人類戦線

さむほーん
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第十三話 とある休日

公開日時: 2022年2月7日(月) 16:00
文字数:2,139

あ、もう朝か


やっぱりお風呂やシャワーに入ってから寝ると雰囲気が随分違うな〜


ちょっと、いや、かなりさっぱりする


城崎からもしばらくは仕事量が減るって聞いてるし、今日はゆっくり休みますか


考察したいこともあるけど、頭働かせたらその分しんどいし


何も考えずに過ごす一日ってやっぱり大切だよ


「あ、でも畑くらいは見とこっかな」


昨日僕が調合した肥料がどんな風に使われてるのか、っていうところが気になる


でも『あれ』僕が調合したって言えるのかな……?


ほとんど芳枝ちゃんの指示通り動いてただけなんだけど……


ともかく、今日も休みだ休み


学校に常備してあるクッソ硬い非常食食べたら畑の方にでも行ってみるか


「やっぱり硬い……」


最近なんとなく体の調子が良いからこの非常食を柔らかく感じることができるかもしれない


そう思ったがやっぱり無理だった


これは野菜の栽培を相当急がないといけない


僕の歯か心が壊れるよりも早く終わると良いんだけど……


――――――――――――――――――


……信じられないものを見た


僕の記憶が正しければ、中庭のじゃがいもは昨日植えた……って芳枝ちゃんが言ってた


だとしたら、今僕の目に見える中庭いっぱいに広がっているじゃがいも畑は何なんだろう


芽が出てる!早い!ってレベルじゃないんだよ


葉が十分に大きくなって近いうちに収穫出来そうなレベルなんだよ


見間違い、ってことで良いのかな?


「……やっぱり今日は一日中部屋にいようかな」


適当に刀振ってれば衰えもしないだろうし


いや、一回まともに剣道や剣術を学んでみるってのも有りだぞ


今の僕は素人がただ刀を振り回してるだけだからまともな剣術を学んだら大きく変わる気がする


須斎は薙刀だから他の人に頼むとして……


剣道部の人とかが良いのかな?


少ない人脈をフルに活用すればなんとかなる……かな?


厳しい気もするなぁ……


やってみたいとは思ってるんだけど……


でも、皆が起きるまでは待たないとそもそも誰にも話しかけられない


今は暇だし土でも弄っとくか


「サラサラしてるわけでも湿ってるわけでもない普通の土……なんだよな」


どうやってもこの土を使って一日であそこまでじゃがいもを育てる方法が思いつかない


肥料をいくら頑張っても限度があると思う


芳枝ちゃんの装備がその関連なのかな?


これで芳枝ちゃんの装備が規格外なだけならまだ良いんだけど、全員がこんなもんなら本格的に産業構造が変わるぞ


例えば芳枝ちゃんなんか食料生産のプロ穀物メジャーなんかが放って置かない


他にも、昨日校庭でものすごいスピードで壁を作ってた人


あの壁を何に使うのかがいまいち分からないけど、あのスピードで壁を作ったら建築業界から納期っていう概念が消えるかも知れない


「そんな人たちが今まで何してたんだろう……?」


そんなに高い能力があるなら今までもっと活躍してても良いはずなのに


あれかな?学校が一つの勢力としてまとまり始めたからやっと十分な場所が確保できて本来の力が発揮された、とかなのかな?


まあ、どうでもいいか。そのへんの考察は城崎や……そう、伏原先輩がしてくれるでしょ


城崎がなんとなく色々考えてそうなのは前から知ってるけど、わりかし伏原先輩も頭良さそうだし


担がれる神輿ってよく分からないけど大変そうに聞こえる


一般生徒の『こんな会長が良いな』を常に実現し続けるんだもの


……もしかして、伏原会長が出てきたからみんな動き出したとか?


いや、あの人は何故か存在感が薄いからそれは無いか……


だとしたら伏原先輩、担がれる神輿ですら無い?


急にショボく見えてきたな……


いや!存在感が薄いって言うのも一つの才能だから!その才能僕も持ってるから!


……変なこと考えてないで水やりだけしとくか


昨日の調合のときに作物に関する知識は叩き込まれたからどれにどのくらい水をやれば良いかは分かる


水は掛けるのでは無く撒く感じで、葉にはあまりかからないように、土の色がほぼ均一もしくは日陰の部分が若干薄くなる位で


よし、これでいいな


あとは部屋に戻ってゴロゴロするだけ


これが発生する前の夢の生活が戻って来た


……そうだ、最近連絡を取ってなかったネッ友にも連絡入れとかないと


多分心配してない気がするけど、もし僕のことを心配してたらちゃんと無事なことを知らせておいたほうが良い


とはいえ、一人も僕のことを心配しても気にかけてもいなかったら流石に泣く


「……チャット誰もいないな」


もしかして皆今危険な状態にあったりする?


嘘でしょ……学校で友達がいない僕にとって友人関係と言えばここぐらいだったのに


「あ、一人ちょっと話してる人が居る」


『みみみ』さんだけ話してるのか


僕もちょっとだけ反応してあげないと


「無事だったんやね〜、っと」


この人あんまりチャットとかしてるイメージ無いから意外だったな


流石に皆話してなかったら不安になってきたのかな?


まあ、五十人位いるクランで直近四十八時間のログイン数が三とかだと流石に心配するか


……一応、ゲーム内全体のチャットの方も覗いておこう


意外とこういう所から情報が得られるかも知れない


――――――――――――――――――――


「只の祭りじゃねぇか……」


皆危機感無さ過ぎでしょ


ん?この話ちょっと気になるな


そうして僕はこんな題のチャットルームに入っていった


【妖怪っぽいの見つけたんだけど】

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