【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1396話 タカシ=ラスターレイン『アクア・スタイル』

公開日時: 2024年5月27日(月) 12:47
文字数:1,423

「…………」


 俺は動けないでいる。

 だってそうだろう?

 俺は幻影により、周囲の海水ごと凍結されてしまったのだからな。


「ふん、口ほどにもない……。お前の運命はここで終わりだ」


 幻影が氷越しに俺を見下ろす。

 俺は幻影を睨みつけた。


(くっ……。まだだ……!)


「ほう。凍結されても、まだ意識を保っているか。浮気者とはいえ、さすがは並行世界の俺だな」


 幻影が感心する。

 普通、氷漬けにされたら意識を失い、間もなく死亡する。

 体温が急低下する上、呼吸もままならなくなるからだ。


 だが、俺はチートを持っている。

 豊富な魔力量により、他者からの魔法干渉に関して強い抵抗力を持つ。

 そんな俺なら、氷漬けにされても直ちに戦闘不能になるわけではない。

 俺は氷に抗い、魔力を流し続ける。

 すると、少しずつではあるが、凍結が解除され始めた。


(もう少し……。もう少しで抜け出せる!)


「往生際の悪い奴め……。ならば、これでどうだ?」


 幻影が魔法の出力を上げる。

 俺はそれに抵抗しようとするも……。


(ぐっ! な、なんという出力なんだ……!!)


「抵抗は無駄だ。……俺はタカシ=ラスターレイン『アクア・スタイル』。水も氷も、俺の領域だ。真実の愛を知らぬお前如きに、どうこうできると思うな」


 幻影があざ笑う。

 確かに、幻影の言う通りだろう。

 水魔法系に特化した彼の水魔法の出力に、バランス型の俺が対抗するのは難しい。


 だが、それでも俺は氷から抜け出すのを諦めない。

 ここで諦めたら、俺の愛する妻や仲間たちはどうなる?

 絶対に諦めるわけにはいかない。

 俺は気合を入れると、再び魔力を流し込む。


「ふん……。まだ諦めないか。ならば、これでトドメだ!」


 幻影が水魔法の出力をさらに上げた。

 俺はその瞬間――


「うおおおおっ! 【魔皇炎斬】!!」


 火の斬撃を放つ。

 その斬撃は氷を溶かしながら、幻影に襲いかかった。


「なにっ!?」


 幻影が驚愕する。まさか、俺が氷を打ち破って反撃するとは思っていなかったのだろう。

 幻影は慌てて水魔法を繰り出して防御するが……。


「ぐはっ……!」


 俺の斬撃が、彼の体を切り裂く。

 水魔法に特化している分、近接戦闘は苦手と見えた。

 相手の弱点を臨機応変に突くことができる――それがバランス型の利点だろう。

 この優位性を活用せねば!


「よし! このまま押し切ってやる!!」


 俺は勢いに乗って、幻影に攻撃を仕掛けようとする。

 これまで、数多くの幻影に押されてきた。


 スミス、セイント、サンダーシェフ、ヴァース。

 アーチャー、フェニックス、ヒール。

 そして、今回のアクア……。


 いずれもかなりの強敵だった。

 いろんな魔法で対抗したり、戦いの場を移したり、海水で混戦に持ち込んだりなどして、何とか粘ってきたが……。

 まだどの幻影も倒せていない。

 この『アクアスタイル』の幻影だけでも倒しておかないと、後が苦しい。


「うらああああぁっ!!」


「――【絶刀】」


 俺はアクアスタイルの幻影に斬りかかる。

 しかし、その攻撃は届かなかった。

 また別の幻影が、俺の剣を受け止めたのだ。


「むっ!?」


「甘い剣筋でござるな。拙者の敵ではない」


「お前は……!?」


 俺は目を見開く。

 俺の剣を受け止めた幻影は、侍風の格好をしていた。

 その特徴から推測するに……。


「――【無明斬】」


「ごはっ……!」


 俺は斬撃を受けて倒れ込む。

 太刀筋が見えない……。

 とても強力な剣技だ。


 チートを大いに頼りつつ我流で鍛えてきただけの俺には……かなり厳しい相手だ……。

 どうやったら……これほどの領域……に……。

 俺……は……もう……。

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