「はい……はい、そちらの方で対応して頂けると助かります……はい。ありがとうございました」
となりで研究員が何かと話している
さっきから現れている変な奴らと話せるのだろうか
もしそうじゃないなら、一人で虚空に向かっていることになるな〜〜
それは異常者だな〜
「ねぇ、何と話してるの〜?」
話しかけると、口元に手を当てられた
あれ?しゃべっちゃダメなのかな〜
じゃあ、ちょっと待っとこうか……
すると、電話がかかってきた
「あ、神やんじゃん」
電話を取って、話す
「神や〜ん。どしたの〜?」
「あ、もしもし。取り敢えずこっちは食い止めたよ〜。そっちはどんな感じ〜?助けに行ったほうが良い感じ〜?」
……喋り方がイライラするな〜
でも、言うとギスギスしそうだからな〜〜
「大丈夫そうだよ〜。でも、不安だから一応来てほしいな〜〜」
不安、って言っても今襲ってきている敵が怖いんじゃない
むしろ、内部を知り尽くした人に反旗を翻されるというのが一番怖い
「だから、出来るだけ早く戻ってきてね〜」
特に、今虚空に向かって話しかけてる人
この人が霊交信出来るなんて聞いていない
まだ何か爪を隠していたらその時に対処できるよう、少し戦力を集めておきたい
(ここには草木が生えてないから芳枝ちゃんの靴が使えないんだよね〜)
だから、いざという時私は戦えない
だから早く来て欲しいな〜……
「はい、来たよ」
「早」
言ってから十秒くらいしか経ってないんだけど……
神やんの高速移動についても後で聞いとこ〜っと
「それで、不安とか言ってだけど、何かあるの?」
お、早速聞いてきたか
「いや、特に無いよ。何となくそう思っただけ」
目で後で話そうということを伝える
……反応が薄いけど、伝わってるのかな〜?
「じゃあ、ちょっとそこで待機ね〜。私は
ちょっとやることがあるから」
そう言って、部屋から出ていった
「あ、神やんはこの部屋の前を守っててね〜」
「え?この部屋の中じゃなくて?」
……鈍いなぁ
「いやいや、それよりも部屋の中に敵を入れないのが優先でしょ〜」
そう言って、部屋の前に行くように示す
ちゃんと意味は取ってよ……
……よし、外に向かったね
「じゃあ〜私も行ってくるね〜」
外に出て、神やんを捕まえる
「ちょっと良い?」
「うん、これならあんまり不自然じゃないでしょ?」
あ、ちゃんと意図は伝わっていたようだ
良かった〜
てっきり神やんが絶望的に空気が読めない人なのかと思った
「それで、何なの?不安なことって」
よし、道の角を越えた
ここなら人があまり来ないから喋っても誰かに聞かれることはない
「うん……実は……ある研究員と神やんの知っている装備の種類についてなんだけど〜」
「装備の種類?」
神やんが不思議そうに答える
「そんなのあるの?そもそも、装備って一つ一つ違うものだと思うんだけど……」
「一つ一つ違う、って言っても、ちょっとくらい法則性とか無いの〜?」
流石にちょっとくらいは情報を貰わないとこっちも色々と判断できないんだけどな〜
「法則性……心なしか、性格に似ているのが多い……かな?」
性格に似ている……か
「それって〜……どういうこと?」
性格に似た装備というのかいまいちわからないな〜
「なんと言うか……『この人、〇〇してそうだな』って思ったら、大体そういうことが出来る装備を持ってる、とかかな?」
へぇ……
「装備って、人格と関係あるのかな〜?」
「かもね〜。だとしたら、城崎はかなり征服欲が強いってことになるのかな〜?」
あ、そっか
支配だからそういうことになるのか〜
それはそうと、結局あの話している研究員の装備が実在しているのかどうかが分からないままになっちゃったな〜
一度も見せてもらったこと無いからなおさら信憑性が弱い
私は神やんとちがって人間観察が上手いわけでも無いからその辺は良くわからないな〜
「でも、なんで急にそんなことが気になるの?何か不安なことが有るんじゃ無かったっけ?」
あれ……もしかして、やっぱり気付いて無い?
「えっとさ……一応聞くけど、今回君を呼んだのはあの研究員が怖いからだからね」
「……研究員?」
あ、ダメだ
これは分かってない
「えっとね……さっき変な方向を向いて話してた研究員がいたでしょ?」
頷いているってことは、理解しているんだね
「だから、それについて色々と情報が欲しかったんだよ〜。その関連で、装備の情報が欲しかったって訳〜」
「へぇ。そうなんだ」
相槌が適当な気がするな〜
すると、神やんも私が不機嫌なことを感じ取ったのか態度を変えてきた
「あ、それなら僕がこれまで出会ってきた人の性格と装備の効果について、知ってる範囲で話そうか?」
「教えて!」
あ……急に大声を出したせいで驚かせちゃつたみたい
「あ……ごめんね。でも、出来るだけ教えて」
驚きからは開放されたらしく、神やんはゆっくりと今まで見たことのある装備について話し始めた
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「……やはり、私でも分かるが異変が発生している。かなり有名なものでも、だ」
『そうか。助かった。後はこちらで確認しておく』
「わかった。じゃあ、また」
電話を切り、体を学校の方に向ける
「……さて、帰るか」
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