【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1232話 不完全

公開日時: 2023年12月13日(水) 12:09
文字数:1,746

 俺はジャイアントクラーケンと戦っている。

 新技の『神霊纏装』によってそれなりのダメージを与えた。

 時間稼ぎは成功と言っていいだろう。


 だが、結果的にはそのダメージ量は中途半端なものになってしまった。

 ジャイアントクラーケンが生命の危機を感じて逃げるほどでもなく、かと言って俺という存在への無関心を維持するほどでもない。

 今すぐに俺が隠密小型船に合流しようと移動を始めれば、奴は追いかけてくるだろう。

 それは困る。


「ふぅ……」


 俺は呼吸を整える。

 俺の力の根源は、大きく3つある。

 魔法の発動に使用するMP。

 聖なる力、聖気。

 そして、身体能力を底上げする力――闘気だ。


 聖気は既に空っぽ。

 MPには多少の余裕があるものの、空間魔法や重力魔法を維持するために温存する必要がある。

 そのため、すぐに攻撃に回せるのは闘気だけだ。


「かぁっ!! おおおおおぉっ!!!」


 俺は気を高める。

 俺の全身を、闘気が覆い尽くす。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンが、咆哮を上げる。

 奴は無数の触手で俺を狙ってきた。


「はあああぁ……!! っあああぁっ!!!」


 俺はさらに闘気を高める。

 全身を覆い尽くしていた闘気が、さらに大きく膨れ上がっていく。

 そして――。

 ドゴオオォォンッ……!!

 爆発的な衝撃音。

 俺の闘気が弾け、触手の一部を吹っ飛ばしたのだ。


「ゴオオォッ!?」


 ジャイアントクラーケンが驚愕の声を上げる。

 別に、今のは攻撃ではない。

 この形態に変化する際に発生した余波のようなものだ。


「時間がかかってすまなかったな。まだこの変化に慣れていないんだ。名付けるなら、【英霊纏装・ベテルギウス・不完全】ってところか……」


 俺を力強い闘気が覆っている。

 俺はそれらをコントロールし、身体にフィットさせていく。


「……よし、いい感じだ」


 俺はそうつぶやきつつ、両手を握り込んだ。

 まだ不慣れな技だったが、これなら戦えそうである。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンが触手で攻撃してくる。

 俺はそれを躱しつつ、反撃を叩き込んだ。


「【龍撃・神威】!!」


 俺は闘気を纏った拳で、奴の巨体を殴りつけた。


「ゴオオォッ!?」


 驚愕の声を上げるジャイアントクラーケン。

 俺の拳がめり込んでいる。

 俺は追撃を加えるべく、闘気を全開にしたまま連撃を叩き込む。


「おらあぁっ!!」


 ガガガッ……!!

 ドゴォンッ……!!!


「ゴオォッ!!」


 俺の怒涛のラッシュに、ジャイアントクラーケンが苦しそうな声を上げた。

 なかなかタフだが……。

 まだまだこれからだ。


「【龍神脚】!!」


 俺は、足に闘気を集中させる。

 強烈な蹴りがジャイアントクラーケンを捉えた。


「ゴオオォッ……!?」


 再び声を上げるジャイアントクラーケン。

 少しばかり体勢が崩れた。

 やはり、この形態は強力だな。

 ここで畳み掛けるぞ!


「くらえっ! 【ドラゴニック・バースト】ぉおお!!!」


 俺は闘気弾を放つ。

 だが、ただの闘気弾じゃない。

 奴の戦意を挫くまで何度でも心の強さで撃ち出し、決して諦めない。

 ドラゴン級の闘気弾……ド闘気弾だ!!!


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンも、負けじと応戦してくる。

 ド闘気弾と触手が激突し、お互いに相殺した。


「まだまだぁっ! 【ドラゴニック・バースト】ぉおおっ!!」


 俺は再び技を発動。

 ド闘気弾を連発する。


「ゴオオォッ!?」


 ジャイアントクラーケンが驚愕の声を上げた。

 触手では対応し切れず、何発か胴体や頭部に直撃させている。

 やはり、触手よりも本体の方がダメージが通りやすいようだ。

 人間でも、頭部や胴体を刃物で貫かれたら致命傷になるが、手足だったら何とかなったりするもんな。


「おおおおおぉっ!! 【ドラゴニック・バースト】ぉおおっ!!」


 俺はさらにド闘気弾を連発する。

 そろそろ限界が近い……。

 まだ奴は倒れないのか?

 そろそろ切り上げて船に合流するべきか……。

 いや、ここまで奴にダメージを与えたからには、向こうもタダでは俺を帰してくれないだろう。


 この勝負は、どちらかが倒れるまで続く。

 そう確信していた。

 だが、ここで奴が大きく動く。


「ゴオオォッ!!」


 ジャイアントクラーケンは俺目掛けて複数の触手を振る。

 その一撃は、これまでで最も速く鋭いものだった。


「っ!? しまっ……!!」


 ドガッ……!!

 俺は触手の直撃を受けた。

 そして、勢いよく跳ね飛ばされてしまったのだった。

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