【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

457話 覗きを阻止せよ

公開日時: 2021年10月22日(金) 12:18
文字数:2,039

 海辺の温泉に浸かっているところだ。

 湯船から見える大海がすばらしい。


「ふんふふーん」


 俺は上機嫌に鼻歌を歌う。

 しかし、そんなのどかな雰囲気が喧騒により壊される。


「なあ、あれってひょっとして……」


「ああ、間違いねえ。あそこだ」


 トミーたちがそう言う。

 俺は彼らに話しかける。


「何があそこなんだ?」


「タカシの旦那。あそこに、女風呂があるようですぜ。ぐへへ」


 トミーが少し離れたところにある海辺を指差す。

 ちょっとした高台の上に、岩垣や木の柵に囲まれたところがある。

 中はもちろん見えないが、確かにあそこが女風呂の可能性はある。


「女風呂だと? まさか覗くつもりか?」


「もちろんですぜ! ひゃっはー! いくぜ、野郎ども!!!」


「「「うおおおぉ!!!」」」


 トミーたちがそう言って、全裸のまま走り出していった。

 覗きはマズいだろ。

 この世界の法体制のすべてを把握しているわけではないが、間違いなく違法のはず。


 しかも、今入浴している女性は高ランク冒険者ばかりだ。

 見つかったら法の裁きを待つまでもなく、本人たちによる物理的な裁きがある。

 タダでは済まない。


 いや、こんなことを考えている場合ではない。

 あそこにはミティやアイリス、モニカやニムたちもいる。

 彼女たちの全裸を見ていいのは俺だけだ!


「ガハハ! 我もいくぞ!」


「おうよ! 漢なら、前進あるのみだぜ!」


 ギルバートとジルガがトミーたちの後に続く。

 彼らもそういうタイプだったか。

 この世界の倫理観はどうなっているんだ。

 まったくけしからん。


「ジョージさん! いっしょに彼らを止めましょう! あそこには、セニアさんもいるのでしょう?」


 俺はそう言う。

 一刻も早くトミーやギルバートを止める必要があるが、俺1人ではさすがに多勢に無勢だ。

 止めるための仲間を募る必要がある。


「む? いや、彼女は気にしないだろう。私はここでゆっくりしているよ」


 マジかよ。

 自分の妻が覗かれようとしているのに。

 熟年夫婦の余裕というやつか?

 俺はまだそこまで大人になれない。


「タカシ君。俺が手伝うよ」


「へっ。俺も行くぜ」


 マクセルとストラスがそう言う。


「ありがとう。カトレアさんとセリナさんの貞操を守るためだな? 心して行くぞ!」


「俺はカトレアさんとそういう仲ではないけどね。ストラスとセリナさんはともかく」


「俺とあいつもそういう関係ではねえよ!」


 ええい。

 まどろっこしい。

 まだ認めてないのか。

 早くくっつけや。


「ふっ。私も、愛する妻たちを守るために戦うぞ」


 シュタインがそう言う。

 彼の妻であるミサたちも入浴中のはずだ。


 しかし、貴族である俺やシュタインの妻が入っている風呂を覗こうとは、トミーたちは相当な命知らずである。

 それに、ベアトリクス第三王女、伯爵家長女のリーゼロッテ、男爵家次女のサリエ、ハガ王国王女のマリアもいる。

 時代が時代なら、死刑もあり得るぐらいではなかろうか。

 この国の法体制は穏健だが、それなりの重罪に処されてもおかしくないぞ。


 仕方ない。

 ミティたちのためだけではなくて、トミーたち自身のためにも彼らの愚行を止めてやろう。


「よし! 行くぞ!」


 俺、マクセル、ストラス、シュタイン。

 4人で、全裸のまま女湯に向けて駆け出す。

 俺たちが男湯の脱衣所を出た瞬間に、リールバッハやリカルロイゼたちと鉢合わせした。


「む!? ど、どうしたというのだ。そんな格好で」


 リールバッハがそう問う。

 今の俺たち4人は、全裸だ。

 そのまま脱衣所から外へ出ようとしていたのだから、驚いて当然である。


「リールバッハさん! 女湯への道を教えてください!」


「なっ、なんだその質問は!?」


 彼が驚きに目を見開く。

 少し直球すぎる質問だったかもしれない。


「い、いや待てよ。そう言えば、先ほどむさ苦しい男たちが駆けていくのが見えた」


 彼が気を取り直して、そう言う。


「その通りですね。もしかすると……彼らは女湯に向かったのでしょうか?」


「へっ。なるほどな。つまり、お前たちはそれを止めようとしているわけか」


 リカルロイゼとリルクヴィストがそう言う。

 なかなか理解が早い。


「ええ、その通りです! 俺の愛する妻や仲間たちのピンチなのです! ぜひ、近道を教えてください!」


「わかった。……女湯はあの高台にある。しかし、直線距離で行こうとすると堀や柵が設けられている。この脇道をまっすぐ行って、大岩を左に曲がるのが正解の道だ」


「なるほど」


 急がば回れというわけだ。


「あそこには、我が妻マルセラの他、リーゼロッテとシャルレーヌも向かっておる。既に入浴している頃かもしれん。何としても、不埒なやつらを止めてくれ!」


「任せてください! 行くぞ、みんな!」


「「「おうよ!!!」」」


 マクセル、ストラス、シュタイン。

 みんなやる気満々だ。


「聖闘気、”迅雷の型”」


「動くこと雷霆(らいてい)の如し」


「鳴神(なるかみ)」


「風の型……天つ風!」


 俺たちはそれぞれ、移動速度がアップする系統の技を発動させる。

 覗きなどという卑劣な犯罪は、断固として見逃すわけにはいかない。

 トミーやギルバートたちには、お灸をすえてやる必要がある。

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