メルビン杯の続きだ。
俺たち5人の試合は終わった。
それぞれ勝ちを収めることができた。
1回戦最後の第8試合は、ジルガが登場した。
ムキムキのおっさんである。
対戦相手はエルメア。
少しめずらしい女性の武闘家だ。
どうやら初級の武闘家だったようである。
あっさりとジルガに負けていた。
ジルガの力量は確かだ。
前回のガルハード杯1回戦では、アイリスに勝っていた。
2回戦ではミティに負けていたが、あれはジルガが正面勝負にこだわったためだ。
ジルガがからめ手を使っていたら、ミティに勝っていた可能性もあっただろう。
さて。
これで、1回戦の試合全てが終了した。
勝者を○、敗者を×と表記して試合結果をまとめてみよう。
○Aブロック1番、タカシ。
×Aブロック2番、ミッシェル。
○Aブロック3番、アイリス。
×Aブロック4番、ババン。
○Bブロック1番、ミティ。
×Bブロック2番、レナウ。
○Bブロック3番、エドワード。
×Bブロック4番、ギムル。
○Cブロック1番、モニカ。
×Cブロック2番、ハルトマン。
○Cブロック3番、ギルバート。
×Cブロック4番、カルロス。
○Dブロック1番、ニム。
×Dブロック2番、ビリー。
○Dブロック3番、ジルガ。
×Dブロック4番、エルメア。
2回戦は、次の4試合となる。
タカシvsアイリス。
ミティvsエドワード。
モニカvsギルバート。
ニムvsジルガ。
2回戦に残った8人中5人が俺たちミリオンズのメンバーだ。
これ以上ない結果と言えよう。
他の3人は、知った仲の人ばかりだ。
強敵ぞろい。
心して2回戦に臨む必要がある。
だがその前に、食事休憩だ。
1時間ほどの休憩時間が設けられている。
俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。
5人で近場の飲食店に向かう。
店内に入り、席に着く。
あまり食べすぎると試合に影響するかもしれない。
少なめに料理を注文する。
しばらくして、料理が運ばれてきた。
食べ進めながら、雑談をする。
「あらためて。無事に全員が1回戦を突破できて、よかったな」
「そうですね! 1回戦で私たち同士がぶつからなかったのもよかったです!」
ミティがそう言う。
確かに、1回戦では俺たちミリオンズが見事にバラけた。
くじ運がよかったと言えるだろう。
「でも、2回戦ではボクとタカシが闘うことになるね」
「そうだな。お手柔らかに頼むよ」
俺はそう言う。
あまり勝つ自信はない。
彼女の武闘における戦闘能力は半端じゃないからな。
この1か月の鍛錬により、さらに実力を伸ばしているし。
しかし、俺もただでやられるつもりはない。
前回のガルハード杯本戦での余興試合では、接戦の末に俺が勝った。
その闘いの前後で、アイリスの忠義度は大きく上がっていた。
加護を付与済みである今は、彼女の忠義度を確認することができない。
加護付与やステータス操作という観点からは、彼女の忠義度を稼ぐ必要性はない。
ただ、忠義度は好感度と似たような側面を持つ。
今回もがんばって勝てば、アイリスの友好度がさらに上がるかもしれない。
「そ、そういえば。タカシに言いたいことがあるんだけど……」
アイリスが緊張した面持ちでそう言う。
彼女がこういった表情をするのは少しめずらしい。
「なんだ?」
「……んー。やっぱりいいや。試合のときに言うよ」
アイリスが歯切れ悪くそう言う。
少し気になるが、試合のときに話してくれるのであればそれを待つことにしよう。
アイリスとの仲は、これまで順調に深まってきているように思う。
彼女の友好度がさらに上がれば、俺のハーレム計画が一歩進む。
ミティと結婚できたことは間違いなくうれしいことだ。
ミティが悲しむことをするつもりはない。
……が、できればハーレム計画は進めていきたい思いもあるのだ。
加護の対象者は、現状で5人。
ミティ、アイリス、マリア、モニカ、ニムだ。
ミティと俺は既に結婚している。
マリアとニムはまだ幼いし、そういう話はまだ早い。
次に結婚するならば、アイリスかモニカだろう。
もちろん、彼女たちがハーレムを許容してくれるのであればだが。
「えーと。俺とアイリスは2回戦で闘うが。他のみんなの相手はだれだったかな?」
「わ、わたしの相手は強そうな男性でした。厳しそうです……」
ニムがそう言う。
「ああ。ジルガさんだね。ボクは前回闘って、負けたよ」
「ア、アイリスさんが負けた相手ですか。やはり、わたしには厳しそうですね……」
「やってみないとわからないし、がんばろう。私もがんばるよ」
少し暗い顔をしているニムを、モニカがそう励ます。
「そう言うモニカさんの相手は、ギルバートさんですね。彼もかなり強い人です」
ミティがそう言う。
「えっ! そうなんだ。まあ、1回戦を見た感じ、強そうだとは思ったけど」
「冒険者ランクもCだし、確かな実力がある人だよ。でも、今のモニカなら勝てない相手ではないと思う」
俺はそう言う。
モニカは、この1か月の鍛錬でかなり強くなった。
闘気術も使えるようになったしな。
「ボクもそう思う。……でも、ジルガさんやギルバートさんも強いけど、1番厄介なのは……」
アイリスがそう言って、ミティを見る。
「私の相手のエドワード司祭ですね」
「確かに、エドワード司祭が一番強いかもしれないな。大変な相手だ」
「うん。1か月前のボクとの模擬試合でも、全力ではなかったように思う。ボク自身が強くなってあらためてわかったけど、エドワード司祭の実力はまだまだ底が見えない」
「せめて悔いのないように、全力を出します! あの新技も惜しみなく使うつもりです!」
ミティがそう意気込む。
「そうだな。ミティのパワーをフルに発揮できれば、可能性はあるだろう」
そんな感じで情報交換や雑談をしつつ、昼食を食べ進めていく。
昼からの2回戦以降、俺たちは勝ち進んでいくことができるのか。
まずは、俺とアイリスの試合が待っている。
かなりの強敵だが、全力を出し尽くして勝ちを狙うことにしよう。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!