ミリオンズで会議を行っている。
俺のスキル編成を共有しているところだ。
「続けるぞ。俺は『誓約の五騎士』のイリーナから、時魔法の極意を伝授してもらった。そして、スキルポイントを使用せずに時魔法の習得に成功したんだ」
時魔法。
イリーナによると、激レアな魔法らしい。
実際、ステータス操作のチートでも直接取得することはできなかった。
イリーナに伝授してもらったおかげで、無事に習得に至った魔法である。
「そして最後に、影魔法だ。これは最近習得したばかりのスキルでな」
「ええっと、タカシさん?」
「どうした? リーゼ」
「あまりレベル1のスキルばかり習得しても、器用貧乏になってしまうというお話ではございませんでしたか? スキルポイントなしで習得された時魔法は別としましても、光魔法・幻惑魔法・影魔法とレベル1のスキルばかりではポイントの無駄遣いでは……」
「うむ。その通りだとも言えるし、そうではないとも言える」
「はい?」
「影魔法も、時魔法と同じくスキルポイントを消費せずに習得したのさ。これなら、無駄遣いにはならないだろ?」
俺はステータス操作のチートに全力で頼っている。
そのため忘れがちだが、スキルはポイントを消費せずとも習得したり強化したりすることができるのだ。
新規取得の時点では候補に表示されない闘気術・聖魔法・時魔法あたりはどのみち自力で習得するしかない。
しかし、例えば剣術・火魔法・影魔法などは、スキルポイントを消費して取得してもいいし、自力で取得してもいい。
どちらの方法でも可能だ。
「なるほど。月様との秘密特訓ですね? お館様は、最近『雪月花』三姉妹の方々をたいそうお気に入りで……」
レインがそんなことを言い出す。
それは事実だ。
しかし、パーティメンバーの視線が一回り冷たくなったように感じられた。
俺は弁明のため慌てて口を開く。
「彼女たちは、ヤマト連邦の出身らしいからな。加護(小)も付いているし、今後も大いに期待できる者たちだ。もちろん、俺はみんなのことを今後も大切にしていくつもりだから、そこは安心してくれ」
「はい! 私はタカシ様を信じていますので!! ミカもそう言っています!」
「もしボクたちを捨てたら、ゴーストになって出てやるから。ねえ? アイリーン」
「ふふ。タカシは女好きは諦めてるからいいよ。モコナが元気に育てばそれでいいかな」
ミティ、アイリス、モニカがそんな反応を示す。
愛する子どもたちがグレたりしないよう、ちゃんと家庭も顧みないとな。
浮気ばかりしているわけにはいかない。
――さて、続いてミティやアイリスたちのスキル編成を再確認していこう。
「次は私ですね。私は格闘術と体力強化を伸ばしました」
「ボクは保留中だよ。治療魔法をレベル5にしたいんだけど、なかなかね」
「私もだね。脚力強化あたりを伸ばしたいんだけどねぇ」
ミティ、アイリス、モニカがそう言う。
俺はレベルが1上がる度にスキルポイントを20もらえる。
一方で、俺以外は10ポイントしかもらえない。
もちろんそれでも十分にチートなのだが、基礎レベルが十分に上がったため、新たなスキルポイントは得にくくなっているのが現状だ。
スキルレベルを4から5に伸ばすための30ポイントを貯めるには忍耐が必要である。
「わ、わたしは腕力強化をレベル4にしました」
「ふふん。私はMP強化と獣化術ね。新技に期待していなさい」
ニムとユナは既存スキルの強化だ。
特にユナの獣化術はレベル5に達している。
今後ますますの活躍が期待できるだろう。
「マリアは重力魔法だよっ!」
「私はMP強化ですね。これで、長時間の戦闘にも対応できると思います」
マリアとサリエがそう言う。
彼女たちのスキルもずいぶんと高レベルになってきた。
1対1の戦闘ではミティ、アイリス、モニカ、ニムあたりに見劣りする彼女たちだが、サポート要員としての能力は非常に高い。
ヤマト連邦でもお世話になることが多そうだ。
「わたくしは治療魔法とMP回復速度強化ですわね」
「拙者は、脚力強化、えむぴい強化、魔力強化でござる。そして、騎士団での訓練を通して闘気術も向上していたようでござる」
リーゼロッテと蓮華も、他のメンバーと同じく長所を伸ばす方針だ。
特に蓮華は剣術と風魔法関連に特化している。
ふと考える。
俺と蓮華、どちらが強いだろうか?
限られた場所で何でもありの1対1ならば、俺が優位だ。
しかし、その他の条件次第では彼女が勝つこともあるだろう。
必ずしもどちらが強いとは言い切れない。
「わ、私はいろいろ強化していただきました! 剣術、MP強化、魔力強化、闘気術、空間魔法です!! あと、マッサージも練習しました!」
レインはミリオンズで最も新入りだ。
基礎レベルがまだ低かったこともあり、今回大きな成長を見せている。
剣術と空間魔法を操るスーパーメイドだな。
スキルだけを伸ばしても上手く使えなければイマイチだ。
しかし、彼女の場合はタイミングよく王都騎士団の訓練に交じることができた。
さすがにスキルレベルそのままの活躍を見せることはまだ難しいだろう。
ただ、完全な付け焼き刃というわけでもない。
今後も順調に経験を積んでいってもらいたいところだ。
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