「そうだな。『忍術』と相性が良いのは、『気配察知』や『気配隠匿』だと思うぞ。他には、『視力強化』『聴覚強化』とかだ」
「ふむふむ……。なるほどな」
「もし4つとも取得するなら……ええっと、忍術と窃盗術をそれぞれ強化する分と合わせてスキルポイントをぴったり全て消費することになる」
俺は頭の中で計算し、流華に告げる。
彼の残りスキルポイントは60。
新しいスキルを取得するために消費するポイントは10。
スキルレベル2から3に強化するためのポイントも、同じく10。
6種類のスキルに対してそれぞれ10ポイント消費するのだから、ちょうど0になるわけだな。
「あー……、どうしよっかな。新規スキルをいくつか諦めて、忍術とかをレベル3にした方が良いのか? 兄貴、『器用貧乏は良くない』って言ってたよな?」
「ああ。だが、それらのスキルに関して言えばシナジーが非常に高い。器用貧乏には当てはまらないと思うぞ」
「そっかぁ……。うーん、悩むなぁ……」
流華が難しい顔をしている。
スキルポイントはいずれまた手に入る。
だが、それには多少の時間がかかるだろう。
謀反後の不安定な城内を生き抜くという喫緊の課題のためには、果たしてどういったスキル構成がベストなのか……。
俺でも迷うところだ。
少しでも判断の足しになるよう、俺に分かる範囲の情報を追加してやろう。
「ちなみにだが、『気配察知』『気配隠匿』『視力強化』『聴覚強化』は俺も持っているスキルだ。なかなかに便利だぞ。ま、仲間内でスキル構成が被りまくるのは微妙だが……。紅葉や桔梗とは違った方向性だし、忍者志望の流華には十分にオススメできるスキルで――」
「兄貴! 今、何て言った!?」
「ん? ええっと、紅葉や桔梗とは違った方向性――」
「もっと前!!」
「なかなかに便利――」
「その1つ前!!」
「俺も持っているスキル――」
「それだ!!」
流華が叫ぶ。
それなのか。
「え? 『俺も持っている』ってのが、どうかしたか?」
「兄貴と一緒がいい! 俺も兄貴と同じスキルが欲しい!!」
「お、おお……そうか……」
流華の勢いに気圧される俺。
だが、悪い気はしない。
彼からの尊敬の眼差しが心地良い。
俺のことを以前から『兄貴』と慕ってくれているし、同性の年上として尊敬されているのだろう。
そのことが、俺は嬉しかった。
それに、同じスキルを取得することに実利的な意味もある。
どういったスキルか事前に分かっているため、『思っていたスキル効果と違った』という失敗をするリスクが減るのだ。
また、先達者である俺が流華にスキルの使い方をアドバイスすることもできるし、いずれはその逆もあり得るだろう。
これは『師弟関係』と言い換えてもいいかもしれないな。
流華の本来の師匠と言えば無月だが、今は置いておこう。
「よし。では、強化するぞ」
「おうっ!!」
俺は流華のスキルポイントを消費し、彼のスキルを強化した。
忍者として、役立ってくれるはずだ。
さて、次は――
レベル10、朝霧流華(あさぎりるか)
種族:ヒューマン
身分:平民
役割:桜刃三戦姫
職業:忍者見習い
ランク:ー
武器:苦無(くない)
防具:村人の服
HP:74(57+17)
MP:43(33+10)
腕力:40(31+9)
脚力:47(36+11)
体力:43(33+10)
器用:43(33+10)
魔力:43(33+10)
残りスキルポイント:0
スキル:
気配察知レベル1
気配隠匿レベル1
視力強化レベル1
聴覚強化レベル1
忍術レベル3
窃盗術レベル3
称号:
タカシの加護を受けし者
桜花七侍撃破者
桜刃三戦姫
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