【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1233話 決着

公開日時: 2023年12月14日(木) 12:18
文字数:1,833

 俺はジャイアントクラーケンと戦っている。

 新技の『英霊纏装』で攻めていったが、触手による反撃をもらってしまった。


「ぐあぁっ!?」


 俺は海面を跳ねながら転がっていく。

 くそっ……!

 奴も攻勢に転じやがった。

 いや、考え方によっては、これはチャンスか。

 奴がリスクを承知で攻めなければ生命の危機を感じるほど、俺の攻撃が奴に効いていたという見方もできるからな。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンが追撃してくる。

 俺はすぐに体勢を立て直す。

 そして、奴の攻撃を迎撃することにした。


「はああぁ……っ! これで最後だっ!! 全力で迎え撃つ!! 奥義――」


 俺は自身の周囲を闘気で覆う。

 それは俺を中心とした闘気の球体となった。

 俺はド闘気の球体を纏いながら、ジャイアントクラーケンに突っ込んでいく。


「【ドラゴニック・ノヴァ】!!!」


 ドガァアッ!!

 渾身の体当たりがジャイアントクラーケンに命中した。

 そのまま奴の巨体を貫く。


「ゴオオォッ!?」


 ジャイアントクラーケンが苦悶の声を上げる。

 さすがにこれには堪えたか?


「いや、まだだ!」


 ここで追撃の手を緩めてはいけない!!

 俺はさらに闘気をひねり出し――


「あれ……?」


 プスン……。

 突如、俺の纏っていた闘気が消えた。

 一時的に体のバランスを失い、俺は海に落下してしまう。


「いったい、何が……。これは……」


 まさか、闘気切れか?

 こ、これはマズイぞ……!


「ゴオオオォ……!!」


 ジャイアントクラーケンが迫ってくる。

 かなりのダメージを与えているが、瀕死というほどでもない。

 ゲームのHPで言えば……残り1~2割ぐらいだろうか。


 俺のHPは問題ない。

 治療魔法で適度に治療しているからだ。

 しかし、肝心の闘気が切れてしまった。

 聖気も空っぽだ。


 後は、なけなしのMPを使ってどうにかするしかない。

 まずは、重力魔法を再発動して海上に浮上しなければ……。


「うっ!? あぐ……!!」


 魔力を集中させようとした瞬間、不意に俺は強い頭痛に襲われた。

 これでは、重力魔法どころではない。


「ぐ……あ……」


 意識が遠のいていく。

 HPやMPはまだ残っているはずだが……。

 急速に消費したため、意識や体の方がついていけていないのか……!?

 ダメだ……これはマズい……!!


「はぁっ! させませんの!!」


「ゴオオォッ……?」


 突然、俺の体を何かが引っ張った。

 海中へと引き込まれる。

 ジャイアントクラーケンの触手か……?

 いや、漁夫の利を狙っていた他の魔物かもしれない。


 いずれにせよ、海中に引きずり込まれると大ピンチだ。

 人魚メルティーネの加護があるおかげで、俺は水中でも最低限の呼吸はできるが……。

 今のコンディションで海洋生物に抗うことは難しい。


「くっ……この……」


「心配なさらないで……。あなたは私が守りますの……!」


 ふにゅん……。

 何かに顔が包まれる感触がした。

 何だ?

 柔らかい……?

 ああ、この感触は知っている。

 これは――


「おっぱい……?」


「お、おっぱい!? こんな事態に、胸のことを!?」


 俺のつぶやきを聞いて、誰かが声を上げた。

 ああ……。

 俺を襲っているのは、ジャイアントクラーケンや魔物ではないらしい。

 言語を解する知的生命体にして、海に住まう者。

 つまり――人魚だ。


「メル……ティーネか……?」


「は、はいですの。私の初恋の御方……今はゆっくりと休んでくださいですの」


 やはり、人魚メルティーネだったようだ。

 どうやら彼女は今、俺を抱き寄せているらしい。

 俺は柔らかいものに包まれている。

 彼女の大きな胸だ。


「だが……ジャイアントクラーケン……が……」


「そちらも心配無用ですの。里の戦士たちが……戦っていますの」


「里……?」


「はいですの。私の故郷は、このすぐそばにあるんですの……!!」


 メルティーネはそう言って微笑んだ。

 ああ、そうか……。

 俺は人魚の里の近くで、ジャイアントクラーケンと戦っていたのか……。


「行くぞぉっ! 巨大イカを倒せぇえっ!!」


「我らの積年の念、今こそ晴らす時っ! この機を逃すな!!」


「ぽっと出の人族ごときに手柄を独占されてたまるかよ! 人魚の誇りを示せぇっ!!」


「総員、突撃ーーーっ!!!」


「うおおぉっ!!」


「どりゃああああぁっ!!」


 戦士たちの雄叫びが聞こえる。

 かなりの大人数のようだ。

 しかし、いくら俺が大ダメージを与えておいたとはいえ、あの巨体をどうにかできるのか……?

 少しでも援護しなければ……。


「うぐっ……!!」


 しかし、無理だった。

 俺の体は既に限界を迎えている。

 そして、俺はメルティーネに抱き抱えられたまま意識を失ったのだった。

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