「ドラちゃん……! 俺はもう、我慢ができない……!!」
俺はドラちゃんを押し倒した。
ただでさえ昂ぶっているところに、首筋や耳元を舌で責められたのだ。
もはや、俺の理性は限界に達していた。
「んー?」
ドラちゃんが不思議そうな顔をしている。
50年は生きているはずの彼女だが、こういう知識に関しては怪しい。
ミリオンズ同士の交わりを見ていたことはあっても、自分が当事者になるとは思っていないのだろう。
しかし、俺はもう止まれない。
「ドラちゃん……!」
俺はドラちゃんに覆いかぶさった。
そして、そのまま彼女の豊かなお腹を鷲掴みにしようとした――その時だ。
「タカシ、興奮してるのー?」
ドラちゃんが聞いてきた。
彼女の大きな目が俺を見ている。
「うん……。俺は今、猛烈に発情している」
俺は素直に答えた。
この昂ぶりは彼女にぶつける以外、発散することはできない。
「んー? もーれつに……はつじょー?」
ドラちゃんが首をかしげている。
その可愛らしい仕草は反則だ。
俺はドキっとしてしまう。
まぁ、外見は巨大トカゲなんだが……。
「タカシ、もーれつにはつじょーすると……どうなるのー?」
「うん? そりゃあ……メスと交尾して孕ませたくなるさ」
俺は答えた。
こうしているうちにも俺の性欲は増していく。
「メスって……誰のこと?」
「そりゃ、ドラちゃん以外いないだろ」
この場にいる人間メンバーは全滅している。
古代アンドロイドのティーナも同様だ。
俺が欲望を発散するには、自分で致すかドラちゃんとヤルかのどちらかしかない。
「んー? よく分かんないけど……じゃあ、こうすればいいのかなー?」
ボンッ!
ドラちゃんの姿が謎の煙に包まれた。
そして、煙が晴れると――
「なっ!? そ、その姿は!?」
俺は驚愕の声を上げた。
煙の中から現れたのは、1人の少女だった。
身長はユナよりも少し低い程度だろう。
しなやかな肢体をしており、髪は薄い赤色で少しボサボサしている。
「ど、ドラちゃん……なのか……?」
ドラちゃんの正体はファイアードラゴンだ。
その体は物質と魔素が複雑に絡み合って構築されており、本人の意思によってある程度まで形態を変えることができる。
普段のドラちゃんは巨大トカゲの形態で過ごしていた。
理屈上はもっと人間に近い姿にもなれるはずだったが、姿を変化させることに彼女が不慣れだったからだ。
「まさか……本当に?」
少女の顔は、どこかドラちゃんの面影を残していて、可愛らしい。
胸はそこそこの膨らみがあり、お尻も大きいが、全体的にスリムだ。
発育良好な中学生くらいの体型かな……。
「えへっ……。どうかなー? 実は、ユナといっしょに人間変化の特訓をしてたのー」
少女が照れながら笑う。
どうやら、彼女の正体はやはりドラちゃんで間違いないようだ。
「な、なぜそんな特訓を?」
俺は思わず聞いてしまう。
ラーグで過ごすにあたり、巨大トカゲの形態でも特に問題は生じていなかった。
基本的には屋敷で過ごすわけだし、たまに外出する際も俺やユナと行動を共にしていたからである。
街の人たちからも、『領主が飼っている巨大トカゲ』ぐらいの認識をされていた。
「えっとねー……。タカシがユナとばかり『なかよし』するから、私もヤキモチやいてたのー」
「へ?」
俺は間の抜けた声を上げた。
まさか、ドラちゃんがそんなことを気にしているとは思っていなかったのだ。
「タカシとユナはなかよしー。でもー、私はもっとなかよくしたいのー」
「そ、そうか……」
「だからー。ユナといっしょに人間変化の特訓してたのー」
ドラちゃんが可愛らしい笑顔で言う。
俺はそんなドラちゃんを見て思った。
ここまで頑張ってくれたのであれば、男として責任を取らねばなるまい、と。
「ドラちゃん、じゃあ……」
俺は彼女の背中に手を伸ばした。
ドラちゃんの背中をさする。
「んふっ……。くすぐったいのー」
ドラちゃんが笑う。
だが、俺はやめない。
彼女の背中をさすりながら、優しく抱きしめた。
「まだ完璧な人化というわけではないみたいだな。しっぽと羽が残ってる」
ドラちゃんのお尻から生えている小さな尻尾。
そして、背中にある小さな羽も残っていた。
あとは、体の一部に鱗もあるな。
全体的に言えば、人間要素とドラゴン要素は『4:1』ぐらいの比率か。
「うーん……。やっぱり難しいのー。タカシ、これじゃダメ?」
「いいや、ダメじゃないさ。ドラゴンっぽいドラちゃんの姿も俺は好きだよ」
俺はそう言って、彼女の頭を撫でる。
巨大トカゲの姿であっても、俺はギリギリでヤれそうな感じだったのだ。
ここまで人間に近づいた時点で、もう十分過ぎるほどにストライクゾーンに入っている。
ガチの爬虫類フェチの人にとっては不服かもしれないが、俺にとっては問題ない。
これぐらいの適度なドラゴン要素は、良い刺激になってくれそうである。
「えへへー……。ありがとうなのー」
ドラちゃんは嬉しそうに目を細めた。
こうして――俺たちは『なかよし』をしていったのだった。
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