【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1547話 vs夜叉丸【桔梗side】

公開日時: 2024年10月25日(金) 12:40
文字数:1,624

「……はっ! せぇい!!」


 桔梗が気合と共に、夜叉丸に攻撃を仕掛ける。

 彼女は武神流師範の孫娘だ。

 幼少の頃より、しっかりとした指導を受けている。

 剣術のセンスは抜群だ。


「いい動きだが、まだまだ甘い――」


 夜叉丸が呟く。

 彼は桔梗の斬撃を、金属製の扇で見事に受け流していた。


「その程度では、桜花七侍の俺を打ち破ることはできないぞ――」


「くっ……!!」


 桔梗は、タカシから与えられた加護(小)により強化されている。

 身体能力などのステータスが2割向上した他、剣術スキルもレベル3からレベル4に上がっている。

 だが、それでも夜叉丸は倒せない。

 いくら新任とはいえ、桜花七侍の名に恥じぬ実力者ということだろう。


「まだやるのか――? あまり手荒な真似はしたくないのだが――」


「手加減はいらない。全力で来て……!!」


「そうか――。では、そうさせてもらう――」


 夜叉丸が扇を構える。

 そして、彼は目にも止まらぬ速度で桔梗に攻撃を仕掛けた。


「はぁああああ――!」


「くぅうううう!!」


 激しい戦闘音が響く。

 2人は互いに一歩も引かず、道場の床を踏みしめる。


「ふぅ――。やはり、剣さばきは上々だな――」


 夜叉丸が呟く。

 彼の扇には、桔梗の刀による攻撃で小さな傷がついている。

 だが、それだけだ。

 桔梗の攻撃は、夜叉丸の肉体には一切届いていない。


「まだまだ……!」


 桔梗が荒い息で呟く。

 その表情には疲れが見えている。

 いかに加護によって身体能力などが向上しているとはいえ、彼女には肉体的な限界がある。

 一方の夜叉丸は涼しい顔だ。


「お前の基礎はしっかりしている――。しかし、逆に言えば基礎だけだ――。実戦向けではない――」


「くっ……!」


 夜叉丸が攻撃を再開する。

 桔梗はなんとか彼の攻撃を凌ぎ続けるも、徐々にその勢いに押されていく。

 そして……


「きゃっ!?」


 ついに、桔梗は体勢を崩した。

 夜叉丸の一撃が彼女の顔のすぐ横を通り過ぎ、道場の壁に激突する。

 壁に穴が開くほどの威力だ。


「もう降参しろ――。搦め手のない愚直な武神流の剣では――、俺のような格上には絶対に勝てないぞ――」


「降参なんて……。私は……!!」


 桔梗は刀を構え直す。

 その体からは、魔力があふれ出ている。


「なんだ、その力は――? 妖力とは少し違う――?」


「説明するより、その身で味わうといい……! 【えんぷふぃんとりひ・ゆんぐふらう】!!」


 桔梗が叫ぶ。

 すると、その全身が薄っすらと光り始めた。


「こ、これは――!? 異国の力か――!!」


「私の力、その身に刻んで……」


「ぐっ――!?」


 桔梗の斬撃が夜叉丸に襲い掛かる。

 未知の技に対する警戒もあり、彼は一時的に防戦一方となる。

 だが……。


「驚かせやがって――。威力も速度も、大して変わっていないじゃないか――」


「それはどうか……な?」


「なに――?」


 夜叉丸の言葉に、桔梗がにやりと笑う。

 次の瞬間、夜叉丸は相手の攻撃に違和感を覚えた。


「馬鹿な――!? この俺の動きを先読みしている――?」


「これが、高志くんに教えてもらった新たな力……! 先読みの力があれば、武神流の剣術はさらに活きる……!!」


 夜叉丸の動きに先んじて、桔梗が斬撃を繰り出す。

 彼の扇による防御は、徐々に間に合わなくなってくる。


「くっ――! この俺が――!!」


「はぁあああ!! 武神流奥義【八岐之大蛇(やまたのおろち)】!!」


 桔梗の刀が夜叉丸を襲う。

 的確に繰り出された七連撃は、夜叉丸の体を袈裟斬りに切り裂く。

 そして最後、全身の体重を乗せた一撃が夜叉丸の腹部に炸裂した。


「ぐふぅっ――!?」


 夜叉丸が吹き飛ばされる。

 彼はそのまま武神流道場の壁を突き破り、外まで放り出された。


「はぁ……はぁ……。やった……!」


 桔梗が息を切らせる。

 額から大量の汗が流れ落ちるも、その表情は晴れやかだ。


「でも、喜んでいる暇はない。流華ちゃんと紅葉ちゃんを助けに行かないと……。……えっ!?」


 桔梗は周囲を見渡す。

 見慣れたはずの、武神流道場敷地内の中庭。

 そこには、想定していなかった光景が広がっていたのだった。

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