【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1540話 桜花城の瘴気

公開日時: 2024年10月18日(金) 12:35
文字数:1,211

「おお、あれが夜の桜花城か……。心なしか、いつもよりはっきりと見える気がする」


 俺は夜の桜花城を見上げながら呟いた。

 俺は『視力強化』というスキルを所持している。

 遠くを見る能力、近くの細かいものを見る能力、動体視力などの他、暗視能力も強化されている。

 暗闇において、常人よりもよく見えるのは当然のことだが……。

 そのスキル効果を考慮しても、いつも以上に見える気がする。


「鮮やかな桜花城……。夜の闇が、さらにそれを引き立てているな……」


 俺は感嘆の声を漏らす。

 昼間はごく普通に見えていた桜花城。

 夜の闇に紛れた今は、その美しさが際立っていた。

 決して気のせいではない。

 城のあちこちから、闇の瘴気が溢れている。


「実に……実に素晴らしい!!」


 俺は思わず、桜花城の天守閣に向かって叫んでいた。

 闇の瘴気が俺の心と共鳴している。

 これほど見事な闇、若造藩主の景春や愚鈍な侍どもにはもったいない。


「俺の闇は俺のもの! お前らの闇も俺のものだ! 【闇の大螺旋】ん!!!」


 俺は両手のひらを桜花城に向け、闇の魔法を発動させる。

 突き出した両手のひらに、瘴気が吸い込まれていく。

 やがてそれは大きな螺旋状になり、桜花城全ての闇を吸い付くし始めた。


「ふ、ふふふ……! さぁ、来い! 闇の力よ!!」


 俺の全身に力がみなぎる。

 体内で闇の瘴気が渦を巻き、俺を強化しているのだ。


「はーっはっはっはっ!! 素晴らしい! 実に素晴らしいぞ!! 俺は今、最強の力を手にしたのだ!!!」


 俺は高笑いを響かせる。

 闇の力に覚醒し、俺はさらに強くなった。

 おそらく、闇魔法のスキルレベルが上がっているはずだ。

 それだけではない。

 闇のオーラを他の属性と混ぜることで、より多彩な攻撃ができるようになるだろう。


 そして何より、精神的な影響も大きい。

 闇の瘴気によって、意思の力が強化されたのだ。

 自分の欲望に忠実になり、行動の思い切りが良くなる。

 今なら、どんな敵にも負ける気がしない!


「ふ……ふふ……。少し前までの俺は、闇の瘴気を忌避し恐れていた。だが、今は違う。俺は闇の力を、完全に受け入れた」


 そう、今の『俺』は闇を手にする前の『俺』とは全く違うのだ。

 まるで生まれ変わったような気分である。


「今となっては、馬鹿みたいだよ。俺はいったい、何を恐れていたのか?」


 俺は夜空を仰ぎ見る。

 広大な闇が俺を祝福してくれているかのようだ。


「知らなかった! 闇がこんなに美しいものだったことに!!」


 闇……。

 人間の根源的な恐怖と嫌悪の対象。

 その闇の美しさを、俺は初めて理解した。


「知らなかった! 闇がこんなに優しいものだったことに!!」


 俺は両手を夜空に掲げる。

 この美しい闇を、もっと味わいたい!

 そうだ、街を探せば瘴気を抱えた住民も見つかるんじゃないか?

 貴重な瘴気は、そこらの一般人などにはもったいない。


「さぁ、行こう! 桜花藩の闇は、全て俺のものだ!! ぎゃはははは!!」


 俺は夜の街を駆ける。

 新たな力を手に入れ、心が躍る。

 今なら、何でもできそうだ!

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