人類戦線

さむほーん
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第三十話 思索

公開日時: 2022年10月1日(土) 16:00
文字数:2,109

「城崎……かぁ」


確かに、言われてみれば時々変なに参加させられていたな……


あれも後進育成のための勉強の一貫だったのかな?


「まあ、お前も少し勘付いていたかもしれんがな。についてはあんまり隠すつもりは無かったしな」


成程……


あ、そういえば僕の改造の中身を聞いておこう


「ちょっと話は逸れるんだけどさ……僕に対して行った改造?みたいなのって何だったの?」


それを言うと、院長は少し驚いたような顔をした


「お前……本当に流れとか読めないんだな……」


まあ、仕方ないじゃん


僕がそういうこと苦手なのは知ってたでしょ?


「まあ、良いか。じゃあ、よく聞けよ」


そう言って、一つ一つ語っていった


「まずは、免疫力の大幅な強化だ。とは言っても、ここは強化しすぎると自己免疫疾患になる可能性も有ったから程々にしておいたがな」


免疫かぁ……


それもこの前の実験に関係しているのかなぁ……


「まあ、でもあんまり気にすんな。その辺の改造は常識的な範囲にしておいたから」


そうして、二つ目の改造内容について話し始める


「二つ目は、脳の方の改造だ。こっちについてはかなり慎重に行ったからあんまり自覚はしていないかもしれないな」


頭?!そんなところまで改造してたの?!


「えぇ……僕、そんなところ改造されて大丈夫だったのかな……?まぁ、大丈夫だから今が有るんだけど……」


「大丈夫だ。事前に何人かで試して、一番安全だと分かった方法で行った」


試したの?


それ、不味いんじゃ……


まあ、僕は特に何も聞かなかったことにしておこう


世の中に知らなくて良いことは無いけど気にしない方が良いことは有るからね


「まあ、そういう理由でお前には危険は及んでいないはずだ。一族の他の連中も本命は聖の方だと思っているだろうからな」


う〜ん……まあ、確かにそうか


実際、僕が特に何か不利益を被った訳じゃ無いし……


あれ?ってことはもしかして……


「城崎は何か妨害みたいなのを受けてるの?本命の後継者だから争いとかに巻き込まれるんじゃない?」


既に片付いたとは聞いているけど、それでハイ、おしまいという話でも無いだろう


城崎に何か危害が加えられているのなら僕も出来る限りそれを防ぎたい


「いや、その辺りの妨害工作は大体全部俺が潰した。向こうも本気じゃあ無かったのか、ショボい工作しかしてこなかったしな」


う〜ん……そっか……


「取り敢えず、話がまだ飲み込めてない所も有るから暫く考えさせて貰ってもいい?」


「ああ、構わん。じっくり考えろ」


そうして、僕は自分の部屋に戻った


――――――――――――――――――――


「改造かぁ……」


財閥の後継者問題とか、そんな話が僕の人生に絡んで来るなんて思いもしなかった


なんというか、遠い世界のお話だったからね……


話を聞いた今でもいまいち現実感が無い


「それに……何というか、衝撃的な情報が多すぎるんだよなぁ……」


城崎の通っていた勉強会の正体もちょっとだけ分かったし


そういえば……城崎にちょっかい出してた連中ってまだ生きてるのかなぁ……


生きているんだとしたら、僕がどうにかしてそいつらにを受けさせないと


「あ、そういえば、検査のときに健康診断の結果みたいなのも貰ったな」


これも見ておこう


「えっと……特に異常は無し……ただ、血糖値はちょっと低めだから気をつけるように……と」


まあ、普通の健康診断だ


見ていて特に変な所は無い


ただ、今まで見たことの無い項目が追加されていた


これは何なんだろう……


「えっと……適合率?」


この数値は一体何を表しているんだろうか……


装備と肉体の関係とか、そういうものなのかな?


だとしたら、こんなところに書くのは止めておいた方が良いと思うけどな……


情報漏洩にも繋がるし


「でも、意味が分からないから情報の漏れようが無いんだけどね。そういうところも考えて僕にしたのかな?」


ちょっと考えてみると筋が通った所も有る


以外と考えてたのかな?


いや……それは無いか


あの人、研究のこと以外はそこまで考えてないからね……


前に聞いた情報漏洩対策の話もなんだか他人の言葉をそのまま借りたような物だったし


やっぱり他の人が吹き込んだと考えた方が良いのかな?


誰なんだろう……


研究所に出入りしている人間なんて多すぎて絞り込めないし……


なにより、そんなことを出来る時間が無い


まあ、別に良いか


所長の周りの人が僕のことをどう見ているかなんて気にしても仕方が無いし


そんなことよりも、今は僕の身体について考えないと


この体、普通じゃないって言ってたけど、頭と免疫の強化だけだからあんまり分からないんだよなぁ……


僕にはあんまり自覚が無かったけど、頭が弄られていたのか……


まあ、気付いていないならセーフ……なのかな?


「ああ……それより、城崎とこのことについて話さないと」


城崎には院長が話すって言ってたけど、もう話し終えたのかな……?


城崎はちょっと勘付いているだろうって言ってたし、僕よりも話すのに必要とする時間は少ないだろう


いや……僕には喋ってないことも伝えるとしたら結局長くなるから僕と喋っていた時間とそんなに変わらないのかな……?


まあ、どちらにしても城崎と話すのは明日、時間を置いてからになりそうだ


僕は布団に入って物思いに耽った

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