扉の先では高速で移動しながら戦っている者たちが居た
おそらくだが、一人は神柱だ
以前戦闘を見たときの動きと似ている
だが、もう一人の方は思いつかない
こいつは一体何なんだ?
「あれを倒せば良いの?」
「いや、ちょっと待て」
状況が把握できていない
一旦離れてから冷静に考えたほうが良いな
後ろに戻って、扉の中に入る
なにか起こってもすぐにドアを閉めることのできる位置に着いてから、様子を見る
しかし、流石に速いな
視覚だけでなく、地面を支配してその感触からも感知する必要が有りそうだ
(この辺りはまだ支配していないんだがな……)
支配にはそれなりに時間がかかる
こいつらの戦闘スピードは随分と速いから、俺の支配が間に合うかどうかだな
手を地面に置いて、支配を急ぐ
しかし、この辺りの土地がやたらと複雑になっているせいで上手く支配が進まない
どうなっているんだ?ここまでいろんな物質を混ぜたら道路として成り立たないぞ
何か変質する原因が有ったのか?
まあ良い。もう少し時間をかければ支配が完了する
そうなれば俺の勝ちだ
「ねぇねぇ、今何してるの〜?」
「少し静かにしろ。集中したい」
隣の小松を黙らせて、支配の仕上げを行う
今回は随分と複雑な場所を支配したから操作するのも大変そうだ
だが、情報を得るだけなら何とかなる
確認したところ、戦っているのは神柱で間違い無さそうだ
相手は……あまり特徴がつかめないな
まるで点から点に移動している、というよりは、場所が入れ替わっていると言えば良いのだろうか
どうも不思議な動きをするな……
だが、一定範囲に対して何か変化を起こしているのなら、その範囲の土地の主導権を握ってしまえばその妨害が出来る
「……まあ、そこまで広い範囲では無いから何とかなるか」
完全に主導権を奪うため、本腰を入れて支配を始めた
――――――――――――――――――――
(よし!城崎は来てくれた!あと……あれは栽培の人かな?)
一人で戦うのは大変だったから少しでも支援が入るのは嬉しい
でも、城崎の様子を見るに、本格的に支援に入るにはちょっと時間がかかりそうだ
それまで僕が持ちこたえることが出来れば良いんだけど……
いや、でもむしろ持ちこたえる必要は無いのか?
僕が攻撃しているから相手は逃げているけど、攻撃しなくなったら逃げるのも止まるんしゃないか?
それに、今から城崎の準備が終わるまで待つと言っても、流石に二十分三十分と戦い続けるのは無理だ
どうにかして手足にダメージを与えられれば時間は稼げるんだが……
そもそも刀が当たらないからなぁ……
疲れるけど時間稼ぎに集中するしか無いな
そう思ってゆっくりと時間を稼いでいくと、加速状態が解ける
ちょうど良い、城崎たちと少し話し合おう
「ねぇ!城崎!後どれくらいで援護してくれるの?!」
「待ってろ!三分もかからない!」
ってことは一分位は掛かりそうなんだね!それは良かった!
さて、もうちょっと持ちこたえれば希望が見えてきそうだな
じゃあ、もう一度加速しておくか
(抜刀)
そういえば、最近は刀に触れずとも加速出来るようになってきている
何か変化が起こってるのかな?
戦いが終わったら確認するとしよう
それより、今は相手を探してどうにかしないと
えっと……こっちの方に居るのかな……
「いや……面倒だな。周りを焼いていくか」
刀が熱いのはもう分かっているから、周りの建物を切って探してみよう
試しにいくつか切ってみると、その中に人が入っているものが有った
よし、これを切れば良いんだな
首に向かって思いっきり刀を振る
刃が首に食い込んだが、しっかりと内側まで刺さるよりも先に逃げられた
でも、首に傷が入ったから効果はちゃんと有ったと考えても良いでしょ
けど、こんな風に加速状態で動いてると一分持ちこたえるのも大変だな
体感時間で一時間以上耐えないといけないからな……
次に見つけたら首じゃなくて足とかを死角から狙っていった方が良いのかな?
もう一度捜索してみよう
すると、今度は思ったより早く見つかった
そんなに長い距離は移動してなかったみたいだ
「よし、じゃあ足から切っていくか」
今度は見つからないように、ドア越しに近付く
そのまま刀を振ると、足にダメージを与えることができた
(あれ?そういえば何でドア越しに相手の場所が分かったんだろう?)
ナチュラルに透視みたいなのをしていたのかな?
……いやいや!こんな事を考えるのは戦いが終わってからってさっき考えたばっかりじゃないか!
ん?相手……ゆっくりとだけど動いているのが分かる
これは流石におかしい
僕の刀を使った加速はかなり速いらしく、今まで相手が動いているのを認識したことは無い
つまり、相手の速度が速くなっているか、僕の速度が遅くなっているかのどちらかだ
こういう時は周りを見て……周りも少し動いている
つまり、僕が遅くなっているということだ
今はまだ戦いに影響が出る程では無いけど放置していると面倒なことになりそうだな
早めに終わらせないと
僕がそんな風に焦ったことも原因のひとつなのだろうか
急に加速状態が解けた
(は?!何が)
そう思った次の瞬間には目の前に拳が迫っていた
(あ……殴るタイプなんだ……)
そう思ってから僕は吹き飛ばされた
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