「……本当に『これ』が良い謝罪方法なのか?」
「ああ。これなら間違いなく、相手に許しをもらえるはずだ」
「……そうか」
少年が自信満々に言う。
俺はまだよく分かっていないが、信じることにした。
「流華もいいか?」
「……ちょっと恥ずかしいけど……。が、我慢する……」
流華は渋々といった様子で頷いた。
彼は今、かなりの薄着となっている。
上半身はボロ切れのみであり、腹や脇が丸見えの状態だ。
かろうじて隠せているのは、胸部のみ。
流華は男なので、別に胸部すら隠す必要はないように思えたが……。
おそらく、貧弱な大胸筋を見られたくないのだろう。
とても恥ずかしそうだ。
そして、下半身。
ズボンを履いているものの、その丈は非常に短くなっている。
太ももが完全に露出しており、尻も半分見えてるような状態だ。
前側もぴっちりしている。
かなり際どい状態だ。
外側から彼のアレの存在感を感じられないのが気になるが……。
それほどまでに小さいということだろう。
あるいは、これから『流華へのお怒り度が高めの人たち』へ謝罪に向かうことを考え、縮こまっているのかもしれない。
男にとって、自分のモノのサイズや大胸筋の発達度というのは重要な問題だ。
それらの未発達ぶりを強調する格好を強要され、流華は恥ずかしさや屈辱感を覚えているのだろうな。
彼の顔は真っ赤である。
「流華、本当に大丈夫なのか?」
「……ああ」
「無理はするな。どうしてもと言うなら、他の方法を考えるぞ」
俺は男に厳しい。
だが、流華はまだ12歳ぐらいだし、多少の手心は必要だ。
少年にとってデリケートな問題を強調して辱めて、トラウマになったら可哀想だし……。
加護(微)を満たす程度には俺に好感度を持っている者に対して、厳しくしすぎるつもりにもなれない。
「だ、大丈夫。兄貴にこれ以上の迷惑はかけられねぇ」
「迷惑なんて、俺は思ってない。流華が心配なだけだ」
「お、おう……。あ、ありがとよ……」
「ああ」
俺は頷く。
流華は顔を赤くし、視線をそらした。
そして、モジモジしながら言う。
「兄貴は……こういうのだって好きなんだろ?」
「こういうのって?」
「だから……こういう格好で大通りを歩かせることだよ……」
「ふむ……?」
思わぬ問いに、俺は首をひねる。
少年に際どい格好をさせて、衆人環視のもと歩かせる。
かなり特殊な状況だ。
「うーん……。別に好きってわけではないのだが……」
そもそも、俺は同性愛者ではない。
仮に女性相手だったとしても、こういった状況を強要して興奮するかと言われると……。
かなり微妙なところだな。
愛する女性は俺だけのものだ。
どうして、他の男たちに見せびらかさねばならないのか。
背徳感から妙な興奮を覚える可能性はあるが……。
基本的には、あまり気が乗らない。
「そ、そうなのか?」
流華が驚いたように言う。
俺は頷いた。
「ああ」
「……でもよ。ならどうして兄貴のそこは……」
「ん?」
流華が指さす。
彼の指の先にあるのは、俺の股間だ。
「……あ」
流華に指摘されて、俺はようやく自分の状態に気が付く。
俺の侍装束の股間部分は……大きく膨れ上がっていた。
バカな……。
流華は男だぞ?
確かに、男にしては妙な色気があると思うが……。
「ごほん! と、ともかく! 今すべきことは謝罪回りだ。流華がいいのなら、このまま出発するぞ」
「お、おう! 兄貴に従うぜ!!」
流華は力強く頷いた。
こうして、俺たちは謝罪回りに再出発したのだった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!