【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1383話 マリア純愛ルート 浄化

公開日時: 2024年5月14日(火) 12:27
文字数:1,284

「ああぁ……。お、俺は……なんということを……」


 俺は頭を抱えた。

 先日捕らえた神官を拷問した結果、バルダイン王を変貌させている原因が分かった。

 闇の瘴気だ。

 瘴気に侵された初期症状として、自らの欲望や負の感情が表出しやすくなる。

 症状が進行すると、欲望や負の感情に歯止めが利かなくなっていき……。

 最終的には自我が崩壊してしまうのだとか。


 瘴気を祓う方法はいくつかあるらしい。

 代表的なのは、『聖魔法』によって浄化すること。

 それを知った俺は、聖ミリアリア教の司祭である彼を拷問し、強制的にバルダイン王の症状を改善させた。

 俺やマリアも、浄化の様子を傍らで見守った。


 そこまではいい。

 そこまでは良かったのだ。

 だが……。


「お、俺は……いったい何人殺したんだ……? 俺は、俺は……」


『タカシお兄ちゃん……』


 憔悴しきった俺を、マリアが心配そうに見る。

 俺は国やバルダイン王を救うために行動した。

 その結果……サザリアナ王国に住まう大勢の人々を殺してしまった。


 俺は日本人だ。

 いくら戦争とはいえ、人を殺して何も思わないはずがない。

 チートスキルを得て調子に乗っていたのもあるだろうが、何よりも大きな原因は闇の瘴気だ。

 瘴気に侵されたバルダイン王や六武衆と接するうちに、俺もその影響を受けた。

 その結果、何の罪悪感も感じなくなっていたのだ。

 そして、俺は火魔法で多数のサザリアナ王国民を焼き殺し――


「うぐっ……!?」


『タカシお兄ちゃん!? 大丈夫!?』


 俺は吐き気を催し、その場に崩れ落ちた。

 マリアが慌てて俺の背中をさする。

 しかし、吐きたいのに吐けない。

 そんな状態がしばらく続いた。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


『だいじょうぶ、だいじょうぶ……』


 マリアが俺の頬を撫でる。

 俺は優しく彼女を抱きしめた。


「マリア、すまない……。俺が不甲斐ないばかりに……」


『タカシお兄ちゃんは何も悪くないよ……。悪いのは全部闇の瘴気だから……』


「……そうだな」


 俺は立ち上がる。

 瘴気に侵されていたのは、俺だけではない。

 バルダイン王、ナスタシア王妃、マリア姫、六武衆、その他の一般兵士たち……。

 かなりの人数にのぼる。


 聖魔法を使える神官は1人しかいない。

 全員の瘴気を祓うには、さらなる時間が必要だが……。

 瘴気の症状が改善した今、神官を拷問して強制的に聖魔法を使わせる気にはなれない。


 今さらだが、なんとか彼と対話して……。

 彼の協力のもと、国の重鎮から優先的に瘴気を祓って……。

 サザリアナ王国ともなんとか講和して……。

 俺が代理で務めている国王の座をバルダイン王に明け渡して……。

 やらなければならないことが山積している。


「マリア、すまないな。俺のせいで……」


『ううん。タカシお兄ちゃんがいなければ、マリアたちはみんな死んでたと思う……。マリアはずっとタカシお兄ちゃんの味方だよ!』


 マリアが優しく微笑む。

 その笑顔を見て、俺は少しだけ救われた気がした。


「ありがとう……。よし、頑張るか」


『うんっ! いっしょにがんばろうねっ!』


 俺はマリアの頭を撫でる。

 彼女の存在は俺にとって大きな救いになっていた。

 彼女は俺の希望だ。

 そんな彼女のためにも、俺は頑張らなければ……。

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