【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

840話 貴方様

公開日時: 2022年11月13日(日) 12:30
文字数:2,561

 翌朝になった。

 俺はベッドで目覚める。


「ふぁああ……」


 まだ少し眠いな。

 ベッドで目をつむったまま、俺は昨日のことを思い出す。


「昨晩はなかなか楽しかったな……」


 盗賊を撃破した俺を歓迎して、村で宴会が開催されたのだ。

 まぁ山村の宴で出される料理はさほど上等なものではないのだが。

 こういうのは気持ちが大切なのだ。


 そしてその気持ちへのお返しとして、俺のアイテムルームに保管していた食材を提供した。

 極端に高級な食材というほどではないが、もちろん悪いものでもない。

 それらが村の料理自慢、そしてモニカやゼラによって調理され、宴会に出された。


 また、合わせて酒も供出している。

 俺もたくさん飲んだ。

 ハイブリッジ男爵家や村人たちも、しっかりと楽しんでくれたようであった。


「うーん……」


 若干だが二日酔い気味か?

 軽く二度寝をしよう。

 そう思ったのだが、何だか寝苦しい。

 俺は目を開けた。

 すると、そこには――


「あっ! おはようございます、貴方様!」


「……」


 俺は無言で布団を被った。

 いやいやいや、おかしいだろ。

 どうして俺の腹の上にラフィーナがいるんだよ。


「えっと……なぜここに?」


 俺は恐る恐る尋ねる。


「はい! 貴方様が私を娶ってくださると仰っていただいたので!」


「えっ? そんなこと言ったっけ?」


「言いました! 覚えていらっしゃらないのですか?」


「……」


 確かに言った気がする。

 酔っぱらっていて、記憶が定かではないが。


「私は嬉しくて、こうして朝一番に貴方様のお部屋へと参ったのです!」


「そ、そうなんだね」


「はい!」


「ちなみに、ラフィーナちゃんはいくつだっけ……?」


 俺は尋ねる。


「6歳です!」


 元気よく答えるラフィーナ。

 うん、アウトだな。

 考えるまでもなくアウトだ。

 露骨なアウトである。


 現代日本の基準で、18歳。

 少し前の日本の基準で、16歳。

 100年以上前の日本の基準で、15歳。

 1000年以上前――平安時代の日本の基準で、13歳。

 文化や教育が成熟するにつれて、結婚が可能な年齢は上がる傾向にある。

 他の国々でもある程度は似たようなものだ。


 この世界、この国ではどうか?

 明確な法律はないのだが、15歳以降の結婚が一般的で、12~14歳なら早めという感じである。

 現代日本よりも早婚の傾向があるのだが、さすがに6歳は……。


「ええっと……」


 どうしよう?

 男爵家当主の俺が、村人の幼女と結婚?

 ミティ、モニカ、ニム、ユナあたりも村人だし、別に身分はどうでもいいのだが。

 いや、どうでもよくはないのか?

 この4人は、俺が貴族になる前からの付き合いである。


 一方で、ラフィーナは俺が貴族になった後に知り合った。

 その点、扱いを変える必要もある。

 いやいや、そもそもそれ以上の問題がある。

 年齢が……。


「えーっとだな……」


「どうされましたか?」


 ニコニコしながら尋ねてくるラフィーナ。

 ダメだ。

 この笑顔を壊すことはできん。


「何年かしたら迎えに来るから……。それまでいい子にしていてくれるか?」


「はい! お任せください!」


 俺のその場しのぎの言葉を受け、ラフィーナは元気にそう返事をしたのだった。



*****



「なに? 馬車の調子が悪いだと?」


 俺の言葉に、ヴィルナやネスターがうなずく。

 村から出発しようとした出鼻をくじかれた格好だ。


「馬が疲弊しているのか? それなら、俺やサリエの治療魔法で多少は回復できるが……」


「いえ、これは車輪の問題です。明確に破損しているのが1台、よく見ると壊れかけのものが2台です」


「ふむ……」


 まぁ、ラーグの街から王都に行って、また王都からラーグの街に帰るわけだしなぁ。

 相当な距離を走ってきたことになる。

 そりゃ、車輪の1つや2つも壊れてしまうか。


「も、申し訳ありません。王都でのメンテナンスが不十分でした」


「俺も確認不足だった」


 ヴィルナとネスターが頭を下げる。

 後ろではシェリーとオリビアも頭を下げている。

 うーん……。

 微妙なところだよなぁ。


 ヴィルナ、ネスター、シェリーは護衛兵として雇っている。

 オリビアはメイド。

 馬車の管理は管轄外と言ってもいい。

 実際、筆頭護衛兵のキリヤは我関せずといった感じで佇んでいる。

 また、レインやクルミナも馬車に関してはノータッチのようだ。


 ヴィルナ、ネスター、シェリー、オリビアあたりは、それなりに何でもできるタイプだ。

 しかしだからこそ、こうして本来は管轄外のことにまで責任を感じているのだろう。

 最初から戦闘以外に首を突っ込む気がないキリヤや、純粋にメイドとして働いているクルミナあたりとはそこが違う。


「別にいいさ。それで、対処法は何か考えているのか?」


 俺はそう問う。

 今回の馬車の管理不届きは誰の責任になるのだろう?

 ヴィルナやネスターが謝っているので彼女たちの責任にもしたくなるが、実際はあやふやだ。

 しかし少なくとも、最終的な責任が当主である俺にあることは確かである。

 ちゃんと責任者を決めないからこういうことになるんだ。


 今後、新たに馬車の管理を専門とする役職を……。

 いや、さすがにそれは人件費の無駄遣いか?

 どちらかと言えば、ヴィルナやネスターあたりを正式に責任者に任命した方がいいか。

 もちろん、その分の給料を多少上乗せするようなイメージである。

 本来は警備兵として雇っているのに、専門外のことをさせているわけだからな。


「1日もらえれば、何とか修理できると思います。ですよね? ネスターさん」


「ああ。村にも、加工技術者がいるらしい。馬車の車輪を製作したことはないようだが、助言くらいはしてもらえるだろう。ミティ殿も協力してくれると言っていた」


 ヴィルナとネスターが言う。

 専門外だが、割りと何でもできるヴィルナやネスター。

 村の加工技術者。

 一流の鍛冶師であるミティ。

 このあたりが協力すれば、何とかなりそうだ。


(ジェイネフェリアあたりを連れてこれば、あっさりと修理してくれるか……?)


 いや、微妙だな。

 転移魔法陣を描くのも地味に大変だし、MP消費量もそれなりにあるし……。

 そもそも、彼であっても確実に修理できるとは言えない。

 俺は自分の案を却下する。


「わかった。なら、出発は24時間後の今ぐらいになるイメージで待つことにする。頼りにしているぞ」


 俺は彼女たちにそう声を掛ける。

 さぁて、明日まで暇だな。

 何をしようか?

 愛する妻たちとゆっくりするのもいいが、それはラーグの街に帰ってからでもできる。

 ここは――

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