【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

941話 ななな……!?

公開日時: 2023年2月23日(木) 12:08
文字数:2,124

 リッカに敗北したタカシは、彼が所有する温泉旅館で目が覚めた。

 傷を癒やすため、温泉にダッシュで向かうタカシ。

 そして、ミティとアイリスが彼を必死に追う。


「タカシ様ったら、もう……!」


「タカシっ! 止まってよー!」


「いいじゃないか! 二人も一緒に入ろうぜ!! 温泉は何度入ってもいいもんだろ!?」


 そんな叫びを残しつつ、疾走するタカシ。

 あっという間に、彼は脱衣場に辿り着こうとしている。


「ふはははっ! 秘技! 『瞬間脱衣』発動だぁ!!」


 もちろんそんな魔法はない。

 彼の優れた身体能力により、服を脱ぐ速度も常人より少し速いというだけの話である。

 馬鹿なことを叫びながら、全裸になったタカシ。

 腰には申し訳程度のタオルを巻いている。


 少し遅れて、ミティとアイリスが脱衣場に辿り着く。

 彼女たちの脱衣速度もまた尋常ではなかった。

 が、タカシには追いつけない。


「待ってください、タカシさまぁ~!!」


「マズイんだってば! 先客がいるんだよー!!」


 2人が叫ぶが、タカシの耳には届かない。

 もはや彼を止めることは誰にもできないのだ。


「ふははははは! 俺はタカシ=ハイブリッジ男爵だぞ! 先客がケフィだろうと一般領民だろうと、身分や金の力で有耶無耶にしてくれるわ!!」


 そんな最低の叫びと共に、タカシはついに温泉へと続く扉を開けた。

 その瞬間――


「え……?」


 タカシの動きが止まる。

 その視線の先では、今まさに湯船に入ろうとしている人物がいた。

 その人物は……。


「なっ! ななな……!? た、タカシ=ハイブリッジ……!? どうしてここに……」


 そこにいたのは、なんと聖女リッカだった。

 彼女は驚愕の表情を浮かべ、大きめのタオルで素早く体を隠した。


「それはこっちのセリフだ。なんでお前がここに……?」


 タカシは呆然と呟く。

 何を隠そう、彼はリッカに惨敗したばかりなのである。

 彼女に敗北し、命を失いそうになった際の恐怖はしっかりと覚えている。

 そんな相手が目の前にいるのだから、驚くのも無理はないだろう。


(俺を撃破したあと、帰ったんじゃなかったのか? いや、そんなことよりも……)


 問題はこの状況をどうするかである。

 リッカは、タカシから見て格上の相手と言わざるを得ない。


 温泉にて異性と全裸でバッタリ遭遇――。

 普段からいい雰囲気の者同士であれば、そこから関係が発展する可能性がなくもない。

 そういった特別な関係性を持っていなかった場合は、女性側が悲鳴を上げて男は退場させられる。

 あるいは、タカシが突入した先で入浴中の者がただの領民だったのであれば、権力、戦闘能力、金銭などを駆使して隠蔽することも可能だっただろう。

 だが、聖女リッカだけはマズイ。


(どうにか、どうにかしないと……!)


 このままでは間違いなく殺される。

 何か打開策を考えなくては……!

 そう思いつつも、なかなかいい考えが浮かばないタカシ。

 そんな彼を見て、リッカが口を開く。


「……ふっ。せっかく拾った命を捨てに来たですか。いい度胸です。僕様ちゃんが、今度こそ引導を渡してやるです!」


 そう言って構えるリッカ。

 大きめのタオルを体に巻いているため、彼女の裸体がタカシに見えることはない。


 彼女は聖ミリアリア統一教会の聖女として、特殊な処理を体に施している。

 それにより戦闘能力や浄化能力が上がる一方で、体の成長はほとんど望めなくなっている。

 彼女の外見年齢は10歳前後。

 一方の実年齢はそれよりも遥かに上。

 つまるところ、彼女は合法ロリなのだ。


 タカシも、何となくそのような事実を察している。

 リッカから発せられる殺気や威圧感というのは、それほどまでに強大だからだ。


(くっ……どうする? 考えろ……考えるんだ……)


 タカシは必死で頭を働かせる。

 そんなとき、彼は一つの事実に気がついた。


「リッカ……」


「なんです? 命乞いなら聞かないです」


「お前、とても可愛いな……」


「へ……?」


 唐突に発せられたタカシの言葉に、思わず間の抜けた声を出すリッカ。


「あどけなくて可愛らしい顔立ちに、透き通るような白い肌……」


「えっ? あぅ……えっと……」


 戸惑うリッカをよそに、タカシはさらに言葉を続ける。


「それに……胸も小さいな……」


「うぐっ!?」


 胸にコンプレックスのあるリッカにとって、その言葉はかなりクリティカルだったようだ。


「だが、その小ささが良い……。貧乳はステータスだ。希少価値だ。……そして、この小さな体で俺を圧倒するほどの力を持っているとは……ますます素晴らしい……」


「あうぅ……」


 さらに畳みかけるように褒めちぎられてしまい、赤面して俯いてしまうリッカ。

 そんな彼女に向けて、タカシが続ける。


「ああ……お前は本当に美しいよ……。まさに美の化身だ……」


「そ、そんなに褒めるなです……!」


 顔を真っ赤に染め上げながらも、満更でもないといった様子のリッカ。

 そんな彼女を余所に、タカシはなおも続ける。


「お前の肌を見ていると、俺の中の何かが目覚めそうになるんだ……。もっと見たい、もっと触れたい、もっともっと――」


 そこで言葉を切ると、タカシはおもむろに腰のタオルを取った。

 完全に裸になると、改めてリッカに向き直る。


「俺から一つ言いたいことがある。聞いてくれ」


「い、一体何なのです……?」


 リッカは動揺を隠しきれないまま、そう答えたのだった。

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