【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

841話 空を飛んでますっ!!

公開日時: 2022年11月14日(月) 12:44
文字数:2,026

「わああぁ! 空を! 空を飛んでますっ!!」


「ああ、気持ちがいいよな」


「はい!」


 俺の腕の中で興奮気味にはしゃぐラフィーナを見て、微笑ましい気分になった。

 俺とラフィーナは今、上空にいる。

 重力魔法の『レビテーション』で浮いているのだ。

 そして、ラフィーナを抱っこしている。

 そう!

 いわゆる『お姫様抱っこ』だ。


 『レビテーション』は本来、限られた対象物の重力を軽くする魔法である。

 複数人でまとめて浮きたい場合は上級の『エリアレビテーション』を使う。

 だが、俺の魔力の高さ、そしてラフィーナがまだ幼女であり軽いという事情により、レビテーションでも2人が浮けるというわけである。


「すごいです! まるで鳥みたいです!」


「そうだな。俺も最初は驚いた」


 俺はそう言って笑う。

 重力魔法を取得したばかりの頃は、自重をほんの少し軽くする程度が限界だった。

 自重を軽くした状態でジャンプすれば、通常よりも遥か高くに到達できる。

 また、崖などから飛び降りた後に自重を軽くすれば、比較的安全に着地できる。

 そんな使い方しかできなかった。


「貴方様、凄いです! 私、こんな景色初めて見ました」


「喜んでもらえてよかった。俺も、誰かと2人きりで飛ぶのは初めてだよ」


「えへへ、貴方様の初めてをいただいちゃいました」


 嬉しそうな顔で言うラフィーナ。

 ちなみに今は午前10時くらいだ。

 馬車の件の打ち合わせを終え、俺はラフィーナと共に時間を潰すことにしたのである。


「ほら、目的の街が見えてきたぞ」


「あ、本当ですね。大きい街……」


「ああ、王都ほどじゃないけどな」


 俺たちは高度を下げ、目的地に着陸した。

 ここはラフィーナの村から最寄りの街だ。

 ハイブリッジ男爵領の領都であるラーグの街より、一回り小さい。

 だが、さすがに山村と比べると大きい。

 村から出たことのないラフィーナがせがむので、こうして俺が連れてきてあげたわけだ。


「わわっ! あれは何ですか?」


「教会だな。お祈りをしたり、結婚式なんかをしたりする場所だ」


「じゃあ、あの建物は何でしょう? 見たことがない形の建物です」


「うーん……。図書館かな? この街には色々な建物があるようだな」


 俺たちはそんな会話をしながら、街の中を歩く。

 図書館か……。

 ラーグの街にあったかな?

 たぶんなかった気がする。

 財政に余裕があれば、建設してみてもいいかもな。


 途中で美味そうなまんじゅうを見つけた。

 ゼラへのお土産として買っておく。

 これで、昨晩のセクハラをチャラにしてもらおう。


「あっ! あれは何ですか?」


「冒険者ギルドだな。この街は初めてくるが、ここにあるのか」


「わぁ~、大きな建物ですねぇ」


「確かに、立派な建物だな」


 冒険者ギルドは世界中にあるらしい。

 文字通り世界中だ。

 このサザリアナ王国の各地だけじゃなく、新大陸における他の国々、あるいは中央大陸における各国にもあるとか。

 かなりの大型組織だ。

 組織内の資金運用がどのようになっているのかは知らないが、冒険者ギルド全体としては潤っているのだろう。

 俺が今まで見てきた冒険者ギルドは、立派な建物が多かった。


「ラフィーナは冒険者に興味があるのか?」


「あ、いえ……。私は荒事が苦手ですので」


「まぁそうだろうな」


 荒事が得意な6歳児がいたら、それはそれでヤバい。


「でも、貴方様は元は冒険者なのですよね? それで、活躍を認められて男爵様になられたとか……」


「ああ。正確に言えば、今も冒険者だけどな」


 貴族になってから、冒険者として活動することがやや減った。

 領主としての仕事が増えたためだ。

 本来、これ以上冒険者として活動する意味合いは薄い。

 シュタインなんかも、貴族になってからは活動を縮小していたそうだし。


 だが、俺の場合はそうはいかない。

 世界滅亡の危機に立ち向かうためにも、魔物を狩ってレベルを上げて、冒険者ランクも上げていきたいところだ。


「へえぇ……」


 ラフィーナが物珍しそうな目で冒険者ギルドの建物を見ている。


「入ってみるか?」


「えっ!? いや、その……いいんですか?」


「ああ、別にいいんじゃないか」


 俺はそう言うと、ラフィーナを連れて冒険者ギルドに入った。

 特に依頼を受けるつもりはないので、ぶらっと適当に見て回る。

 そんな中――。


「あら! ”犬狩り”じゃない!!」


 突然、声を掛けられた。

 振り向くと、そこには金髪の女性がいた。

 年齢は20代前半といった感じだろうか?

 美人だが、どことなく強気な雰囲気のある女性だった。

 そして、彼女は俺の顔を見て言った。


「やっぱり! あなた、”犬狩り”のタケシだったわね! 久しぶりだわ」


「ああ……。久しぶりだな……」


 俺はそう返す――が、名前を思い出せない。

 誰だっけ?

 うーん……。

 というか、俺の名前はタケシじゃなくてタカシなんだが。

 向こうもうろ覚えだし、付き合いはさほど深くなさそうだ。


(ここは頑張って思い出さないと……)


 面と向かって名前を問うのは、最後の手段だ。

 なんとか情報を繋ぎ合わせて、過去の記憶を掘り起こすのだ。

 俺ならばできる!

 うなれ、俺の灰色の脳細胞よ!!

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