた我流の剣術とは、理論からして異なる。

 武神流の体系に従った修行を積むことにより、その真髄が見えてくるだろう。


「ん……。少し休憩……」


 桔梗はそう言うと道場の端に座り込み、水筒を口に運ぶ。

 ゴクゴクと喉を鳴らしながら、美味しそうに水を飲んでいた。


「俺も喉が渇いたな……。あっ、しまった」


 水筒を持ってくるのを忘れた。

 普段は、水魔法で生成した水を飲んでいるからな……。

 水筒を持ち運ぶ習慣がないのだ。

 この道場では『闘気や魔法の使用禁止』というルールを自らに課していたが、飲み水を生成するぐらいなら別にいいか?

 いや、『これぐらいいいか』という甘えから、ズルズルと修行がだれてくる可能性もある。

 ここはグッと我慢だ。


「ん……」


 桔梗が水筒を差し出してくる。

 この行為の意味するところは……。


「俺も飲んでいいのか?」


「私の飲みかけでよければ……」


「もちろんだ。ありがとう」


 俺は水筒を受け取り、喉を潤す。

 美少女の飲みかけと思うと、少し緊張する。

 だが、その水は冷たくて美味しい。


「ふぅ……。生き返った」


「ん……お粗末さまでした……」


 俺は水筒を返す。

 桔梗は水筒を受け取り、またゴクゴクと飲んでいた。

 明らかに間接キスになっているが、あまり意識していないらしい。


 彼女はまだ12歳ぐらいのようだし、そういった方面を気にしていないのだろう。

 あるいは、おっさんというべき年齢になりつつある俺は、最初から意識の範囲外なのか……。

 いや、俺は各種チートのおかげで引き締まった体をしているし、まだまだ『お兄さん』や『好青年』と表現しても許される外見や雰囲気をしているはずだ。


 あわよくば、紅葉や流華とも並行して彼女への加護(小)付与も狙っていきたいところだが……。

 まずは引き続き稽古を付けてもらって、地道に仲を深めないとな。

 俺は休憩の時間を利用して、桔梗に話を振ることにした。

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