【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

753話 事の顛末

公開日時: 2022年8月17日(水) 12:46
文字数:1,998

 俺は『闇蛇団』の一掃に成功した。

 ロッシュや五英傑を含む幹部たちを拘束した。

 そして、囚われていた少女ノノンを救出することに成功したのである。

 騎士団への引き渡しなど、諸々の用事を済ませていった。

 その翌日。


「ふう……。無事に片付いて良かったな」


 俺は一人、そう呟く。

 ここは高級宿。

 ハイブリッジ家が最上階を丸ごと借り切っており、その中でも一番良い部屋だ。


「ロッシュたちへの裁きは、王家や騎士団が考えてくれるのだったな……」


 ロッシュたち『闇蛇団』は、少しながらも闇の瘴気の影響を受けていたようだ。

 だからこそ、普段は尻尾を見せない彼らを捕らえることができたのだが。

 本来の彼らであれば、俺や騎士団の動きを察知した時点で活動を全面的に休止していたかもしれない。

 今回は休止するどころか、俺が立ち入った前日にノノンを陥れていたぐらいだからな。

 彼らにしては、警戒がお粗末だった。


「まぁ、闇の瘴気を理由に無罪放免とはならないだろうが……」


 ハガ王国国王のバルダイン。

 ミティの幼なじみカトレア。

 ウォルフ村の近くの領主ディルム子爵。

 俺の盟友であるソーマ騎士爵。

 リーゼロッテの実家のラスターレイン伯爵家。


 それぞれ、闇の瘴気の影響により暴走して、それなりにやらかした。

 だが、彼らについてはほぼほぼ無罪放免に近い処遇となっている。


「闇の瘴気に関する罪は、明文化された法があるわけではないんだよなぁ……」


 良く言えば臨機応変に、悪く言えばその場のノリで決められているような現状だ。

 国家としてだいじょうぶかという気持ちにもなるが、闇魔法や闇の瘴気が増えてきたのはここ最近のことだろうし、仕方がないだろう。

 今後ちゃんとした法整備が進められていくはずだ。

 とりあえず現状としては、瘴気に侵される前の善良さや功績、被害の多寡、被害者の許し、闇の瘴気の濃さによる心神喪失の度合いなどが総合的に考慮されて決められる。


 バルダインは善良な族長として平和を愛しており、戦後はサザリアナ王国と友好を確立した。

 カトレアは村ごと闇の瘴気に汚染されて抵抗が難しかったことに加え、被害者のミティが全面的に許した。

 ディルム子爵は元々は善良な統治者であり、被害者側の赤狼族の面々が許しを与えた。

 ソーマ騎士爵は女好きが暴走していただけで実質的な被害は極小であり、正妻ミサからもビンタ1発で許された。

 ラスターレイン伯爵家はファイアードラゴンの討伐に固執して領民を危険に晒したが、実際に生じた被害はほぼなかった。


「『闇蛇団』については、彼らほどの情状酌量の余地がないな」


 闇の瘴気に汚染されたのがいつかは不明だが、設立当初からというわけではないだろう。

 元々犯していた罪についてはそのままである。

 累積の被害もそれなりに大きいはずだ。

 ノノンのような目にあった被害者が簡単に許すとは思えない。

 そして何より、闇の瘴気の量も質もさほどではなかったのである。


「これまでに犯していた罪にもよるが、構成員が全員死刑、なんてことにはならないかな? まぁ、ノノンを泣かせたロリコンどもに同情するつもりはないが」


 俺はそう言いながら、ベッドに寝転がった。

 ロリコンなのは俺も同じだが……。

 俺は幼女を泣かせたことはない。


 ええと、ハイブリッジ家の配下で言えば、リンとロロあたりか。

 ニムは、初対面時は幼女寄りだったが、あれから2年以上が経過してかなり成長してきている。

 後は、ラーグの街から王都への道中の村で出会ったラフィーナに、今回助け出したノノンあたりかな。

 年下の女の子は、忠義度が上がりやすい。

 特に意識して上げていきたいところだ。


「ノノンの親御さんは泣いていたなぁ……」


 数日前から行方不明になり、騎士団に捜索依頼を出していたそうだ。

 ずいぶんと心配していたことだろう。

 ノノンが無事だとわかると号泣していた。


 彼女が『闇蛇団』に陥れられて奴隷に堕とされかけていたことを説明すると、さらに涙が溢れ出ていた。

 娘を助けてくれたことに感謝の言葉を述べ、最後には俺の手を握ってきた。


「父親は右足と左手がなかった。そして、母親は過労で倒れていたらしいな……」


 ノノンがギャンブルに手を出したのは、別にスリルを求めてとかではないようだ。

 家族を養うために、少しでもお金を稼ぐ必要があったということだった。

 俺はとりあえず、3人それぞれに中級の治療魔法を掛けてあげた。

 とりあえず、今日明日で体調が急変することはないだろう。

 ハイブリッジ家のみんなと相談して、さらなる援助を行うか決めたいと思う。


「あと、一般参加者たちの罪科の決定にあたって、俺の意見を聞きたいとイリーナが言っていたな。場合によっては取り調べを手伝ってほしいとか」


 これは呼び出し待ちだから、今すぐどうこうという話ではない。


「ふふふ。ノノンへの援助や一般参加者の取り調べも大切だが、今はそれ以上に大きな案件があるよな……」


 俺はニヤリと笑う。

 今のうちに、仕上げていくことにしよう。

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