俺はファイアードラゴンのドラちゃんに加護(小)を付与した。
古代アンドロイドのティーナに続き、当初は付与対象にすら挙がっていなかった者への付与だ。
しっかりと情報を整理しておく必要がある。
(ドラちゃんのステータス画面に表示されている文字化け箇所は3つだったな……)
俺は彼女のステータス画面を再確認する。
文字化け箇所のみを抜粋してみよう。
種族:繝峨Λ繧エ繝ウ
身分:荳狗エ繝峨Λ繧エ繝ウ
職業:轣ォ轤弱ヶ繝ャ繧ケ菴ソ縺
(文字化けの解読なんて、ほぼほぼ無理だが……。ドラちゃんのこの箇所についてだけは、ギリギリいけそうな気もする)
俺はそう感じた。
そして、文字化け箇所をじっくりと眺め、ある共通した文字の並びを発見した。
種族:繝峨Λ繧エ繝ウ
身分:荳狗エ 繝峨Λ繧エ繝ウ
(種族と身分の箇所に記載されている文字列の中で、『繝峨Λ繧エ繝ウ』という並びが共通しているな……)
俺は考える。
ここに記載されている本来の単語は何だろう?
言語パズルの要領で……。
ええっと……。
……ダメだ、分からん。
(まぁいいか。文字化けしているのは致命的なバグではなくて、単に『権限者』が適切な単語を事前に登録していなかっただけの可能性が高い。そのうち対応してくれるだろう。……たぶん)
俺はとりあえず、そう結論づけた。
イメージ的には、リリース後のオンラインゲームの不具合に奔走するプログラマーだ。
あるいは、納品後のクレームに対して必死に対応する営業や生産者あたりかな?
……こう考えると、『権限者』もなかなか不憫な存在だな。
ま、この世界はゲームではなくて現実世界だとは思うが……。
俺はそんなことを考える。
そして、次のスキル欄に視線を向けた。
(ドラちゃんの火炎ブレスや飛行は、加護を付与する前からかなり凄かったが……。あれでレベル3だったとはな)
俺は少し驚く。
ざっくり言えば、『ドラちゃんの火炎ブレス術レベル3』と『タカシの火魔法レベル5』が同じくらいだった。
それぞれのMPや魔力のステータス差による違いだろうか?
あるいは、スキル自体に性能差があるのだろうか?
もし後者であれば、俺も『火炎ブレス術』を取得したいところだ。
各種スキルに対して消費するスキルポイントに差はないので、より高性能なスキルにポイントを使っていった方が効率が良いからである。
しかし残念。
俺の取得候補スキル欄に『火炎ブレス術』は表示されていない。
現時点において俺は『火炎ブレス術』を取得できない。
ただ、フレンダやリッカのユニークスキルと違って文字化けなしで表示されているあたり、そこまで激レアなスキルでもなさそうだ。
俺が自力で習得済みの『聖魔法』『聖闘気』『時魔法』などと同じように、これからの頑張り次第では習得することも可能かもしれないな。
(そして、『変化術』はレベル3か)
推測になるが、彼女が俺たちの仲間になった時点での『変化術』はレベル2ぐらいだったと思われる。
レベル2の変化術は、ファイアードラゴン形態から巨大トカゲ形態への変化を可能としていた。
そして、彼女はユナとの特訓を経て、変化術をレベル3に上げた。
これにより、巨大トカゲ形態から人族形態への変化が可能となった。
人間要素とドラゴン要素が『4:1』ぐらいの比率の変化だ。
加護(小)の恩恵をダイレクトに受けていれば、変化術のスキルレベルが4に上がることもあったのだろうが……。
今回、それはお預けとなったようだ。
まぁあれぐらいのドラゴン要素が残っていてくれた方が、夜の性活では良い刺激になるしな。
特に問題はない。
(さて、ステータスの確認はこれぐらいにしておくか)
ティーナやドラちゃんのおかげで、俺の熱情はずいぶんと発散された。
あと少しだけ発散しきれていないが……。
これぐらいならば我慢できる。
俺は獣ではないのだ。
誇り高きハイブリッジ男爵家の当主として、欲望をコントロールしていこう。
(大丈夫。俺はできる男さ)
一眠りしたら、そろそろ雷雲も去っている頃合いだろう。
俺はそんなことを考えつつ、眠りにつこうとした。
だが――
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