【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

953話 温泉卓球

公開日時: 2023年3月7日(火) 12:07
文字数:2,390

「ふぅ~。昼飯も美味かったな」


 食事を終えたタカシたちが次に向かったのは、旅館内にある遊戯場だ。

 彼らはそこで卓球を楽しむことにした。

 メンバーはタカシ、リッカ、フレンダ、ミティ、アイリス。

 タカシがルールを解説していく。


「いいか、これは卓球というスポーツで……」


「へー。タカシの故郷じゃ、こういう遊びがあったんだね」


 興味津々といった様子のアイリス。

 彼女の視線は、タカシの持つボールやラケットへと向けられていた。

 タカシの監督の元、卓球台、ピンポン玉、ラケットなどはある程度再現されている。

 だが、もちろん完璧ではない。

 言わばなんちゃって卓球ではあるのだが、軽く楽しむだけならばこれで問題ない。


「ボク、さっそくやってみようかな」


「なら、フレンダちゃんが相手するよ~」


 まずはフレンダがサーブを行った。

 それは見事なフォームから繰り出された高速サーブである。


「えっ? 速っ!!」


 かろうじて打ち返すアイリスだったが、それはネットに当たってしまった。


「はい、1点ね~」


 フレンダは笑顔で言う。

 どうやら、彼女には手加減という概念はないらしい。


(まぁ、彼女も地球出身っぽいしなぁ……)


 卓球という競技においては、タカシとフレンダがやや有利だ。

 なにせ、アイリスたちには卓球の経験がないのだから。

 ……と思われたのだが――


「あ、あれれ~?」


 コンコン!

 カンカンカン!!

 激しいラリーが続く。

 いつの間にか、いい勝負になっている。

 これには驚くしかないタカシであった。


「アイリスちゃん~!? 順応が早すぎるよ~!!」


 フレンダの驚きの声。

 そう、アイリスはすぐにコツを掴んだのだ。

 武闘家として元々運動神経がいいこともあり、すぐに要領をつかんだようである。

 タカシのチートスキル『ステータス操作』によって、視力強化や器用強化のスキルを取得していることも大きいだろう。


「ふっふーん! 簡単には負けられないよ!!」


 得意げに胸を張るアイリス。

 彼女はさらにギアを上げていく。

 そして――


「いっけぇーっ! 【五光一閃】!!」


 バシィッ!

 強烈なスマッシュが決まった。

 これにより、フレンダvsアイリスの勝負は決した。


「やった!!」


「ふぇ~ん。負けちゃったよぉ……」


 喜ぶアイリスとは対照的に、悔しそうなフレンダ。

 そんな彼女たちに声をかけるタカシ。


「二人とも、なかなかやるじゃないか」


「えへへ」


 照れ笑いを浮かべるアイリス。

 対して、フレンダの表情は暗いままだ。

 そんな彼女の肩に手を置きながら、タカシは言った。


「落ち込むことはないさ。フレンダも十分強かったぞ?」


「……本当?」


「ああ、本当だとも」


「……そっか」


 納得したのか、笑顔を見せるフレンダ。

 そうこうしている内に、次の試合が始まったようだ。

 今度はミティとリッカの戦いである。


(さて、どうなることやら……)


 二人の試合を見守るタカシたち。

 最初に仕掛けたのはリッカだった。


「――【神霊纏装・アーティルドラ】!」


 彼女が発動させたのは、自らの体に神霊の力を宿す武技だ。

 聖なるオーラを纏ったリッカは、一気に攻勢に出た。


「速いっ……! それに――単純に眩しいっ!!」


 思わず目をつむるミティ。


「くっ……目潰しとは卑怯な……」


 呟くミティだが、そもそもこの戦いにおける明確なルールは定まっていない。

 ざっくりとしたルール説明はタカシが行ったのだが、細かい部分は敢えて教えていない。

 つまり、この場において反則行為など存在しないのである。


「ふっふっふ。聖女である僕様ちゃん相手に、そんな隙を晒すなんて甘いですよっ!」


「ぐぬぅ……!」


 リッカの攻撃に押され気味になるミティ。

 次々に得点を決められていく。

 圧倒的な点差が開き、このままでは敗北するのも時間の問題かと思われたが――


「まだです! タカシ様をボコボコにされた恨みは、まだ忘れてませんから!!!」


 次の瞬間、ミティから燃える炎のような闘気が溢れ出す。

 そして――


「【剛拳流・侵掠すること火の如し】!!」


「なっ!? ば、馬鹿な……です! そんなふざけた闘気の量……あり得ないですっ!!」


 リッカは驚愕する。

 まさか、これほどの闘気を持つ者がいるとは思わなかったからだ。


「昨日戦ったときには、こんな力は感じなかったはずなのです! なんで急にここまで強くなっているです!? 昨日は手を抜いていたとでも言うですか!?」


 動揺するリッカ。

 そんな彼女に対して、ミティは言う。


「教えてあげましょう。それは――」


「そ、それは……?」


「昨日は疲れていたのです。午前は普通に働いて、午後はアダマンタイトの巨石を運びましたから。本当に疲れていました」


「……えぇ……?」


 あまりにも予想外の回答だったようで、唖然とするリッカ。

 そんな彼女に対して、ミティはさらに続ける。


「ですが、今は違います! 昨晩と今朝に温泉を堪能し、体力を回復しましたからね! 今の私はフルパワーです!!」


「くっ……。で、ですが意味はないです! この卓球とかいう遊戯では、パワーが強すぎると逆に不利になります! 僕様ちゃんの勝ちは変わらないのです!!」


「……なるほど」


 確かにその通りだと納得するミティ。

 だが――


「……ですが、問題はありません!  こうすればいいだけです! 必殺サーブで終わらせます! はあああぁ……!!」


 そう言ってミティはボールを宙に放り投げた。

 そして、ラケットを力強く振りかぶる。


「え……? あ、あの……」


 戸惑うリッカを無視して、そのまま振り抜く彼女。


「【ミティ・ホームラン】!!」


 そのスイングスピードたるや凄まじく、ボールはまるで弾丸のように放たれた。


「ぐぽぉっ!?」


 見事に命中して吹き飛ばされるリッカ。

 彼女の体はピンポン玉のように弾んでいく。

 そして――ガンッ!!

 凄まじい音を立てて壁に激突し、磔状態となった。


「十字架を背負って生きなさい……」


 まさに逆転ホームラン。

 圧倒的な点差を一撃でひっくり返す。

 磔状態から復活しないリッカを見て、ミティは満足げに微笑むのだった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート