【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1228話 ここは俺に任せて先に行け

公開日時: 2023年12月9日(土) 12:30
文字数:1,943

 リトルクラーケン、クラーケンに続き、ジャイアントクラーケンが現れた。

 さすがのミリオンズでも、これと正面から戦うのは厳しい。

 ここは俺が対処する必要がある!


「お館様!?」


「船べりに立つと危ないです!」


「何をなさる気ですの!?」


 レイン、サリエ、リーゼロッテが叫ぶ。

 俺は視線だけそちらに向ける。


「俺が奴を引き付ける。その間に、みんなはこの場から逃げてくれ」


「タカシ様を置いていくなんてできません!」


 ミティが即座にそう反応する。

 しかし、俺は首を横に振った。


「このままでは追いつかれる。誰かが奴の注意を引きつけなければならない。それができるのは、俺しかいない」


 これは自惚れではないと思う。

 ミリオンズの中で、最もチートの恩恵を受けているのは俺だ。

 多彩なスキルを伸ばしており、あらゆる局面に臨機応変に対処できる。

 また、人魚メルティーネに加護をもらったことで、海中でもある程度の呼吸が可能となっている。


「そ、そんな!?」


「タカシさん!」


「き、危険だよ~!!」


 モニカ、ニム、花。

 みんなが俺を引き留めようとするが――


「ここは俺に任せて先に行け。なぁに、大丈夫。すぐに追いつくさ。……ミティ、蓮華。みんなのことを頼んだぞ」


「……承知しました!」


「任せるでござる!!」


 ミティと蓮華はドンと胸を叩いた。

 ここで2人に集団を任せるのには理由がある。


 ミティはミリオンズのサブリーダーであり、俺の第一夫人でもある。

 普段から、俺の不在時の指揮は彼女が取っている。

 俺の代わりが務まるのは、彼女しかいないだろう。


 そして、蓮華。

 ここから先は、いよいよヤマト連邦の領域となる。

 上陸前に俺が合流するのがベストだが、もし俺の合流が遅れたらどうなるか?

 いつまでもヤマト連邦の沖合に船を停泊させておくのは、『魔物の襲撃』『食料不足』『ヤマト連邦の国境警備兵に見つかる』などの様々なリスクがある。

 さっさと上陸だけは済ませておく方が、むしろ安全だ。

 上陸後は、ヤマト連邦出身の蓮華が頼りになるだろう。

 もちろん雪月花もな。


「タカシ! あとで必ず合流しようね!!」


「ピピッ……。マスターがジャイアントクラーケンを討伐できる確率:1パーセント未満……。時間稼ぎだけを考えた場合の生存率は……」


 アイリスとティーナがそう言う。

 彼女たちは、俺の強さをよくわかっている。

 だが、それでも勝てる見込みがないほどにジャイアントクラーケンは強大だ。


「よし、そろそろ行ってくる。みんなは、この速度を維持したままこの海域から離れてくれ」


 俺は船べりから飛び上がる。

 そして、重力魔法を活用してジャイアントクラーケンに向かっていった。


「タカシ様!」


「気をつけて!」


「幽霊の私の仲間入りはしちゃダメだよー!」


 仲間たちの声が聞こえた。

 俺は無我夢中でジャイアントクラーケンに向かっていく。


「お館様っ!!」


「たかし殿ぉっ!!」


 レインと蓮華の声だ。

 彼女たちの気持ちは嬉しいが、振り返る余裕はない。


「みんな……元気でな」


 俺は小さくそうつぶやく。

 ジャイアントクラーケンとの距離は、もう十数メートルしかない。


「ゴオオオオォ……!!」


 ジャイアントクラーケンが地鳴りのような叫び声を上げる。

 奴の視線は……俺を捉えてはいない。

 その巨体ゆえ、人間一人ひとりへの警戒度はあまり高くないのだろう。

 俺単体よりも、船に乗った10人以上の集団の方を意識している様子だ。


 獲物と認識しているのか、あるいは単なる好奇心なのか……。

 それは分からない。

 どちらにせよ、ジャイアントクラーケンは引き続き隠密小型船を追っている。


「まずは……足止めをしないとな。俺という存在を奴に認識させなければ」


 俺は空中で立ち止まり、『アイテムルーム』から剣を抜く。

 そして、ジャイアントクラーケンの触手めがけて跳躍した。


「――【斬魔一刀流・魔皇炎斬】!!!」


 俺は空中で剣を振った。

 斬撃が炎となり、触手の一本に深い切り傷を付けた。


「ゴオオォ……ッ!?」


 ジャイアントクラーケンは驚愕の声を上げる。

 俺は落下しながら叫ぶ。


「こっちだ! お前の敵はここにいるぞ!!」


「ゴオオオォ……ッ!」


 ジャイアントクラーケンは怒ったような声を上げると、その巨大な触手を振り上げる。

 そして、俺めがけて叩きつけてきた。

 巨体ゆえに鈍重にも見えるが、間近で見るとなかなか速い攻撃だ。

 それに、触手が大きくて攻撃範囲が広い!


「ぐうっ!?」


 俺は両腕で防御する。

 落下の勢いは殺せず、そのまま海へ叩き落された。


「ゴオオォ……!!!」


 ジャイアントクラーケンは、咆哮を上げる。

 そして、俺の落下地点に向かって泳ぎ始めた。


「ちっ! ……まぁいい。とりあえず、意識を俺に向かせることには成功したな」


 俺は水面から顔を出すと、すぐに飛び上がって態勢を整える。

 こうして、俺の時間稼ぎの戦いが始まったのだった。

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