【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1564話 体を変質させる武技

公開日時: 2024年11月11日(月) 12:18
文字数:1,274

「『散り桜』は、無敵の防御妖術だ。貴様に破れる道理などない」


 景春が言う。

 彼は自身の血統妖術に絶対の自信を持っているようだ。


「無敵ねぇ……。くくっ!」


「何がおかしい?」


「いや……虚勢がみっともないと思ってね」


「なっ!?」


「一つ助言をしてやろう。あまり強い言葉を使うな……弱く見えるぞ」


「貴様……! 桜花家の血統妖術を侮辱するか! 後悔させてやる!!」


 景春が桜の花びらを舞わせる。

 その妖力の密度が、明らかに増した。


「ほう……。先ほどよりも強い妖力を感じるな」


 俺は言う。

 攻撃力には欠ける……とか言っていた気がするが、その言葉は嘘だったのか?

 そこらのゴブリンが相手なら、瞬殺できそうな雰囲気がある。

 妖力と剣術を一概に比較することは難しいのだが、その攻撃力は1~3階あたりにいた侍のそれをゆうに超えるだろう。


「流浪人……、降参するなら今のうちだぞ」


 景春が言う。

 俺は肩を竦めた。


「まだ侮るか……! その油断が命取りだ! 散れ……【血統妖術・桜吹雪】!!」


 景春が叫ぶ。

 彼の周囲に舞っている桜の花びらが、俺に向けて飛んできた。


「ふん」


 俺はそれを避けない。

 正面から花びらの渦を受け止めた。


「油断が命取り? そんなことにはならない」


 桜吹雪が俺に命中する。

 だが、俺の体に傷が付くことはなかった。

 超高体温の俺に触れた花びらは、一瞬で燃え尽きたのだ。


「なっ……!? 馬鹿な!」


「お前には学習能力がないのか? 樹影とやらとの戦いを、もう忘れたらしいな。金属ですら一瞬で溶けるのに、花びらなんかが通じるわけがないだろう」


 自然の道理である。

 この世界には魔力・闘気・妖気などの概念が存在するため、俺の直感に反する物理現象が起きることもあるのだが……。

 無機物に限定すれば、概ね俺の感覚通りの現象が起きる。


「くっ……! なら、これはどうだ? 集え、桜の花びらよ……!!」


 景春が叫ぶ。

 彼の周囲に舞っていた桜の花びらが集まり、一本の槍を形成した。

 その長さは5メートル近くあるだろう。


「……で? 無駄だと思うがなぁ……」


「貫け!! 【血統妖術・桜槍】!!!」


 景春が命じる。

 その声に従い、槍が俺の体をめがけて飛んできた。

 ……この槍を一瞬で燃やし尽くすことは難しいだろうな。

 単純に質量が大きいし、妖気で強化され耐火性が上がっているし、速度が尋常ではない。


「はぁ……」


 俺はため息をつく。

 そのままボーっと突っ立っていた。


「ば、馬鹿者! 避けぬと死ぬぞ!?」


 景春が叫ぶ。

 攻撃したのは自分なのに、相手を心配するとは……。

 何がしたいのかよく分からん奴だ。

 しかし、もう遅い。

 槍は俺に到達していた。


「な……!?」


 景春が絶句する。

 桜の槍は超高温に耐え、俺を貫いた。

 俺の体に風穴をあけた。

 だが、それだけだ。


「言っただろう? 無駄だって」


 俺は告げる。

 体に風穴があいていても、特に痛みはない。

 動きに影響もない。


「貴様……何者なのだ……? その術は……いったい……?」


「『炎精纏装・サラマンダー』だ。体を変質させる武技……使えるのは自分だけとでも思ったか? 井の中の蛙とは、お前のことだ」


 俺は言う。

 景春は驚愕に目を見開いたまま、固まっていたのだった。

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