【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

763話 vs少女騎士たち

公開日時: 2022年8月27日(土) 12:10
文字数:2,245

 俺は少女騎士たちと模擬試合をしている。

 ルシエラを始めとした4人が近接戦を挑んできたが、木剣を没収してやった。

 次は、少し離れたところから放たれた攻撃魔法に対処する必要がある。


「剣を使わないで、それにどう対処されますか!?」


「魔法も使用禁止です! ハイブリッジ男爵から提案されたことですよ!」


「お覚悟!!」


 攻撃魔法の後を追うように、他の少女たちも迫ってくる。

 魔法への対処に手間取れば、彼女たちの追撃を受けてしまうだろう。

 ここは――


「はあぁっ!」


 俺は力を込めてジャンプした。

 小さく回避したり防御したりするのがマズいのであれば、大きく避ければいいのだ。


「なっ!? 身体能力と闘気だけでそれほどの跳躍を!?」


「くっ……。ですが、まだまだ終わりませんよ!」


 俺の着地先を予測し、少女騎士たちが陣形を立て直す。

 とっさの判断にしては悪くない。


(重力魔法のレビテーションを併用すれば、もっと空高くの跳躍も可能だけどな。今回は魔法禁止のルールにしているから、仕方ない)


 レビテーションは狭い範囲にある物にかかる重力を軽減する魔法だ。

 ジャンプする瞬間に自分へかければ、当然跳躍距離が増すことになる。

 今回はそれを使用せず、身体能力と闘気のみによるジャンプだった。

 大した飛距離ではないので、少女騎士たちもとっさに対応できるというわけだ。


「一太刀入れさせてもらいますよ!」


「覚悟してくださいっ!」


 俺の落下地点を予測した少女たちが剣を構える。

 このままだと、一撃を入れられてしまうだろう。

 だが――


「甘いッ!! 【青空歩行-スカイウォーク-】!!!」


 俺は落下途中に、両足を使って虚空を蹴った。

 それにより俺の体は空中で二段目のジャンプを果たす。


「「ええぇっ!?」」


 少女たちは目を丸くしていた。


「そ、そんなバカな……」


「うそでしょ!?」


 俺は少女騎士たちの頭上を飛び越える。

 そして、そのまま地面に降り立った。


「スキあり!」


 バシッ!

 バシバシッ!!

 俺は木の枝で少女騎士たちの手首を叩いた。


「「「キャアアッ!!」」」


 痛みに悲鳴を上げる少女たち。


「はい、終了。勝負あったね」


「ま、参りました」


「まさか、こんな方法でかわされるなんて……」


「信じられません……」


 少女騎士たちは悔しそうにしていたが、素直に負けを認めてくれた。

 俺は木の枝を下ろし、ひと呼吸おく。


「ふぅ……。なかなか悪くない動きだったぞ」


「す、すごい……。これが本物の騎士の戦いなんですね」


「私、感動しました!」


「ハイブリッジ様、カッコいい!」


 少女騎士たちが口々に感想を述べてくれる。

 最初に撃破したルシエラを含む4人、今襲いかかってきた3人。

 これで7人が戦闘不能と言っていいだろう。

 後は攻撃魔法を放ってきた3人組だが――


「ほいっと」


「あっ!」


「ひぅ……」


「わぁっ!?」


 俺は闘気を開放して、3人組の背後に回る。

 そして、肩に手をポンっと置いた。


「君たち、降参してくれるよな?」


「はいぃ……」


「降参しますぅ」


「ごめんなさい~」


 3人ともヘナヘナと座り込んでしまった。


「よしよし、それでよろしい」


 素直に降参してくれた3人の頭をなでてあげる。


「「「ひゃああぁっ!!」」」


「ん? どうしたんだ、みんな」


「あ、あの……そのぉ……」


「ハイブリッジ様に頭を撫でられると……ドキドキしてしまうんです……」


「は、恥ずかしくて死んじゃいますぅ……」


「おー、それは悪いことをしてしまったな」


 俺は3人の頭から手を離したが、彼女たちは顔を赤くして動けない様子だ。

 これでほぼ全員を倒したか。

 残っているのは――


「ナオミちゃんか。どうして他のみんなと力を合わせて挑んでこなかったんだ?」


「ハイブリッジ様に、1対1で今のアタシの全力を見てもらいたかったんです」


 そう言って、ナオミが木剣を構えた。


「いきますっ! はああぁっ!!」


 裂帛の気合いとともに突進してくる。

 スピードもパワーも申し分ない。

 一般人や下級冒険者なら瞬殺されていただろう。


(だが、俺にとっては問題にならない)


 俺は無造作に木の枝を突き出した。

 ドゴォッ!!

 強烈な打撃音と衝撃波が発生する。

 闘気をまとった俺の突きが、ナオミの木剣を吹き飛ばしてしまったのだ。


「う、ウソっ!?」


 驚愕するナオミ。

 闘気のコントロールが甘かったのか、それとも無意識のうちに俺へ手加減したのだろうか。


「そんなものか? ナオミちゃんの全力は」


「なっ……。まだです! 次こそは本気で行きます!」


 再び構えを取るナオミ。

 木剣を失い、今度は武闘で戦う構えだ。

 闘気の密度が上がり、体から立ち昇るオーラはまるで炎のように揺らめいている。


「【飛燕の型】!!」


 叫び声と同時に、ナオミの姿がかき消えた。


(ほう……これは見事な)


 目にも止まらぬ高速移動だ。

 普通の人間では反応できないほどの速さである。


「とりゃりゃりゃりゃっ!!!」


 連続攻撃を繰り出してくるナオミ。

 だが、俺には彼女の動きが全て見えていた。


「むっ!? くっ!」


 一瞬の隙を突いて放たれた蹴りを、俺は腕で受け止める。


「くぅっ……。まだまだっ!!」


 すかさず繰り出される拳。

 だが、それも俺の掌で受け止められてしまう。


「はあぁっ!!」


 最後の一撃は回し蹴りだった。

 だが、それも俺は余裕を持って回避する。


「うそっ!?」


 驚くナオミ。

 俺はそんな彼女へ問いかける。


「どうした? この程度なのか?」


 まぁ、騎士見習いとしては十分すぎるくらいか。

 チートの恩恵も、まだ加護(微)しか得ていないしな。

 少女騎士の中では、ナオミは最も健闘した。

 ここらで終わりにしてあげて、彼女に採用を伝えてあげることにしよう。

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